今回取り上げるのは7月14日の「ひまわりの日」。夏の花の代表格であるひまわりの…ではなく、気象衛星の「ひまわり」にちなんだ記念日です。本日は、「ひまわりの日」にまつわる、ビジネス雑談にインサートできる話題をお届けします。

【目次】

「ひまわりの日」は気象衛星、「ひまわりの約束」は秦基博さん。
「ひまわりの日」の「ひまわり」は気象衛星、「ひまわりの約束」は秦基博さんの大ヒット曲で映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌主題歌です。

【7月14日の「ひまわりの日」の基礎知識】

■日付の由来

1977(昭和52)年7月14日は、日本初の静止気象衛星「ひまわり1号」がアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられた日。今回取り上げる「ひまわりの日」は、この気象衛星「ひまわり」の初の打ち上げを記念する日なのです。

■名前の由来

では、その気象衛星はなぜ「ひまわり」という名称になったのでしょう。

「ひまわり」の打ち上げより2年先行して実施されたのが、宇宙開発事業団(現在のJAXA/宇宙航空研究開発機構)による初の人工衛星の打ち上げです。その際に「宇宙に花開け」という思いを込めて「きく」という愛称がつけられました。気象衛星も花の名前がいいということで、太陽の方向を向いて咲く花の「ひまわり」のように、この衛星も赤道の上空3万6000キロメートルの高さから常に地球を見つめていることと、天気に関係する衛星であることから太陽をイメージさせる「ひまわり」が選ばれたのだとか。


【気象衛星「ひまわり」とは?】

■気象衛星とは?

地球の気象状態を観測するための人工衛星を「気象衛星」と言います。静止気象衛星は赤道の上空約 3万6000キロメートルに打ち上げられ、地球の自転周期と同じ速度で周回。可視光線や赤外線を利用して雲や海面水温の分布などを観測し、上層風(地表から約1000メートル以上を吹く風の流れ)などの情報を地上局に送ります。長期的な気象予報や、台風の進路の確定などに重要な役割を果たします

静止気象衛星を利用した地球全体の気象観測は、世界気象機関(WMO)の地球大気開発計画に基づいて「ひまわり」を含む世界各国の気象衛星で手分けして行われています。「ひまわり」は赤道上約3万6000キロメートルの静止軌道から、地球の約3分の1を常時観測しているのです。

■現在の「ひまわり」は?

静止気象衛星「ひまわり」は、2014(平成26)年10月に8号が、その2年後の11月に9号が打ち上げられています。観測画像は従来のモノクロからカラーに変わり、観測の頻度も2分30秒ごとと多くなり、著しい発展を遂げたこの2基体制でより安定した運用が可能となりました。


【「夏の気象」にまつわる「雑学」】

ビジネストークに天候の話題はつきものですね。夏特有の気象現象について、いくつかご紹介します。

■入道雲(にゅうどうぐも)

「入道」とは僧侶のことですが、坊主頭の大男の妖怪、という意味もあります。入道雲は、雲がむくむくと空高く湧き上がるさまが、大男の立ちはだかる姿に似ているところから名付けられたものとか。夕立ちをもたらす雲で、気象学では「積乱雲」と言います。いくつもの積乱雲が群れとなり、10キロメートル四方にも及ぶ巨大なものもあり、含まれる水の量はドラム缶1000万本分にも達するといわれます。これが雨になれば、道路側溝に水があふれたり、川や下水が急に増水する可能性も。入道雲が現れ急に空が暗くなったら要注意です。

■土用波(どようなみ)

夏の土用(立秋前の18日間のこと、2024年は7月19日~8月6日)のころから、日本の太平洋岸で風がないかごく弱いのに海岸に打ち寄せる高波のこと。日本のはるか南海上に発生した台風に伴う強い風で発生した波が、うねりとなって太平洋側の海岸に届くのです。遠方の海上にある台風から発せられたうねり(土用波)は台風の進行速度より速いため、台風より海岸に早く到達するというわけ。

■蜃気楼(しんきろう)

光の異常屈折現象のひとつです。気温の相違に伴い、大気の密度が場所によって異なることで発生します。砂漠で遠方にオアシスがあるように見えたり、海上で船が逆さまに浮き上がって見えたりも。「蜃気楼」のひとつに「逃げ水」という現象がありますが、これは炎天下のアスファルトの道などで遠くに水たまりがあるように見える現象のことです。

■台風の名前

日本では毎年1月1日から発生順に「台風1号」というように数字で呼びますが、海外では一般的に事前に決められた名前リストに基づいて呼ばれます。その名前リストはアジアの国々の動物や植物、山や川などにちなんだ名前が多いのだとか。日本でも甚大な被害をもたらした超大型台風には、のちに「伊勢湾台風」や「枕崎台風」などの名前が付けられます。


【「植物のひまわり」にまつわる「雑学」】

■名前の由来

日本名の「向日葵(ひまわり)」は、太陽の移動につれて花の向きが変わるという性質から付けられたもの。茎の中で、太陽の光が当たる部分よりも、光の当たらない部分の成長スピードが早いため、太陽と反対側の茎が早く成長して太陽側に花が傾いて太陽に向いて咲いているように見えるというわけ。英語名は「sunflower(サンフラワー)」ですが、こちらは花の姿が太陽に似ているからという説や、「following the sun(太陽に従う)」が「sun-follow」になり「sunflower」に変わったという説などがあります。

■「ひまわり」は7月の誕生花

7月の誕生花のひとつが「ひまわり」です。また、日付ごとの誕生花としては、7月20日や8月8日が「ひまわり」となるようです。なぜ複数の日付があるのかというと、誕生花や花言葉は国や地域によってさまざまだから。各地で神秘的で美しい伝承として受け継がれてきました。

■「ひまわり」の花言葉

「憧れ」「崇拝」「情熱」「あなただけを見つめる」など。性別や年齢を問わず喜ばれる花のひとつですね。

■ゴッホの「ひまわり」は7点もある!

「ひまわり」と聞いたら、フィンセント・ファン・ゴッホの油彩を思い浮かべる人も多いでしょう。1987(昭和62)年3月30日、安田火災海上保険(現在の損害保険ジャパン)が名画「ひまわり」を58億円で落札しました。ゴッホはこの「ひまわり」同様、花瓶に差されたひまわりの絵を7点(現存は6点)描いたといわれています。東京・新宿のSOMPO美術館は、アジアで唯一ゴッホの「ひまわり」を見ることができる美術館なのです。

***

日本初の静止気象衛星「ひまわり1号」が打ち上げられてから今年で47年。当時の報道の盛り上がりは知らない…という人がほとんどだと思いますが、7月14日の「ひまわりの日」には気分を明るくしてくれる花のひまわりを飾ってみてはいかがでしょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/index.html :