令和の世となってから、コロナ禍と能登半島地震による被害を考慮して、皇居で行われる「新年一般参賀」はたびたび見送られてきましたが、宮内庁の発表によると、2025年は「新年一般参賀」が行われる予定です。今回は「新年一般参賀」を深掘り。その意味や2025年の日程、「新年一般参賀」にまつわる雑学をお届けします。
【目次】
【「新年一般参賀」とは?】
■そもそも「参賀」って?
「参賀(さんが)」とは、「宮中に参上して祝賀の意を表すること」。ことに、「新年に皇居に行って祝賀の意を表すること」を指す場合が多いですね。「一般参賀」は、「一般の人々が、皇居内へ出向いて祝賀の意を表する行事」で、毎年2回、1月2日と天皇誕生日に行われます。
■「新年一般参賀」とは?
政府広報ラインによれば、「新年一般参賀」とは、毎年1月2日、皇居において、天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる行事です。 毎年、天皇皇后両陛下をはじめ皇室の方々が、宮殿のベランダにお出ましになり、参賀者からの祝賀をお受けになり、お言葉を述べられます。私たち国民にとっては、ふだんは通ることができない皇居正門(二重橋)から宮殿の東庭(とうてい)に参入し、天皇皇后両陛下をはじめ皇室の方々に、直接、新年のお祝いをすることができる貴重な機会です。
【2025年はいつ、何時から?】
「新年一般参賀」は、毎年1月2日に行われます。
期日 令和7年1月2日
参入時刻 午前9時30分~午後2時10分(祝・木)
参賀会場 宮殿東庭
参入門 皇居正門
退出門 坂下門、桔梗門、大手門、乾門
お出まし(予定) 天皇皇后両陛下が、5回長和殿ベランダにお出ましになる予定です。
第1回 午前10時10分頃
第2回 午前11時00分頃
第3回 午前11時50分頃
第4回 午後1時30分頃
第5回 午後2時20分頃
※宮内庁は、「前日(1月1日)の夕方及び当日(1月2日)の未明から、皇居外苑付近に整列することは、御遠慮願います。お出まし終了後は、次の方々が入場できるように、参賀会場からの退出に御協力をお願いします」との注意喚起を行っています。
【最高参賀者数など、新年一般参賀にまつわる「雑学」】
■「新年一般参賀」は、いつ始まった?
「新年一般参賀」は、1948(昭和23)年1月1日に始まりました。もうひとつの「一般参賀」である天皇誕生日の参賀も、同年4月29日に始まりました。当時は訪れた人が記帳するだけで、昭和天皇はその様子を宮内庁庁舎の屋上から見ていたそうです。昭和天皇と香淳(こうじゅん)皇后が参賀にお姿を見せたのは、1950(昭和25)年の天皇誕生日の参賀が最初で、当時は庁舎の中央玄関の上にあるバルコニーから応じたそうです。
現在のように「新年一般参賀」が1月2日に行われるようになったのは、1953(昭和28)年から。1964~68年は、宮殿の造営工事のため、記帳のみの実施でした。1969(昭和44)年の「新年一般参賀」から皇室出席の参賀が再開され、現在の東庭で開かれるようになったそうです。
■これまでの最高参賀者数は?
宮内庁ホームページによれば、平成以降、最も参賀者数が多かったのは、2019年(平成31)年の15万4,800人です。当時の明仁天皇陛下(現在の上皇陛下)は、2019年4月30日に退位されることが決まっていたため、天皇として新年の一般参賀に臨まれるのは2019年が最後の年でした。退位を目前に控える陛下に、国民の関心が高まったと分析されています。2番目に多い参賀者は、その前年となる2018年の126,720人。3番目は皇太子同妃両殿下(現在の天皇皇后両陛下)ご成婚の翌年に当たる1994年の約111,700でした。
令和になってからは、最初の「新年一般参賀」となる2020(令和2)年は68,710人。2021年と2022年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から行われませんでした。3年ぶりに行われた2023年の新年一般参賀は、高齢者を含む多くの人が訪れることから、密集を避けるため、1回あたりの入場者数を事前の抽選で1500人程度に絞って行われ、12,642人が参賀に訪れました。
さらに2024年は、能登半島地震の被害の状況などを鑑み中止に。2025年1月2日に行われる予定の「新年一般参賀」は2年ぶりとなります。2020年以来5年ぶりに事前の申し込みなしで行われ、希望者が当日皇居に直接訪れる形で、1日に5回開催する予定となっています。
■参賀の会場「東庭」って?
参賀の会場となるのは、皇居宮殿の東庭です。皇居宮殿で最も長い建物「長和殿(ちょうわでん)」の前の広場で、「松の塔」があり、その地下は約120台を収容する駐車場になっているとか! 当然ですが、参賀者は使用できませんよ、念のため!
■事前の準備は?
2025年の「新年一般参賀」は事前の申し込みと抽選は行われません。参加条件などはなく、もちろん外国人の方も参加できます。皇居外苑(皇居前広場)で手荷物検査とセキュリティチェックが行われるため、必要のない荷物は駅のコインロッカーなどに預けておきましょう。寒いなか、待ち時間が長くなることが予想されます。暖かい服装やカイロなどで寒さ対策をしっかり行ってくださいね。
また、坂や砂利の道があり、ヒール靴などは転倒事故につながる恐れがありますので、歩きやすい靴で出かけることも大切です。また、多くの旅行代理店が「新年一般参賀ツアー」を企画しています。地方からの参加であれば、こちらを検討するのも手ですね。
■参賀者が振っている国旗は?
皇居の一般参賀では、参賀者が一斉に国旗を振っている映像が報道などで流れています。実はあの国旗は、現地で無料配布されるもの。公益財団法人日本文化興隆財団と皇居参賀奉祝委員会が共同して、全国からの篤志による寄附金で製作された小旗です。協力団体のメンバーが一本一本手づくりしており、すべての参加者の手に行き渡るとは限りませんが、運よく手に入ったら、よい記念になりそうです。
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令和に入ってから、現在の天皇皇后両陛下が祝賀を受けられるのは、2025年で3回目となります。2年ぶりの開催となり、抽選も行われない今回は、どれほどの人々が参賀に訪れるのでしょうか。お出ましは5回。宮内庁は各回2万人程度までの入場を想定し、混雑時にほかの人の近くで大声を出さないよう協力を呼びかけています。それを心に留めつつ、温かくしておでかけくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /政府広報ライン(https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5468.html#:~:text=新年一般参賀は、毎年,事項をお知らせします%E3%80%82) 宮内庁『新年一般参賀要領』(https://www.kunaicho.go.jp/event/sanga/sanga01.html) :