「慧眼」は「けいがん」と読み、「部長の慧眼には恐れ入ります」「彼女の慧眼は本物だ」などと使います。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ビジネスシーンでは“使える言葉”です。しっかり意味を理解して、さらりと使いこなせるよう、解説していきます。

【目次】

「慧眼のもち主」ほめ言葉です!
「慧眼のもち主」ほめ言葉です!

【「慧眼」とは?言葉の意味をしっかり確認】  

■読み方

「慧眼」と書いて「えげん」と読む場合もありますが、一般的には「けいがん」と読みます。

■意味

ものごとの本質を鋭く見抜く力のことをいいます。これは、個人の能力としてもともと備わっている場合もありますが、さまざまな経験を積んで「慧眼を得る」ことも。ぼんやりしていては得られませんが、特異な体験でなくても意味や理由を突き詰める習慣をつけておくと、「慧眼をもつ人」になれるかもしれません。

■語源 

真実を見通す智慧(ちえ)や能力を眼にたとえ、「慧眼(この場合はえげんと読む)」「肉眼(にくげん)」「天眼(てんげん)」「法眼(ほうげん)」「仏眼(ぶつげん)」と5種類あるもののうちのひとつ。もとは仏教に由来する仏語(ぶつご)なのです。「慧(恵)」という字は「才知が鋭い」「賢い」ことを表します。「眼」という字には、体の器官の「目」の意味だけでなく、「見分ける力」や「洞察力」のことも表します。


「炯眼」との違いは?

「炯眼」も見慣れない漢字を使用していますね。こちらも「けいがん」と読み、「鋭く光った目」や「鋭い目つき」という意味です。「あの人の炯眼にはただならぬものを感じる」というように使います。また、「物の本質を見抜く鋭い眼力」「ものごとを正確に認識、判断する力」という意味も。こちらの意味では「慧眼」と「炯眼」に違いはなさそうです。

では、「慧眼」と「炯眼」はどう使い分けたらいいのでしょう。それぞれにしかない意味をチェックしてみましょう。

■「慧眼」だけの意味

将来的な見通しや、先を読む力のこともいいます。

■「炯眼」だけの意味

「鋭い目つき」など、見た目の様子を表すことにも使います。


【「慧眼」と「炯眼」の「使い分け」がわかる「例文」6選

まずは「慧眼」の使い方から。

■1:「異動してきた新人、慧眼のもち主という噂だから即戦力になりそうだ」

■2:「御社の慧眼には、常々敬服しております」

■3:「厳しくご指導していただいたおかげで慧眼を得ることができたと、大変感謝しております」

次に「炯眼」の例文を見てみましょう。

■4:「こちらの考えを見透かしているような炯眼だ」

■5:「チームになじめないのは、人を寄せ付けない炯眼が原因かもしれない」

■6:「部長の炯眼はミスを見逃さないと言われている」


「類語」「言い換え」「対義語」も!

■類語

・眼力(がんりき/がんりょく):ものごとの善悪・真偽・成否などを見抜く能力。

・眼光(がんこう): ものごとの真意を見通す力。洞察力。

・心眼(しんがん/しんげん):ものごとの真実の姿を見抜く、鋭い心の働き。心の目。

・達眼(たつがん):ものごとの奥底を見通す鋭い眼力。

■言い換え

・鑑識眼(かんしきがん):ものごとの性質、善悪、真贋、美醜などを見分けることのできる能力。

・目利き(めきき):性質・真偽などを正しく見分けること。その人のこともいう。

・眼識(がんしき):ものごとの善し悪しや優劣、真偽などを見分ける能力。

・洞察力(どうさつりょく):ものごとを見抜く力。見通す力。

・鑑識眼(かんしきがん):ものごとの性質、善悪、真贋、美醜などを見分けることのできる能力。

・先見の明(せんけんのめい):ものごとが起こる以前に見抜く見識。将来のことを見通す賢さ。

・見る目(みるめ):ものごとの真偽・優劣を見分ける力。

■対義語

・節穴(ふしあな): 見る能力のない目。見えるはずのものを見落としたり、ものごとの意味を見抜く力のないことをあざけって言う語。

・凡眼(ぼんがん):見識の低いこと。また、その人。


「英語」で言うと?

■keen insight / great inseight

「慧眼」は英語で[keen insight]、あるいは[great inseight]となります。

・a person with keen insight.(慧眼のもち主)

・The book gave a great insight to menbers.(この本はメンバーに慧眼を与えてくれた)

***

普段の会話で「彼女は慧眼のもち主ね」などとはあまり言わないでしょうが、誰かをほめるときや、メールでなら使う機会がありそう! 類語や言い換えも含め、さらりと使えたら“大人の語彙力”として合格点です。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『ビジネスですぐ使える 語彙力が身につく本』(三笠書房)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :