空前の猫ブームといわれる今も、人のパートナーとして長く愛され、多くの人を虜にしている「犬」の存在。手間がかかる犬を飼うということは、ときにライフスタイルを180度変えてしまうこともありますが、それ以上の喜びを感じていると、大人の女性たちは口々に語ります。そんな彼女たちは、どのようにして愛犬たちと向き合い、豊かなプライベートライフを送っているのでしょうか。
ご紹介するのは、ライフスタイルショップ「ハウス オブロータス」のクリエイティブディレクターを務める桐島かれんさんと、愛犬2匹の暮らしです。
いつも動物たちがいる大家族の、優しく温かな時間
幼いころから、かたわらにはずっと猫がいたという「猫派」だった桐島さん。
「結婚生活は、夫の連れ犬2頭と、私の連れ猫1匹とで、賑やかに始まりました。初めての犬は、ゴールデン・レトリーバーとビーグル。雨の日も雪の日も散歩しなければならなくて、猫との違いにとまどいました。でも懐いてくるところが愛らしくて、すっかり犬好きに」
20歳でひとり暮らしを始めるにあたって、実家から連れてきた猫の「たりん」は、結婚後、犬や子供たちにとまどい、遠慮しながらも、桐島さんに静かに寄り添って、20歳まで生きたのだそう。子供が4人生まれると、老猫の「たりん」、拾ってきた黒猫の「ライカ」、犬たちのほかに、ウサギ、ハムスター、モルモット、金魚…とますます大所帯になっていったのだといいます。
「犬だけにスポットが当たらないんです。子供の数は多いし、夫のスタッフも加わって、ご飯はいつも10人以上で一緒に。家中の犬が、おこぼれを求めて足元に集まってきます。だから、犬も猫も子供も、このライフスタイルのなかで、ゆるっと放任主義。たくさんの動物のなかのひとりという感じで、ベタベタできないんです。ただその反面、厳しく接することもできなくて。私のことは、おそらくお世話をしてくれるメイドさんのように見ていますね(笑)」と桐島さん。
そう聞いて、桐島さんの魅力、女性としてのバランスのよさに、あらためて納得。とび抜けたセンスと、都会的な美しさをもちながら、たくさんの動物と子供たちを育て上げた頼もしさ、おおらかさによって、無理がなく、ぴりぴりしたところもない。おしゃれがこなれているというのは、やはり、こうした生活の背景があってこそなのでしょう。
ベタベタしている時間がないから、ゆるやかなライフスタイルのなかで犬も子供も放任主義
さて、連れ犬たち以後の犬事情はというと…。まず2頭を看取った後、寂しくて、わずか2週間で迎えたというチョコレート・ラブラドールの「モネ」。人の心がよくわかる優しい女の子で、2年前、17歳で老衰で亡くなりました。最期の数か月は、つきっきりの介護生活が続いたといいます。
「犬3頭を看取ったので、もう慣れたはず…と思ってはいるものの、やはり別れは辛い。大型犬のモネがいて、3頭仲よくしていたから、今、この2頭と猫のライカだけになって、なんだか寂しい」
現在の2頭というのが、写真の白いジャック・ラッセルの「マティス」と、黒いトイプードルの「セザンヌ」。どちらもすっかりおじいちゃんになって、紙おむつが手放せない。まだまだこれから一緒に楽しい思い出を紡ぎたい、大切な家族です。
「これまでずっと、何かの世話をするのに追われて、ひとりの時間がありませんでした。ようやく子供の手が離れて、犬のいない生活にも、ちょっと憧れます。でも、それも1か月でしょうね(笑)。犬が足元にだらんとしているだけでも、空気が温かい。犬や猫たちと過ごす優しい時間は、私たち家族にとって宝物なのです」
- TEXT :
- 桐島かれんさん モデル・女優
- BY :
- 『Precious2月号』小学館、2018年
公式サイト:ハウスオブロータス公式サイト
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- PHOTO :
- 浅井佳代子
- EDIT&WRITING :
- 藤田由美、海渡理恵(HATSU)、喜多容子(Precious)
- RECONSTRUCT :
- 難波寛彦