さほど花に興味がなくても、「チューリップはわかる」という人は多いはず。知名度の高さでは抜群の「チューリップ」は、その色・かたちの豊富さでも知られています。今回は「チューリップ」の特徴や育て方、花言葉のほか、ビジネス雑談に役立つ「チューリップ」にまつわる雑学をご紹介します。
【目次】
【「チューリップ」を楽しむための「基礎知識」】
■「チューリップ」はどんな花?
毎年、次々に新しい品種が登場し、花屋さんの店先を賑わせてくれる「チューリップ」は、ユリ科チューリップ属の球根草です。「チューリップの国」として、いちばんに浮かぶのはオランダでしょう。実際に栽培の中心ではありますが、原産地は中央アジア、北アフリカです。
■「見ごろ」はいつ?
チューリップが生花店に多く出回るのは、11月から5月ごろ。ガーデニングでは3月~5月にかけて可愛い花を咲かせる春の花です。とはいえ、さまざまな品種が出回り、地域の気候によっても異なりますが、早く開花する早生(わせ)品種は3月下旬ごろから、中生(なかせ)品種は4月中ごろから、晩生(おくて)品種は4月下旬から咲くのが目安となります。
■「植える時期」は?
「チューリップ」を育てるには、秋に球根を植え付けるのが基本です。具体的な時期としては、北海道や東北地方では10月上旬から下旬以降、北陸や中国日本海側地方では10月下旬から11月上旬以降、関東や東海地方・近畿・瀬戸内海沿岸では11月上旬以降、九州地方では11月下旬以降がおおよその目安です。「芽出し球根」と呼ばれる、発芽している球根ならば、冬に植え付けても大丈夫ですよ。
■チューリップは花が終わったらどうする?
開花期間は、1週間から2週間です。花が開ききると、花びらは一枚ずつ散っていきます。放置しておくと、病気の原因になることがありますので、切り花の場合でも、鉢植えや地植えの場合でも、花びらはこまめに取り除きましょう。また、球根を掘り上げる場合は、花びらが散ってしまう前に花首をカットするといいですよ。そして、茎や葉が緑色のうちは、水やりを続けます。茶色くなってきたら球根を掘り上げて乾燥した暗所に保存しておきます。そして、秋ごろに植え付けます。
【チューリップの「花言葉」は?】
オランダにはチューリップにまつわる伝説があります。昔、3人の騎士から、それぞれ家宝の王冠、剣、黄金を贈られ、プロポーズされた少女がいました。彼女はひとりを選べず、花の女神フローラに頼んで花の姿に変えてもらいました。そこから、チューリップの花は王冠、葉は剣、球根は黄金を表すようになったといわれています。そしてこの伝説が、「博愛」「思いやり」という「チューリップ」の花言葉の由来となりました。
このほかに「チューリップ」には色ごとに違う花言葉ももっています。
・赤色のチューリップの花言葉:愛の告白、家族への感謝
・黄色:望みのない愛
・白色:失われた愛
・紫色:不滅の愛
・ピンク色:愛の芽生え
・オレンジ色:永遠の愛情
愛にまつわる花言葉なだけに、異性に贈るときは慎重になりたいですね。
【「チューリップ」にまつわる「雑学」】
■咲き方による種類は
世界各地で人気の高い「チューリップ」の品種は5,000を超えると言われ、約1000品種目が育てられています。花弁は6枚で、カップのようなかたちの一重咲きや八重咲きをはじめ、ユリ咲き、花弁全体がよじれて“狂い咲き”になるパーロット咲き、花弁が細かく切れ込むフリンジ咲きなど、花形は変化に富み、花色も豊富です。品種によっては、花の色がどんどん変化していくものも。
■日本に伝わったのはいつ?
日本へ「チューリップ」が伝わったのは、江戸末期の文久年間(1860年代初め)とされ、当時は鬱金香 (うっこんこう) と呼ばれていました。しばらくは、わずかに家庭で栽培される程度でしたが、本格的な球根生産が行われたのは1919(大正8)年になってから。最初の栽培地は新潟でした。その後、富山、京都などで生産されたそうです。第二次世界大戦で生産が減少しましたが、戦後、新潟や富山を中心に島根、兵庫、鳥取など日本海沿岸の各県で生産が盛んになり、さらに茨城、埼玉、徳島などに広まりました。
■「チューリップ」が主役のイベントは?
長崎県にあるテーマパーク・ハウステンボスが主催する「100万本のチューリップ祭」は、「どこを切り取っても絵になる美しい花の絶景」と評判。毎年2月から4月に行われ、カラフルな花畑を舞台にアーティストが生演奏を披露します。
300品種300万本のチューリップが色鮮やかに咲き揃うのは、富山県砺波市にある砺波チューリップ公園の「となみチューリップフェア」。高さ4メート、長さ30メートルの「花の大谷」、砺波発案の「水上花壇」、ハート型花壇のある「ILOVE花壇」、五連揚水水車のある「水車苑」などなど、見どころは多彩です。
■「チューリップ」のアレンジメントのポイントは?
チューリップの切り花の特徴をいくつかご紹介しましょう。
・チューリップはみずみずしく茎が柔らかいものが多いため、水が浸かっている部分が多いと、茎が腐って折れてしまうことも。少なめの水を花瓶に入れ、茎が上のほうまで水に浸からないようにしましょう。
・チューリップは水をよく吸う花です。水はたっぷりと毎日取り替えましょう。新鮮なうちは茎を大幅に切り詰めない方が長持ちします。
・暖房に弱いので、涼しい場所に飾りましょう。
・アレンジメントで相性がよいのは、スイートピーやフリージア。
・チューリップは根から切られてからも、背がどんどん伸びます! そのため、生けて数日、早ければ翌日には、思いもよらない向きに動いていることも…。この個性を「アレンジメントしにくい」と捉えるか否かはあなた次第。伸びやかに咲き誇るチューリップを楽しんでみてください。
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「チューリップ」は誰からも愛される、春を彩る花のひとつです。光や温度によって,開いたり閉じたりを繰り返し、イメージががらりと変わるのも特徴。毎年新たな品種が登場し、「え? これもチューリップ?」と驚かされることもしばしば。難しく考えず、チューリップだけを無造作に飾っても絵になるので、店頭で見つけたら、ぜひ楽しんでみてください。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /『花屋さんで人気の469種 決定版花図鑑』(西東社) /『ちいさな花言葉・花図鑑』(ユーキャン自由国民社) /ハウステンボス「100万本のチューリップ祭」(https://www.huistenbosch.co.jp/event/tulip/) /となみチューリップフェア(https://fair.tulipfair.or.jp) :