ハリウッド女優は普段どんな贅沢な毎日を送っているのか、気になりませんか? 実は、絵に描いたような女優ライフを送った人物が今、話題になっています!
それは、1930年代にハンガリーでデビューし、1940年代に米国に渡った女優のザ・ザ・ガボール。日本ではあまり知られていませんが、ハリウッド近郊の高級住宅街の豪邸を手に入れて優雅なドレスやジュエリーを身にまとい、セレブリティが集うパーティで社交にいそしむという、華麗な人生を過ごしていたのです。
ソーシャルメディアもなかった当時、そんなハリウッドライフの実態を垣間見るのは簡単ではありませんでした。しかし、2016年12月にザ・ザが99歳で亡くなり、その遺品が今オークションにかけられ、「ハリウッド女優が一体どんな部屋でどんな服を着て、どんなソファでくつろいでいたのか、そのライフスタイルを垣間見ることができる」と、海外メディアの注目を集めているのです。
ザ・ザのすべての遺産を受け継いだのは、彼女より26歳年下にして9番目(!)の夫であるフレデリック・プリンツ・フォン・アンハルト氏。彼は米国ロサンゼルスの超高級住宅街・ベルエアにあるザ・ザの邸宅に遺された品々計500点近くを、この4月14日のオークションで放出することにしたのです。
ヴィンテージのエルメスあり、金のピアノあり、銀食器あり……。その出品物はすべてWebサイトから確認可能。古い物好きは見始めると止まりません! ただ、なかには「何でそんなものを!?」と驚いてしまうような実用性が乏しいものも……。
というわけで、ザ・ザが生前愛用していたカラフルでフォトジェニックなアイテムの一部をご紹介します。
■迫力のネックレスに、高値必至のエルメス
たとえばこの迫力あるエメラルド風ネックレスは、ザ・ザが1970年に著した「How to Catch a Man・How to Keep a Man・How to Get Rid of a Man(男をつかまえる方法・キープする方法・捨てる方法)」という(9回結婚した彼女らしいタイトルの)書籍の表紙で着用していたもの。
あくまでエメラルド「風」で、本物のエメラルドやダイヤモンドではありませんが、この表紙写真で重ね付けしているネックレスは、以前別のオークションで127万ドル(約1.3億円)で落札されたハリー・ウィンストンのもののようです。つまりエメラルド「風」であっても、本物と並べても遜色ない輝きであることがわかります。
一方こちらはエルメスのヴィンテージバッグ、サック・マレット。素材はエルメスでも最高級とされるポロサス・クロコダイルです。記事執筆時点での入札価格は2200ドル(約23万円)と、多少の経年劣化があるとはいえ、エルメスでは考えられない金額になっています。
ザ・ザはこのサック・マレットがお気に入りだったようで、色違いのものも出品されていますが、同様のバッグは2008年のオークションで1万3750ポンド(約200万円)の値を付けています。
ドレスも数多く出品されています。こちらはオーストリッチの羽をふんだんにあしらった1950年代のフルレングスのドレスで、ザ・ザはこのスタイルのドレスを生涯に何度もつくっていたそうです。なお服やバッグ、靴などでは、普段使いのジャケットやブーツなども含めて出品されていて、ものによっては数ドルから入札可能です。
■華やかなパーティや交友関係をしのばせる品の数々
こちらはパーティを愛したザ・ザらしい、総計104ピースに及ぶモエ・エ・シャンドンのセット。3リットルのダブルマグナムボトルを含めたシャンパン合計34本にグラスやボウルがセットになっていて、ボトルは未開封だそう。年代は「20世紀後半」としか書かれていないのですが、落札する人は実際に飲むのかどうか、気になります。
ザ・ザは女優としての活動より、社交界での存在感の方が強かったと言われています。交友関係は幅広く、この乗馬用の鞍は元俳優でもあるロナルド・レーガン元大統領から贈られたものでした。
写真やアルバムも多数残されており、それも今回のオークション対象になっています。このアルバムには、レーガン元大統領の妻で元女優でもあったファーストレディ、ナンシー・レーガンとの写真などが含まれています。
こちらはザ・ザの3人目の夫で俳優のジョージ・サンダースが所有していた、スタインウェイのグランドピアノ。ふたりが結婚していた時期の1951年、彼が『イヴの総て』でアカデミー助演男優賞を受賞した記念に金色に塗ったそうです。「ピアノを金に塗る」という発想が、やはり常人とは違うところです。
■実用性にとらわれない、リュクスな生活を演出する家具や小物たち
今回のオークションには、大物家具も数多く出品されています。ルイ・ヴィトンのモノグラムのスーツケースの山に囲まれているのは、ザ・ザが「(ナポレオン・ボナパルトの妻)ジョゼフィーヌ妃のベッドのレプリカ」と主張した、シルクの天蓋付きのデイベッド。
実際はHeritage Auctionによれば「やや似ているだけ」だそうですが、ともあれ実用性が低そうなぶん、余計にその存在が愛らしく感じられます。なおルイ・ヴィトンのスーツケースも、5ピース、9ピースといったセットで出品されています。
肉料理をサーブする、ただそれだけのための銀製の台なんて、普通の個人宅で使うことは決してなさそうなアイテムです。この他にも燭台セット、食器セット、グラスセットなどが山のように出品されています。
こちらは一応実用性のあるダイニングセットですが、庶民感覚ではまず選ばなそうなデザインと周りの豪華なセッティングに圧倒されます。ほかにもさまざまな家具が出品されていますが、テーブルだけで大小、合わせて30台以上があります。
■オークションをのぞけば、何かが見つかりそう
とはいえ必ずしも高価なものばかりではなく、たとえばシャネルのパンプスを含めた履き古しの靴や置物、巨大なソファや本棚などは、記事執筆時点の入札価格が1ドル(約110円弱)となっています。となると、何か掘り出し物があるのでは……と食指が動く人もいるのではないでしょうか。このオークションは米国時間2018年4月14日に開催され、日本からもオンラインで参加が可能だったとか。
海外メディアでも、「誰でも何かしら見つけられるのでは」と書かれていました。筆者もこの記事を書きながらついいろいろなアイテムをリアルに検討してしまいました。夏のリゾートに着られそうなワンピースや、ちょっとした空間に飾れそうな小物などなど、意外とお手頃なものも出品されていたからです。
なお遺品を売りに出したアンハルト氏は、ドイツの元王家の女性にお金を払って養子縁組することで「プリンツ」(王子)の名を手に入れた人物で、後年はザ・ザのひとり娘(父親はコンラッド・ヒルトン)との間で相続をめぐってもめていました。
そんなお騒がせな経緯もあって、今回のオークションでも、思い出の写真まで洗いざらい出品している感じがちょっと引っかかります。が、各メディアでの受け止め方を見ていると、ザ・ザ・ガボールという女性が時代を超えて愛されていることが感じられ、遺品を眠らせておくよりは、興味のある人の手に渡した方が彼女にとってよい形になるような気がしてきます。
ラグジュアリーな生活をのぞいて現実逃避するも良し、お買い得品を探してみるも良し。ザ・ザ・ガボールの世界、特にアンティークやヴィンテージものなどが好きな方はぜひ見てみてください!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- Heritage Auctions(HA.com)
- WRITING :
- 福田ミホ