【目次】

【「賢い人」とはどんな人?「顔つき」「思考」の特徴】

■そもそも「賢い」って?

「賢い」を『デジタル大辞泉』でみてみると、多様な意味をもっていることがわかります。

(1)頭のはたらきが鋭く、知能に優れている。利口だ。賢明だ。例)「賢くて聞き分けのいい子ども」
(2)抜け目がない。要領がいい。例)「もっと賢く立ち回れよ」
(3) 恐れ多く、もったいない。
(4) 神や自然などの超越的なものに対して、畏怖の念を覚えるさま。恐ろしい。恐るべきだ。
(5) 尊い。ありがたい。
(6) 素晴らしい。結構だ。立派だ。
(7) 都合がよい。運がいい。幸いだ。
(8)程度のはなはだしいさま。非常に。盛大に。

ビジネスシーンで「賢い人」と言ったら、頭の回転が速かったり、機転が利いて適応力・応用力に優れた人を指します。「要領がいい人」とも言えますね。つまり(1)(2)(6)がのような人が当てはまるでしょうか。

「顔つき」の特徴 

子どもに特に顕著ですが、「賢い人」は「賢そうな顔つき」をしているものです。顔の美醜に関係なく、一般的に「賢い人」は、瞳に濁りがなく、きれいなイメージです。頭の回転が早く、好奇心旺盛なためでしょうか。

また、「賢い人」は思慮深く冷静なので、あまり感情を表に出しません。特に、ネガティブな感情は顔の表情や会話の語気などで相手に伝わりやすいもの。ですが、「賢い人」はそういったシーンこそポーカーフェイスを貫けるのです。

■「思考」「話し方」の特徴

・機転が利く、応用力に優れる
緊急事態ほど人間力が試されるもの。そもそもトラブルが起こらないようにするのが「賢い人」ですが、回避できなかった場合を想定して、予(あらかじ)め対応策を講じておくとか、トラブルを逆手にとって目新しさに転換するとか、「賢い人」は“七転び八起き”“ピンチはチャンス”を実践できる人です。

・頭の回転が速い
飲み込みが早いばかりでなく、的確な理解力、判断力に優れています。

・多様な知識をもつ
特定の分野では深い知識をもっていながら、仕事とは無関係な雑学的な話題やワイドショーネタなどにも精通。「この人と話していると楽しい」と思えるのが「賢い人」のひとつの特徴です。

・冷静である
周囲の話をよく聞く、その場の雰囲気に流されない、会話をリードするが一方的ではない。こんな「賢い人」がいると充実したミーティングが行えそうですね。

・柔軟である
「知識が豊富」や「機転が利く」にも通じますが、「賢い人」ほど柔軟です。意見が対立したり賛同を得られないような場合でも、解決策や妥協点を見出すことに長けています。広い視野でものごとを捉えることができる柔軟性をもっているのです。

・会話のスピードを相手に合わせられる
会話のペースを相手によって変えることができます。丁寧に話したほうが理解してもらえそうな相手や、大人数を相手に話す際には、会話の速度はゆっくりめに。自分の発言だけが突っ走ってしまわない工夫ができるのも「賢い人」の特徴です。

・自慢しない
頭もよく知識も豊富ですが、それをひけらかしたりはしません。“頭のいい人の自慢話ほど鼻につくものはない”と知っているのです。知識を披露しなければならないようなシーンでも、失敗談などを織り交ぜて笑い話にするなど、“お茶目”な部分をさりげなく強調し、反感を買わないようにします。


【「賢い人は話さない」を意味することわざ】

「沈黙は金」ということわざがありますが、これは「沈黙のほうが、優れた弁舌よりも価値があるということ」という意味。「賢い人」はこの言葉の意味を理解し、かつ実践できる人です。

■知者不言(ちしゃふげん)

「知者不言」は、中国・春秋時代の哲学者、老子の言葉です。「真にものごとを知っている者は、言葉多く語らない」という意味です。「能ある鷹は爪を隠す」に似ていますね。「知者不言」と対の「言者不知(げんしゃふち)」は、「よく知らない者ほど口に出して言うもの」という意味。老子は「知識はひけらかすべからず」と説いているのです。

■大賢は愚なるがごとし(たいけんはぐなるがごとし)

「非常に賢い人は知恵を表に見せないので、一見愚かな人のように見える」という意味。


【「本当の意味で賢い」ってどういうこと?】

「彼のやり口は賢かったな」「だから彼は“賢い人”だと言われるんだ」「賢く立ち回ったものだ」などの言いまわしを聞いたことがありますか。これらの文章は、「小賢(こざか)しい」や「ずる賢い」といったマイナスのニュアンスも含めて、「賢い」という単語を使っています。

接頭語の「こ」にはいくつか意味がありますが、「小賢しい」のように使われた場合、もとの意味を軽んじたり、ややばかにしたりするようなニュアンスを表します。「小賢しい」は「利口ぶっていて差し出がましい。生意気である」や「何かにつけて要領よく振る舞っている。悪賢くて抜け目がない」という意味。「本当の意味で賢い」は、「小賢しい」の反対を考えると、イメージしやすいかもしれませんね。

・利口ぶらない(賢いことをひけらかさない)
・控え目である
・謙虚である
・労を厭わない
・ずるをしない
・悪事に知恵を使わない
・腹黒さがない


【「話をすると疲れる」と言われる理由は?】

「賢い人」は、「話をすると疲れる」と言われることがあります。みなさんの周囲にも、非常に頭の回転が早く、知識も豊富。いわゆる一流大学を卒業して、学力も高いのに、「なぜか話していると疲れちゃう人」って、いませんか? こちらのレベルが低いから、相手の賢さについていけない…というケースもありますが、「賢いのに話をすると疲れる」といわれがちな人は、矢継ぎ早に自分の主張のみを話し続けることが多いです。そうなれば、聴いているほうは退屈だし、疲れてしまいますよね。こういう人は「本当の意味で賢い人」ではない可能性が高そうです。


【「言い換え」表現】

■「言い変え」表現

・賢明
・聡(さと)い
・思慮分別がある
・才気に溢れている
・頭の回転が早い
・頭がいい
・理知的

■「賢い人」を意味する熟語

・聖人賢者(せいじんけんじゃ)
「知恵があるばかりか、徳の優れた理想的な人物」を指します。

・賢良方正(けんりょうほうせい)
「賢いだけでなく、行いも正しい」こと。「品行方正」と似ていますが、「品行」は普段の行いや振る舞いが正しいこと、「賢良」は賢くて善良なこと。ビジネス会話なら、「品行方正」より「賢良方正」を使いたいですね。

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「賢い」という意味をもつ英単語は[wise][clever][smart][intelligent]などがあります。[wise]は「賢明な」、[clever]は「才気のある」「ずる賢い」という意味に。

[smart]と[intelligent] はどちらも「高い知能をもつ」といった意味合いですが、[intelligent]は「高度な知性の感じ」であるのに対して[smart]は若干口語的な印象です。賢く使い分けてくださいね!

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『新明解四字熟語辞典』(三省堂)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『新選漢和辞典 Web版』(小学館) :