『理想の目周り美容医療』入門|人生100年時代の美容の後半戦は、化粧品と医療の両輪で回すという考えの女性が増えています!

まだまだハードルが高いというのが現実です。とはいえ、目周りに訪れる悩みには、「病」も混在しています。医療との付き合い方のヒントと、目周りにできることについて、美容医療エディター歴20余年の柳田美由紀がご紹介します。試すもよし、試さないもよし。これから先の毎日を、自信をもって過ごす助けにしてください。

柳田美由紀さん
美容ジャーナリスト
(やなぎだ・みゆき)雑誌や広告などでビューティエディターとしても活躍中。元化粧品メーカー勤務だけあり、コスメの選び方や裏側などにも詳しい。

大人世代の美容医療は、整形とは別モノ。時々の自己ベストの状態を取り戻して生きる自信をもたらす

スキンケア_1,アンチエイジング_1
 

美容医療、形成外科、整形外科、美容外科、美容皮膚科、皮膚科、美容整形…。混乱しそうですが、整形外科は主に体を対象としており、顔を診る診療科ではありません。顔を対象とする診療科は形成外科と皮膚科です。手術をするのが形成外科、しないのが皮膚科です。美容外科は形成外科から派生し、美容皮膚科は皮膚科から派生した名称で、病ではなく美容を目的にした治療なので自費になります。

また美容整形は、医療の領域では非公式な用語ですが、顔貌を希望どおりに造り替えるという意味で使われています。美容医療は、メスを使わない照射や注入など、外科的に切る以外の自費治療を意味することが多く、顔を造り替えるのではなく、衰えたりトラブルが生じている部分を元に戻したり、老化を遅らせるアンチエイジングの治療が中心になります。つまり美容医療は本来の自分の顔に戻し、年齢を受け止める勇気をもたらしてくれます。上手に取り入れれば、これから先の人生が変わる効果的な手段です。

まずは知識を身につけて。SNSなどの断片的な情報をうのみにしてはいけない

SNSにより、美容医療は身近になり、そのぶん、危険が増しています。SNSに現れる情報や広告は多くの場合断片的なもので、自分にとって適切とは限りません。またSNS上の人気ドクターが、専門家視点でも高評価かといえば、そうでもないとの話もあります。

例えば、目の下の凹凸が気になると思ったら、どんな手段があるのか、どのドクターに相談するのがよいのかを徹底的に調べましょう。その際は、SNSではなく、WEB検索です。そのうえで可能なら、信頼できる医師や経験者の知人に相談しましょう。もしも私自身が治療するなら、執刀医は形成外科の専門医であることは絶対で、さらに経験値が高い指導医なら申し分なく、下まぶたの治療を専門とする医師を探します。切る治療は元には戻せません。納得できる治療を受けるためには、十分な情報収集が不可欠です。

皮膚科的な『面』の治療と形成外科的な『形』の治療は分けて考える

美容医療のクリニックは、大きくふたつに分けられます。ひとつ目はたるみ治療など、顔の型崩れの治療を得意とするクリニックで、院長は形成外科の出身です。院長の考えで照射治療がメインのクリニックと、眼瞼下垂治療や二重形成など切る治療も積極的に行うクリニックとに分かれます。ふたつ目はシミや赤み、あざなどの肌の色ムラやニキビなどの凸凹を治療するのを得意とするクリニックで、院長は皮膚科の出身です。クリニック=ドクター選びで迷ったら、自分は何を治療してどうなりたいのか、最初の目的に戻ってください。シミや色ムラなどの面の治療とたるんだ皮膚を持ち上げたり、目を開きやすくするような形の治療とでは、相談先が違うからです。

また複数のドクターがいるクリニックでは、先生を指名するのが、理想の美容医療を受けるための鉄則です。

誰に相談するかが最重要。美容のかかりつけ医をつくっておく

 

この先の人生、あと何年あるのでしょう? 40年50年、人によっては60年あるかもしれません。この先の長い時間を安心して過ごすためにも、美容のかかりつけ医がいると、とても楽に生きられるのではないでしょうか。その先生が皮膚科が専門なら、手に負えない形成外科的治療は、知り合いのドクターを紹介してもらう。優秀な先生のお仲間は優秀です。

かかりつけ医はひとりでなくてもいいのです。肌色と質感治療、たるみ治療、注入治療、外科的治療のドクターがそれぞれいてもいい。すべてを自分がやるのではなく、患者目線で最適な医師を紹介してくれる、懐が深い先生が理想です。

メスを入れるのはできれば後送りに。最終手段と心得て

完璧な仕上がりが欲しいという理由で、フェイスリフトなどの大がかりな切り貼りを伴う最後の砦的な手術を、若くしてする人がいます。美容医療の領域の手術や治療は、多くの場合、一度ではすみません。なぜならば、老化は止まらないからです。治療を終えたその瞬間から、型崩れが再び始まります。照射や糸で止めることでしのげるなら、切り貼りを伴う手術は、できれば後送りが望ましいです。同じ場所は一度しか切れないので、次回はベストの場所を避けて切ることになってしまいます。信頼できるドクターの診たてで、切らずにすむ可能性があるなら、まずはそれにかけてみるのが得策です。

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鈴木 宏(人物)、Getty Images
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尾花ケイコ
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大塚まゆか
EDIT&WRITING :
荒川千佳子、五十嵐享子(Precious)