「伺わせていただきます」は誤用？正解と正しい敬語表現【大人の語彙力強化塾】

【目次】

• 「伺わせていただきます」は敬語として正しい？
• 正しい「言い換え」
• 「伺う」の正しい敬語表現を使った「例文」

【「伺わせていただきます」は敬語として正しい？】

敬語の誤用が話題になると、必ずと言っていい程、とりあげられる「～させていただく」ですが、今回の使い方はどうでしょうか。じっくりみていきましょう。

■まずは「伺わせていただきます」を分解

「伺わせていただきます」は、［伺う＋させていただく＋ます］で構成された言葉です。「伺う」は「行く」「聞く」「尋ねる」の謙譲語。「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語。現在は「させていただく」でひとつの成語して扱われるのが一般的です。そして「ます」は丁寧な断定の助動詞です。

■「伺わせていただきます」は二重敬語？

結論から言えば、ひとつの語について、「伺う」と「させていただく」というふたつの謙譲語を使った「伺わせていただきます」は、二重敬語です。相手を敬う気持ちを示そうとするあまり、過剰に敬語を重ねてしまう、ということはままあること。なかでも「させていただく」は「うっとうしい」「わずらわしい」と感じる人が多く、「イラっとする誤用」いわれがちです。注意したいですね。

【正しい「言い換え」】

「伺わせていただきます」の正しい敬語表現は、シンプルに「伺います」でよいのです。でも、「目上の方に対して『伺います』は、敬意の示し方が足りないのでは？」と心配になりますよね。

■「お伺いします」「お伺いいたします」は正しい敬語表現？

「お伺い」という言葉は日常生活で頻繁に使われています。でも「伺う」という謙譲語に謙譲の接頭語「ご」をつけたら、厳密に言えば二重敬語なのです。

ただし、文化庁の「敬語の指針」では、「お伺いする」「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」といった言葉は、すでに定着しているため、使用に問題はないとしています。ですから、「伺います」では丁重さに欠けると感じられる場面では、「お伺いします」や「お伺いいたします」を使うとよいでしょう。

また、「伺う」に「思う」の謙譲語「存じる」をつなげた「伺いたく存じます」は正しい敬語表現です。こちらも場面に応じて使い分けてください。

【「伺う」の正しい敬語表現を使った「例文」】

■「行く」という意味で使った場合

・「差し支えなければ、明日は15時に御社にお伺いしてもよろしいでしょうか」

・「明日の打ち合わせは15時に御社に伺いたく存じますが、いかがでしょうか」

・「申し訳ありませんが、その時間には伺えません」

■「聞く」

・「御社の実績については、担当者さまより詳しく伺っております」

・「今回は興味深いお話を伺い、大変勉強になりました」

■「尋ねる」

・「お送りいただいた資料について、伺いたいことがございます」

・「先方さまのご連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか」

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度々話題になる「させていただく」問題。「伺わせていただきます」と言いたいシーンでも、「お伺いする」「お伺いいたす」がさらりと使えるようになるといいですね。敬語として物足りない…と、もやもやしてしまうときには、「恐縮ですが」「差し支えなければ」などのクッション言葉を使うといいですよ。