プレシャスキャリアが働く東京のメインスポットでケティ・ヨークがファッション観測

今回の新流儀を見つけるのに先立ち、まずは、東京の街に出てキャリア女性のリアルファッションをウォッチング。編集部員・福本とライター・長瀬を交えての観測トークで、ケティ・ヨークの着こなしジャッジをお届けします!

N.Y.在住のファッション・エディター、ケティ・ヨーク
 
【WHO’s Ketty York?】ケティ・ヨーク
N.Y.在住のファッション・エディター。プレシャス初代編集長との縁で、連載を執筆して以来、さまざまな企画で本誌に辛口ご意見番として登場。センスとトレンドチョイスの確かさで、絶大な信頼を寄せられている。

【Working woman at Marunouchi】「丸の内はワントーンで上品にまとめる女性が多いわね」(ケティ・ヨークさん)

ワントーンスタイルの女性イラスト
丸の内の「ディーン&デルーカ」前で見掛けた、カーキ系ワントーンの女性。「コートはビッグシルエットで遊びがあるけれど、バッグはコンサバ。今は、ミックス感がおしゃれな時代だから、まさにその好例ね」とケティ。

ケティ:ハーイ! よろしく。
福本:ケティさん、初めまして。お目にかかれてうれしいです。
長瀬:わあ、リアル・ケティさん!朝早くからありがとうございます。
ケティ:東京の街に出てプレシャス世代のファッション観測をするのは久しぶりよ。早速、見ていきましょう。それにしてもこの街、みなさん、ちょっと地味じゃない? 
福本:最初から厳しい! ここ丸の内は日本屈指のビジネス街です。だからこそ、きちんとしたドレスコードの会社が多くて。ケティさんから見たら地味かもしれませんが、知的できれいめな装いの女性が多い街でもあるんですよ。
ケティ:スーツ姿の男性も多く、そういう印象は確かに受けるわ。でも、ほら、あのニットとパンツの女性とかあちらの方も…地味! ああいうバランスの人が多いわね。

バランスが旧態依然なのがいただけないわ

長瀬:いわゆるくるぶし丈のクロップドパンツに低めパンプスの方が目立ちますね。みなさん、あのきちんと感がお好きなのだと思います。
ケティ:今シーズン、パンツはワイドになってきているのに、旧態依然じゃない? いつのパンツかしら。ボトムはシルエットが要よ。
福本:あ、スーツスタイルのプレシャス世代、発見! スーツの男性と話しながら歩いています。あの人なんて素敵なキャリア女性では?
ケティ:そうね、5〜6年前に買ったスーツじゃないかしら?更新されていない感じが香るわ。ジャケットをもう少しビッグシルエットにするとか、いっそショート丈にすると、素敵になると思うわ。スカート丈も、もう少し長いほうが今のトレンドと合うわよね。
福本:スカート丈は長いのが流行ですが、堅めのオフィスではNGなのかもしれませんね。
長瀬:ほら、あの人素敵! カーキのコートにクロップドパンツの女性!
ケティ:コートがビッグシルエットでモードっぽいわ。カーキのワントーンでおしゃれに仕上がっているのも、いいわね。丸の内は、ワントーンで上品な人が多いのは認めるわ。
長瀬:ですよね! くるぶし丈パンツも似合っていますね。
ケティ:そう、似合っているのはいいのよ。ハイウエストで、シルエットも更新されているわ。
福本:見ていると、きれいめな格好の人が多いですが、意外に、スニーカーやリュックも浸透していますね。
長瀬:日本は、コロナ禍の頃から、働き方や価値観がガラリと変わって、通勤スタイルもカジュアル化しました。N.Y.はどうなのでしょう?

ビジネススタイルも、もっと個性を取り入れて!

ケティ:N.Y.の場合、スニーカーは確かに誰もが履いているような時期はあったけれど、今はそれほどでもないかしら。スニーカーは実用として定着しているけれど、あえておしゃれに使うという感じは薄れているわ。もともと、みんな揃って何かを身につけるという傾向はほぼなくて、個人ごとにすごく違うのよ。セクシーな人もいれば、シックシンプルな人もいて、それぞれに個性的。それに比べて日本の働く女性たちは似通っているわよね。もっと自分を出していいんじゃない? 
長瀬:周りの目を気にした結果、おとなしく収まってしまう傾向はあるかもしれませんね…。
福本:オフィスの時間が始まったみたいで、通りを歩く人が急に減りました。よそへ移動しませんか。
長瀬:次は六本木に行きましょう。個性派も増えると思います!

【Working woman at Roppongi】「六本木には、長めスカートを上手に着こなす人が目立つわ」(ケティ・ヨークさん)

長めスカートスタイルの女性
六本木ヒルズでは、マキシ丈のとろみスカートを着たショートヘアの女性に、3人の視線が集中! ナローシルエットも今どきで、ゆったりしたニットとの対比もきまっていた。クリーミーな清潔感が漂う色使いにも賞賛が。

素敵な通勤スタイルを街でキャッチ。おしゃれな人はやっぱりバランスが最旬! 

長瀬:ここ六本木ヒルズに、いらっしゃったことは?
ケティ:日本に来たときにときどき。ホテルに泊まったり、美術館に寄ったりするわ。
福本:この森タワーの「スターバックスコーヒー」前は、こちらのオフィスで働く人やそこを訪ねる人も行き交うから、プレシャスキャリアのウォッチングに最適だと思います。
ケティ:ええ、女性のスカート丈がさっきより長いわ。トレンドを意識した格好の人が増えているのね。
長瀬:外資系などカジュアルなスタイルでの通勤がOKな会社が多いので、流行も取り入れやすいのだと思います。スーツスタイルも、今どきのシルエットの方が多めになっている印象です。
ケティ:悪くないけれど、私の理想としてはもうひといきね。やっぱり、スーツの人って、昔ながらの制服みたいな印象が否めない。

スーツこそ、バランスで遊べ!

福本:ケティさんのスーツスタイルはさすがです。ジャケットはオーバーサイズで、それをノーインナーで着ちゃうんですね。
ケティ:ありがとう。でも、慎み深い日本の女性たちに、同じことは求めないわ。ジャケットの中の着こなしで勝負よ。パンツのウエストを高めにしたり、カマーベルトを使ったり、短めトップスを着たりして、“今” のバランスに更新するのがいいんじゃない?
福本:それなら、トライしやすいです!
ケティ:もちろん、シルエットが今のものであることは大前提。ワンセットでおしゃれがきまるよう、もっと軽やかに選ぶべきよ。
長瀬:配色は、ここでもワントーンの人が多いですね。特に六本木は、黒でまとめる人が目立ちます。
ケティ:黒は、素材のメリハリが大事。単調にならないように、もう少し攻めて着こなしてほしいわ。この冬は、流行の透け感や艶がある素材を、もっと活用するのがいいのよ。

【Working woman at Toranomon】「きれいめカジュアルが虎ノ門では人気のようね」(ケティ・ヨークさん)

グレーコートスタイルの女性のイラスト
グレーのライトコートを羽織った姿が、ランチタイムのカフェスペースで光っていた彼女。マニッシュなグレーパンツにフェミニンな淡ピンクカーディガンの甘辛ミックスが見事! ハンサムな靴選びにも、意志が感じられて。

カジュアルでもどこかに知性を感じさせる工夫を

ケティ:いよいよ最後の観測スポット、虎ノ門ヒルズね。
長瀬:この秋、すべてのタワーが完成した、話題のビジネス&商業エリアです。外資系のIT企業などが入っているためか、ここも自由なおしゃれを楽しんでいる人が多いですね。
福本:グレーコートの人、素敵!
ケティ:メンズライクなパンツに男靴が上手だわ。仕事感があるけれど、堅苦しくなくて。全般に、虎ノ門は、カジュアル上手な人が多いみたいね。
福本:そうですね。ただ、カジュアルって、オフィスだとどこまで崩すかが悩みどころです。
ケティ:リラックス感は時代の流れだけれど、働く女性としては、直線とか襟とか…知性を感じさせる要素が入っているといいわよね。
長瀬:確かに、その要素が鍵ですね。
ケティ:…こうして見ていると、私が最初にPreciousでファッションウォッチングをした15年ほど前に比べたら、みなさん本当におしゃれになったと思うわ。
福本:自分のことみたいでうれしい。
ケティ:でも、まだまだよ! なによりも個性がもっと欲しいわ。オーバーにいえば、“毒” が! そりゃあね、今は “クワイエット・ラグジュアリー” がトレンドよ。
長瀬:あの雰囲気、大好きです。ハイブランドのものでも、ロゴに頼ってこれ見よがし、ではなくベーシックなものを控えめに着るスタイル…。
ケティ:でも初めから無個性なのにベーシックじゃあ、ただの地味になるのよ! あれは、着る人に際立つ存在感があるから、成り立つもの!
福本:なるほど、おっしゃるとおりです! まずは私たち、仕事服の個性化から頑張ります!

関連記事

ILLUSTRATION :
齊藤木綿子
EDIT&WRITING :
長瀬裕起子、福本絵里香(Precious)