マセラティは2024年に創業110周年を迎えた老舗。創業時からカーレースに力を入れていたブランドであり、近年は電気自動車のトップカテゴリー「フォーミュラE」にも参戦。この歴史からわかるように、スポーツカーの伝統を踏まえながら、先進性にも長けた自動車作りが特徴なのですが、芸術的感性を大事にするイタリアのものづくりの矜持は無二の個性として評価され、20世紀半ば以降からラグジュアリーカーブランドとしての名声を確立しています。
4人乗りのオープンモデル「グランカブリオ」は、そうしたマセラティの特徴を強く感じられる、魅力的な存在。仕事でもプライベートでも、さりげなく大人の艶をほのめかすことができて、もちろん運転する楽しみも感じられる、贅沢な一台です。
伝統の美しいスタイルは実用性も抜群
「グランカブリオ」は、後部座席を備えた4人乗りのオープンモデルです。人を乗せる機会が少なくても、後ろに荷物を置きやすいというメリットがあります。そしてなによりも、4つの座席を備えた流れるようなボディに魅せられます。全長は5m近くあり、曲線を取り入れたボディラインはひときわエレガント。ハンドルを握っていると、まるでロングコートをはおったときのような感覚です。風にたなびくひざ下丈のコートが大人の女性を美しくみせるように、「グランカブリオ」には節度ある艶やかさがあります。
美的なアプローチは内装にも抜かりありません。きめが細かく体に吸い付くような肌ざわりのレザーシートを据え、大型のタッチパネル液晶モニター、やはり液晶のメーターパネルでデザインされた運転席回りはクラシカルな雰囲気を残しつつ、イタリアのモダンな家具のようにミニマルで、実用的なアメニティも充実。座ったときの見晴らしにも優れ、幌を開ければ後方もしっかりと見渡せて安心。これはオープンモデルの大きなメリットです。
“見えないストール”を巻いて心と体に響く感動の世界へ
マセラティの“艶”を演出するもうひとつの要素が、走行中のサウンドです。車体前方に収まるエンジンから発する回転音、そして最後部の排気管を通る音からなり、アクセルペダルを踏みこむ量に応じて聴こえてくる音色の美しさは、昔からのファンには知られた特徴です。「グランカブリオ」のそれは豊かな低音から始まり、エンジン回転が高まるとみごとに調律された中高音が車内を包み込みます。
よりダイレクトに楽しむなら、頭上の幌を開けてしまいましょう。「グランカブリオ」の前席には、ドライバーとパッセンジャーの首周りを温風で包み込む、3段階で温度調整が可能なネックウォーマーが付いています。この“見えないストール”を巻いていれば、気温が低いときでもそれほど無理なくオープンエアドライブを楽しめるはず。
「真冬に幌を開けて走るの?」と驚くかもしれませんが、一見気持ちよさそうに思える夏は日差しがきつく、とくに日本は湿度が高いため、必ずしも快適ではありません。一番快適なのは断然春と秋ですが、気持ちと体に余裕があるときは、ぜひ寒い時季にもお試しを。
透明感のある朝の空気、夕暮れ時に刻々と変化する群青色の空、交通量の少ない夜の街……。仕事から旅まで、さまざまなシーンで味わうオープンエアドライブは心を打ち、そして美しい歌声が運転の楽しみに花を添えてくれます。この、心と体に響く感動を独占する悦び、艶めく体験は、感性を大事にするイタリアメイドのマセラティでこそ最大化されるのです。
【MASERATI GranCabrio Trofeo】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,960×1,950×1,380mm
車両重量:1,970kg
仕様:左ハンドル、8速AT
車両本体価格:¥31,200,000(税込み)
問い合わせ先
- TEXT :
- 櫻井 香さん ライフスタイルエディター
- PHOTO :
- 写真提供/マセラティ ジャパン