「汎用」を正しく読めますか?「ぼんよう」ではありませんよ。「汎用性が高い」「汎用性がある」というように使いますがその意味は? 今回は「汎用性」についてさくっと解説します。
【目次】
【「汎用性」の基礎知識】
■読み方
「汎用性」は「はんようせい」と読みます。
■意味
「汎用」とは、いろいろの方面に広く用いることを言う名詞。「汎」には広く行き渡るという意味が、「用」には役立てるという意味があります。そして「汎用性」や「安全性」など名詞について用いる「性」は、ものごとの性質や傾向を表す語。従って「汎用性」は広く用いることができる性質や傾向、ひとつのものがさまざまな用途に広く使える性質を表します。
■使い方
「汎用性がある/ない」「汎用性が高い/低い」というように、この性質がどうなのかということを示して使用します。一般的には優れている、使いやすい様子のことを「汎用性がある」「汎用性が高い」といいます。
【「使い方」がわかる「例文」5選】
■1:「将来性を考えて、時間がかかっても汎用性の高いものを開発すべきだ」
■2:「さまざまな製品に用いることができる、汎用性の高い素材が求められている」
■3:「サスティナブルやSDGsの観点からも、汎用性の高い製品や素材であるべきだ」
■4:「芸術にも汎用性が求められる時代がくるのだろうか」
■5:「汎用性の高い部品を使用することでコストダウンが見込める」
製品や素材についていうことの多い「汎用性」。「どの部署でもそこそこ評価される汎用性の高い人」というように、皮肉や揶揄を込めた軽口として使うことがあるかもしれませんが、目上の人には使わないようにご注意を!
【「汎用」の「類語」「言い換え」表現】
「汎用」の「類語」や「言い換え表現」についてみてみましょう。微妙なニュアンスの違いを使い分け、「大人の語彙力」を鍛えてください。
■類語
・万能(ばんのう):すべてに効力があること、 あらゆることにすぐれていること、なんでもできること。「万能薬」「万能選手」
・多機能(たきのう):機能が多いこと、道具や設備などがさまざまな働きを備えていること。「多機能プリンター」
・多目的(たもくてき):同時に種々の目的をもっていること。また、そのさま。「多目的トイレ」
・多用途(たようと):物や金銭などの使い道の種類が多いこと。「多用途洗剤」
■言い換え
・活用できる ・応用できる ・共用が可能 ・代替が利く
【「汎用性」の「対義語」はどうなる?】
「汎用性」の対義語としては、「専門性」「特化」「限定」などが挙げられます。「汎用性の高い素材」を対義でいうと、「専門性の高い素材」や「ある性能に特化した素材」「使用を限定した素材」というようになります。時代は「汎用性」を求める傾向にありますが、「専門性」「特化」「限定」といったキーワードに魅力があることも否めませんね。
【似ているけど違う「凡庸」とは?】
「汎用」と聴こえ方や字面が似ている言葉に「凡庸(ぼんよう)」があります。「凡庸」とは、平凡で特にすぐれたところのないことや、そういう人、そのさまを指します。雰囲気が似ている言葉なので、間違えないようにしてくださいね。
【「汎用性」を「英語」で言うと…】
「汎用性」は英語で[general purpose][versatility][general versatility]などと表現します。
・a general purpose computer(汎用コンピューター)
・The new material is highly versatile, so we can expect business opportunities.(新素材は汎用性が高いので商機が見込めるだろう)
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ビジネスシーンで使われることの多い「汎用性」という言葉ですが、私たちの日常の暮らしのなかにも「汎用性の高い製品」がありますね。断捨離を行う際には、汎用性の高いものを残す、多機能な製品を残すとうまくいきそうです。言葉は実体験が伴うと覚えやすいので、身の回りにある物の汎用性について考えてみるといいかもしれません。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :