「大暑」は二十四節気のひとつで、毎年7月23日ごろ。「一年で最も暑い時期」にあたります。関東甲信地方が平年梅雨明けを迎えるのは7月19日ごろですから、梅雨明けの猛暑が始まる時期とも言えます。今も暑いですがもっと暑くなる…と考えると、ちょっとうんざりしてしまいますが、今回は「大暑」について。その意味や「夏至」との違い、「大暑」の時期の過ごし方などを解説します。

【目次】

大暑とは?
大暑とは、一年で最も暑さの厳しい時期です。

【「大暑」とは?「読み方や「意味」など「基礎知識」から】

「読み方」

「大暑」は「たいしょ」と読みます。

■「意味」は?

実は、「大暑」にはふたつの意味があります。ひとつめは「厳しい暑さ。極暑。酷暑」という意味。かつては「今年は記録的な大暑になりそうだ」などと用いられましたが、近年では「猛暑」のほうが一般的かもしれませんね。ふたつめの意味は、 上述した、二十四節気の12番目、「一年のうちで最も暑い時期」です。

■二十四節気の「大暑」ってどんな日?

「大暑」は陰暦6月の節で、新暦(現在の暦)の7月23日ごろにあたります。ここから8月8日ごろの「立秋」までの期間は、一年中で最も気温の高い季節にあたります。梅雨明けを迎える頃でもありますね。アブラゼミが鳴き、トンボが飛び交い、サルスベリ、ナデシコなどの夏の花も盛りを迎えます。


【「大暑」と「夏至」との違いは?】

■「二十四節気」をおさらい!

二十四節気とは、古代中国でつくられた季節の区分法です。地球から見て、太陽が移動する天球上の経路である「黄道」を基準に、1年を24等分して気候の推移を示します。そのため、各節気の期間は約15日です。そして、例えば「大暑」といった場合、「大暑」に入る日を指す場合と、「大暑」にあたる期間を指す場合があります。

二十四節季の中で重要な節目となるのが、「二至二分(にしにぶん)」と呼ばれる、春分、夏至、秋分、冬至の4つの節目です。春分と秋分は昼と夜の時間が同じになり、夏至は昼の時間が最も長くなる日。反対に冬至は昼の時間が最も短くなる日です。また、それぞれの季節の始まりを告げる立春、立夏、立秋、立冬の4つを「四立(しりゅう)」と呼び、二至二分と四立をあわせたものが「八節(はっせつ)」で、この八節を3つの節気に分けたものが二十四節気となります。

■「夏至」と「大暑」の違いは?

二十四節気は「春夏秋冬」4つの季節をそれぞれ6等分しています。夏は「立夏」から始まり、「小満(しょうまん)」→「芒種(ぼうしゅ)」→「夏至」→「小暑(しょうしょ)」→「大暑」と続きます。「大暑」は「夏至」のふたつ後ですから、「夏至」から約30日後とということになります。 そして「大暑」のあとは、秋を知らせる「立秋」となるのです。


【2024年の「大暑」はいつ?】

例年、7月22日〜7月23日ごろになります。太陽の軌道は一定ではないため、「大暑」を含め、二十四節気の日付は固定されておらず、毎年、国立天文台暦計算室によって定められます。今後の「大暑」の日付は以下の通り。

・2024年の「大暑」 ...... 7月22日〜8月6日
・2025年の「大暑」 ...... 7月22日〜8月6日
・2026年の「大暑」 ...... 7月23日〜8月6日
・2027年の「大暑」 ...... 7月23日〜8月7日


【大暑の風習とは?「過ごし方」「食べ物」】

■「大暑」は「暑中見舞い」の季節です

暑中見舞いは、二十四節気の「小暑」「大暑」の期間中(7月7日頃〜8月6日ごろ)の暑い盛りに出すのがマナー。「大暑」を過ぎ、「立秋」を迎えてから出すのは残暑見舞いです。こちらは「白露(9月7日ごろ)」の前日までに届くようにしましょう。「暑中見舞い」は一般的に慣用句の「暑中見舞い申し上げます」ではじめますが、書き出しの例文をいくつかご紹介しましょう。

・「暑中お見舞い申し上げます。厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか」
・「盛夏お伺い申し上げます。皆さまお健やかにお過ごしのことと存じます」
・「炎暑お伺い申し上げます。息もつけない暑さですね」
・「梅雨明けとともに猛烈な暑さに見舞われております」
・「暑さ誠に厳しき折、ご息災のこととお喜び申し上げます」

■「土用の丑の日」はうなぎを食べる日?

夏の盛りに迎える「土用の丑の日」は、うなぎを食べる習慣で知られていますね。実は「土用」は夏に限定したものではなく、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を指し、それぞれ「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」とも呼ばれています。従って「夏土用」は立秋前の18日間。この期間中、特に「丑の日」にあたる日が「土用の丑の日」とされているのです。2024年の夏の「土用の丑の日」は、7月24日と8月5日。うなぎのほかにも、「梅干」や「うどん」「うり」など、「う」のつく食べ物を食べる風習もあり、夏バテ防止や健康維持に役立つとされています。

■「大暑」は「夏祭り」の季節

「大暑」の頃には日本各地でお祭りや花火大会など、大きなイベントや行事が開催されます。
・青森の「ねぶた祭」:毎年8月2日〜7日
・秋田の「竿燈まつり」:毎年8月3日~8月6日
・山形の「花笠まつり」:毎年8月5日~7日
・仙台の「七夕祭り」:毎年8月6日〜8日
・京都の「祇園祭」:毎年7月1日〜7月31日までの1か月間。お祭りのハイライトである八坂神社の神輿渡御と34基の山鉾(やまほこ)巡行は7月17日と7月24日。

■「大暑」に「旬」を迎える食材は?

「土用の丑の日」のうなぎは有名ですが、実は天然うなぎの旬は10〜12月。とはいえ、養殖うなぎは「土用の丑の日」に合わせて6〜8月を旬として、安定した美味しさを提供しています。夏バテ防止や、すでに夏バテ気味な体のスタミナを回復するには、この時期に旬を迎える食べ物をいただくのがいちばんです。

【大暑に旬を迎えるたべもの】
・とうがん
・ししとうがらし
・夏キャベツ
・ゴーヤー
・なす
・オクラ
・とうもろこし
・ぶどう


【「大暑」を「英語」で言うと?】

国立天文台の「暦用語解説」によれば、「大暑」は [Taisho]。[Greater Heat;Hottest days]と説明されています。ちなみに「小暑」は[Shousho]で、[Lesser Heat;Times when the rainy season ends and it becomes hot]。また、「大暑」を「厳しい暑さの時期」と捉えれば、[the hottest time of the year]と表現できます。

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「大暑」には朝顔や白粉花(おしろいばな)、女郎花(おみなえし)が盛りを迎えます。夏休み前、まだ体の小さな小学1年生が、学校で育てた朝顔の鉢植えを家に持ち帰る姿は、日本の夏の風物詩のひとつですよね。夏バテに気を付けて、年々厳しさを増す夏を乗り越えましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『心が通じる 手紙の美しい言葉づかい ひとこと文例集』(池田書店) 国立天文台「こよみ用語解説」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html.en :