4つの漢字を組み合わせることによって意味を成す「四字熟語」。中国の故事や仏教に由来するものが多いのですが、日本の文化や歴史のなかで長く使われてきています。文章を簡潔にして効果的に表現するという利点もある四字熟語のなかから初夏に使いたいものを厳選して、その意味や使い方をご紹介します。

【目次】

【雨過天青/うかてんせい

■意味・由来

雨が通り過ぎたあとの青空を指す熟語です。転じて、災いのあとの晴れやかな気分を指すことも。

■使い方

・雨過天晴の行楽日和

・じくじたる思いが一掃され、雨過天晴の心持ちだ


【雨露霜雪/うろそうせつ】

■意味・由来

「雨」「露」「霜」「雪」という四季折々の自然現象を指す語による四字熟語。気象の変化を言います。こうした言葉を意識して使うことで、自然の美しさや四季の移ろいを深く味わうことができます。転じて、世渡りしていくうえでのさまざまな困難や苦労を表します。

■使い方

・茶室は雨露霜雪を肌で感じられる空間だ

・初夏の雨露霜雪は、豊かな自然の恵みを際立たせる

・人生は雨露霜雪の繰り返しだ


夏雲奇峰/かうんきほう

■意味・由来

初夏から夏のシーズンに見られる入道雲(積乱雲)が珍しい形の峰のように見える様子のこと。中国の詩人・陶淵明(とうえんめい/365~427年)の『四時』に収録されている「夏雲奇峰多し」に由来するとされています。

■使い方・類語

・夏の訪れを告げる夏雲奇峰の眺め

・夏雲奇峰の情景が見事に表された絵画


一碧万頃/いっぺきばんけい

■意味・由来

海や湖の水面に碧色(へきしょく/濃い青色)が広がっているさま。「一碧」は見渡す限り青一色であることを示し、「頃」は古代中国の面積を表す単位で「万頃」は極めて広いことを示します。

■使い方

・一碧万頃の眺め

・一碧万頃の湖面に映る青々とした山並み


上下天光/しょうかてんこう】

■意味・由来

空と水とがひとつになって明るく輝くさま。「上下(しょうか)」は天地、空と水を指します。「天光」は空一面に輝く日の光のこと。「上下天光」で、空一面に輝く日の光が水面にも映り、天にも地にも光が満ち溢れたさま、というわけです。中国の政治家で文人の范仲淹(はんちゅうえん/989~1052年)の『岳陽楼記』に登場する語です。

■使い方

・上下天光の美しさ

・上下天光のさまは、まるで極楽浄土のようだと称えられた


【水天一碧/すいてんいっぺき】

■意味・由来

水と空とがひと続きになって、一様に青々としていることを言います。「水天」は水と空、海と空を表し、「一碧」は上述した通り、一面が深い青緑色であることを指します。

■使い方

・水天一碧の風景を楽しむ

・すがすがしい気分は水天一碧のようだ

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今回は初夏らしい美しい景色を表す四字熟語をご紹介しました。手紙やメール文にさらりと添えられたら素敵です。転じて…の意味をもつ言葉もあるので、お仕事シーンでも使ってみてください。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『新明解四字熟語辞典』(三省堂)/『四字熟語辞典』(学研)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社) :