■サステナビリティの先陣を切るシャンパーニュメゾン「テルモン」

シャンパーニュ地方の銘醸地ヴァレ・ド・ラ・マルヌのダムリー村に居を構えるテルモンが、シャンパーニュを始めて世に出したのは1911年。創業時から"In the name of Mother Nature〜母なる自然の名のもとに"という指標を掲げ、自然への敬意を払いながら製品造りを行ってきました。このマニフェストは今に受け継がれ、4代目のセラーマスターであるベルトラン・ロピタルが伝統的な匠の技術と製法を活かしつつ環境へ配慮しながら、プレステージ級のシャンパーニュを生み出しています。

「メゾン・テルモン」のブドウ畑
2017年に初めて一部の畑で有機認証を取得。2025年までに自社農園で100%有機転換を目指す。

では具体的に栽培と醸造において、メゾン・テルモンはどのようなことを実施しているのでしょうか。テルモンでは、気候変動に対応し、産業として持続可能な生産を継続するための実践目標として生物多様性の保護、エコデザインの実施、再生可能エネルギーの活用、そして生産から物流までのすべてのプロセスの検証を宣言。サステナビリティに関する独自の厳格なガイドラインを設け、自主的に推進しています。環境保護活動家としても知られる俳優のレオナルド・ディカプリオ氏がメゾンの出資者に名を連ねることからも、その本気度がわかるでしょう。

カーボンフットプリントの測定に始まる一連の取り組みは、カーボンニュートラルだけでなく、排出量を上回るすべての温室効果ガスの吸収・相殺、さらにその補償を意味するネットゼロ、ネットポジティブといったゴールを見据え、段階を踏んだ目標設定が為されています。また、ラグジュアリー感を訴求するための特殊な形状のボトルや豪華なギフトボックスを排除、代わりにリサイクルガラスを採用してボトルも軽量化。エコなパッケージに徹している点も特筆に値します。

■除草剤、殺虫剤、防カビ剤、化学肥料は一切不使用。光り輝き生命力に満ちたシャンパーニュ「レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)」誕生

「テルモン」の「レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)」
輝きと爽やかさ、果実味を兼ね備えたレゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)。

この6月、そんなテルモンが100%オーガニック認証の新たなキュヴェ、「レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)」をローンチ。除草剤、殺虫剤、防カビ剤、その他の化学合成肥料を使用しないオーガニックの畑に育ったブドウのみを使用したキュヴェを完成させました。果皮が薄くて果肉にたっぷりと果汁を含み、その果粒が房になって密集するブドウは、あらゆる農作物の中でも病害虫に苛まれることが不可避な果実。ブドウを完全有機で栽培することは多くの労力と忍耐を伴う、とても困難なこと。収穫できたとしても、そのブドウから果たしておいしいシャンパーニュができるのかどうか、高度な技術も必要とします。

セラーマスター兼葡萄栽培責任者ベルトラン・ロピタルがオーガニック栽培を始めたのは2009年のことでした。ご存知のように、シャンパーニュ地方は気候が冷涼で収穫量が安定しない地域。スタンダードキュヴェは複数のヴィンテージをアッサンブラージュし、NV(ノンヴィンテージ)として醸造することが一般的なのはそのためです。さらに気候変動によって、春の遅霜や局地的な豪雨など予測不能な天候に苛まれる近年、殺虫剤や防カビ剤不使用でブドウを育てることはることは多大なるリスクが伴います。実際にシャンパーニュ地方で有機栽培の畑の面積はフランス国内でもごくわずか。それでもベルトランが有機栽培にトライするのは、自然への敬意とテロワールの表現の追求がゆえ。決死の覚悟で取り組んでいるのです。

農学を修め、1991年より4代目セラーマスター兼栽培責任者を継承したベルトラン・ロピタル氏。
農学を修め、1991年より4代目セラーマスター兼栽培責任者を継承したベルトラン・ロピタル氏。

実はこれまでにも有機栽培のブドウから造られたキュヴェは存在したのですが、それは単一ヴィンテージで同じ収穫年のブドウを仕込んだものでした。今回リリースされたレゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)は、2020年収穫を主体に、2019年、2018年の3つの卓越したヴィンテージをアッサンブラージュ。さまざまなブレンディングを試みた結果、ムニエ44%、シャルドネ34%、ピノ・ノワール22%というパーフェクトなバランスに着地しました。マロラクティック発酵は行わず、すっきりとした味筋でフィニッシュ。気になる補糖量は1リットルあたり2.5グラム。ともするとドライになりすぎてフレーバーが欠如するドザージュゼロでなく、果実本来の味わいを引き出す、ぎりぎりの線を目指した量で、まさにアルチザナルな仕事といえます。

■一切妥協のない品質と輝くばかりの味わい

サステナブルな側面がフォーカスされることが多いテルモンですが、ひと口飲めば、その味わいと品質に一切の妥協がないことがわかります。グラスに注ぐときめ細かな泡が立ち上り、シトラスやアニスの香りが漂います。口に含むと優しい泡の柔らかなテクスチャー、続いてフレッシュなレモンのような生き生きとした酸、青リンゴをかじったような爽やかな果実感。ピュアでジューシーな味わいが口中にあふれ、思わず笑みがこぼれるはず。そしてグラスを傾けながら、さまざまな植物で畝がふかふかの、美しいブドウ畑が脳裏に浮かぶことでしょう。

セラーマスターのベルトランは「今回発表するオーガニック・キュヴェは私にとって非常に大きな勝利。長年にわたる有機栽培への取り組みと、テロワールとブドウへの敬意と愛情が身を結んだのです。テルモンのマニフェストを反映するキュヴェであり、燦然と輝く生命にあふれています」といい、メゾンを見守るレオナルド・ディカプリオ氏は「有機農業が土壌やワイン醸造家、そして何よりもワインそのものにとっての恩恵であることは、この『レゼルヴ・ド・ラ・テール』が証明しています。まさに未来を予感させる味わいです」 と確信を込めて語ります。

「テルモン」レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)
レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)750ml ¥13,860〔EUオーガニック認証取得〕
ムニエ44%、シャルドネ34%、ピノ・ノワール22%

自然に敬意を払って真摯に向き合い、その恩恵であるブドウを丁寧かつ芸術的に昇華させて生まれたシャンパーニュ、レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)。輝くばかりの生命力に満ち、飲む人を魅了します。オーガニック栽培のブドウが指し示す、希望にあふれた未来。その美しさと力強さを感じながら、レゼルヴ・ド・ラ・テール(オーガニック)を味わってみてはいかがでしょうか。

※価格は税込です。

問い合わせ先

テルモン

EDIT&WRITING :
谷 宏美