2024年4月9日、世界最大規模の時計フェア、“WATCHES & WONDERS GENEVA 2024”がスタートし、出展するラグジュアリーメゾンが一気に新作ウォッチを発表しました。

今回はすでにお届けした速報に続き、「シャネル」のカプセル コレクション「クチュール オクロック」にフォーカス! コレクションの名前のとおり、メゾンの原点である「クチュール」を着想源としたオート オルロジュリー(高級時計)の数々は、まさに「シャネル」でしかなし得ないクリエイション。夢や憧れが詰まった宝石箱から溢れ出てきたような、麗しいタイムピースが百花繚乱の競演を繰り広げています。

マドモアゼルと、メゾンの原点「クチュール」へのオマージュを込めて

早々に完売した今コレクションのトーキングピースは、置き時計でありオルゴールであり、オートマタ(からくり時計)でもある芸術作品。マドモアゼルが好んで口ずさんだというアル ボウリーの曲「My Woman」のリズムに合わせて5体のトルソーが上下する振付が施されている。「ミュージカル クロック アトリエ クチュール」¥385,660,000 ●サイズ:直径19.8×高さ34.2mm ●ムーブメント:手巻き ※世界限定1点 (C) Chanel
早々に完売した今コレクションのトーキングピースは、置き時計でありオルゴールであり、オートマタ(からくり時計)でもある芸術作品。マドモアゼルが好んで口ずさんだというアル ボウリーの曲「My Woman」のリズムに合わせて5体のトルソーが上下する振付が施されている。「ミュージカル クロック アトリエ クチュール」¥385,660,000 ●サイズ:直径19.8×高さ34.2cm ●ムーブメント:手巻き ※世界限定1点 (C) Chanel

毎年異なるテーマのもと、自由に、大胆に、美しくも遊び心に溢れたタイムピースを創出している「シャネル」のカプセル コレクション。2024年の新作発表にあたり、シャネル ウォッチ クリエイション スタジオ ディレクターのアルノー シャスタンはこう語っています。

「クチュール オクロックでは、シャネルというメゾンのルーツ、つまりガブリエル シャネルの職業の原点であるクチュールに注目しました。このカプセル コレクションが表現しているのは、“オートクチュール”と“オート オルロジュリー”という、それぞれに厳格な基準をもつふたつの世界の邂逅です。このふたつの世界を隔てているのは、たったひとつの単語にすぎません」

確かに。そのふたつのクラフツマンシップの世界には多くの共通点がありそうです。

「どちらの制作スタジオも静寂に包まれ、基礎であり、規範となる〈時間〉という概念を扱っています。クチュール オクロックで目指したのは、カンボン通りのクチュールのアトリエに続く扉を開くことです。ファッショ
ンのコレクション制作過程のリズムが刻む、独特の時間と空間。その張りつめた雰囲気や、忍耐力と細心の注
意が要求されるオートクチュールの世界に飛び込んでみたいと思いました」

トルソーと巨大なテーブルを舞台に繰り広げられる型紙の作成から、トレース、裁断、ピン打ち、仮縫い、芯の接着、本縫い、かがり縫い、そして装飾といった工程。その際に使われる道具 ── リボンを通して首から吊り下げたハサミ、ピンや針がぎっしりと刺さったピンクッション、指ぬき、糸巻き、グログランリボン、ボタン、巻き尺、そして安全ピンといったシャネルが生涯を通じて使っていたもの。

「クチュールの世界特有で、数々の名作を生み出してきた象徴的な道具が、クチュール オクロックのピースをデザインする上でのインスピレーション源となりました。私は毎年、“プルミエール”、“J12”、“コード  ココ”、“ボーイフレンド”、“マドモアゼル プリヴェ ブトン”、“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション”を完全なる自由を持って手掛けていますが、裁縫ツールは今年の“枠組み”と“素材”になりました」

稀代のウォッチ クリエイターであるアルノーが、マドモアゼルへの敬意と、クチュールの世界に大きな足跡を残したメゾンの原点を讃えて創造した「クチュール オクロック」のハイジュエリーウォッチたち。カンボン通りのクチュールのアトリエに続く扉を、さあ、開いてみましょう!

時を刻み、時で遊ぶ ── 非凡な個性と美を放つ「クチュール」ウォッチ

アルノーが今コレクションをデザインする上で指針としたものは、「ガブリエル シャネル」そのもの。「クチュール オクロック」では、この偉大なクチュリエをまったく異なるふたつの方法で表現しています。

まずは裁縫箱と、その中に収められる裁縫道具。例えばピンや針、指ぬき、巻き尺、ハサミなどを、黒を基調にイエローゴールドでアクセントを加えたカラーパレットで表現しました。もうひとつはガブリエル シャネルの「精神」。彼女の姿はさまざまなスタイルで描かれ、どれもガブリエル シャネル自身と彼女の創造的な精神を想起させます。

■1:彫金とダイヤモンドが高貴に響き合うシークレットウォッチ

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「マドモアゼル プリヴェ ブトン ガブリエル」¥8,602,000(参考価格) ●ケース:イエローゴールド×チタン×ダイヤモンド ●ボタン径:29mm ●ストラップ:サテン調カーフスキン ●ムーブメント:クオーツ (C) Chanel

クチュールの世界を象徴するさまざまなモチーフのなかでも、アルノーが特に強調したかったと語るのが「ボタン」。ボタンをジュエリーに格上げしたガブリエル シャネルの横顔の彫金をあしらったオニキスプレートを、「シャネル」らしい繊細なチェーンとダイヤモンドで縁取ったシークレットウォッチです。ブラックのサテン調レザーストラップが全体の印象を引き締め、この上なくノーブルなジュエリーウォッチへと昇華させました。

■2:ボビンに巻かれた糸を無数のダイヤモンドが演じる麗しのカフウォッチ

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「ボン カフ クチュール」¥155,760,000(参考価格) ●ケース:イエローゴールド×ダイヤモンド×イエローサファイア ●ケースサイズ:縦23.5×横19mm ●ブレスレット:イエローゴールド×ダイヤモンド ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定1点 (C) Chanel

着想源は、ボビン! 糸巻きに糸がむらなく巻かれていく様子を、1244個(!)ものブリリアントカット ダイヤモンドが華麗に演じるこのカフウォッチも、大きなエメラルドカットのイエローサファイアをセットした八角形のケースカバーを閉めることによってダイヤルを隠すことができるシークレットウォッチ。何ともユニーク、そして豪華なクリエイションは、見る者を深い陶酔へと誘います。

■3:ラグジュアリーな「まち針」がダイヤルを飾るオーバーサイズウォッチ

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「マドモアゼル プリヴェ ピンクッション カフ クチュール」¥51,920,000(参考価格) ●ケース:チタン×イエローゴールド×ダイヤモンド ●ケース径:55mm ●ストラップ:チタン ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定5点 (C) Chanel

お針子の仕事道具であるピンクッション(針刺し)に着想を得た“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション”。言ってみれば「ありふれたツール」であるピンクッションを、「シャネル」が独創的なタイムピースへと転生させたこのコレクションは、ドーム型のクリスタルで覆ったオーバーサイズのウォッチケースが特徴です。

まさに今回のカプセル コレクションのテーマとシンクロする“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション”は、ピンクッションに刺さったまち針がダイヤルデザインの主役。トップをパール、ダイヤモンド、イエローゴールドのミニチュアパールで飾ったまち針が、放射状に輝き、至高の存在感を発揮します。

■4:“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション”からは時を刻むリングもお目見え

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「マドモアゼル プリヴェ ピンクッション リング クチュール」¥45,210,000(参考価格) ●ケース:イエローゴールド×ダイヤモンド×パール ●ケース径:40mm ●リング:イエローゴールド ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定5点 (C) Chanel

“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション”からは、グラマラスなリングウォッチも登場!

ウォッチと同様、パール、ダイヤモンド、イエローゴールドのミニチュアパールをあしらったまち針のモチーフが、ブラックのキルティング モチーフのダイヤルの上輝く様はまるで贅沢なシャンパーニュの泡のよう。直径40mmとリングとしてはかなり大ぶりなサイズ感からも、「シャネル」ならではの美学を感じとれる希少なタイムピースです。


まさに夢の扉を開いたような、非凡な美しさと個性を開花させた「クチュール オクロック」。このカプセル コレクションからは、時を刻むモチーフを授けたロングネックレスの数々も華やかに出揃いました。次回は「時計の概念」を鮮やかに超えた美貌のネックレスウォッチをお届けします。

※掲載商品の価格は、すべて記事公開時点の税込みです。

問い合わせ先

シャネル カスタマーケア

TEL:0120-525-519

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この記事の執筆者
東京都出身。大学在学中から雑誌『JJ』などで執筆活動を開始。女性向け本格時計のムックに携わったことから、機械式時計に開眼。『Precious』などの女性誌において、本格時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる。SIHHとバーゼルワールドの取材歴は、女性ジャーナリストとしては屈指のキャリアの持ち主。好きなもの:海、ハワイ(特にハワイ島)、伊豆(特に下田)、桑田佳佑様、白い花、シャンパン、純米大吟醸酒、炊きたてのご飯、たまご、“芽乃舎”の野菜だし、“エルメス”のバッグと“シャネル”の靴、グレーのパーカー、温泉、スパ、素敵旅館、村上春樹、宇野千代先生、神社、日本の陶器(特に唐津焼)、朝ドラ、ドラミちゃん、長文のインタビュー原稿