「しんこんでん」ではありません!「新墾田」ってなんと読む?
明日、6月29日は『佃煮の日』です。種類が多く、不足しがちな栄養素も豊富な佃煮をもっとPRしたい、という願いで、全国調理食品工業組合が制定しました。日付は、佃煮発祥の地・東京の佃島の守り神とされる、住吉大社の大祭の日にちなんでいます。
佃煮というと、濃い味のイメージから、ヘルシーなイメージのない方もいらっしゃるようですが、実は、海藻や貝類・小魚などを丸ごと調理しているため、各種ビタミンやミネラル、食物繊維などをしっかりと含んでいます。そのままいただくだけでなく、お料理のアクセント的に取り入れてもおいしそうですよね。ということで本日は「佃」という字の部首とつくりから、「人」「田」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「彼の人」ってなんと読む?
「彼の人」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:2通りの正解があり、どちらも「彼」の読みがなは1文字です。以下の使用例に、どちらの読み方でも意味の通る例文を記します。
<使用例>
「私なりの意見があること、彼の人にもわかってほしいわ」

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 彼の人(あ-の-ひと/か-の-ひと) です。

「彼」に「あ」という読みがなはございませんが、意訳、また、塾字訓として「彼奴(あいつ)」「彼所(あそこ)」などの読み方が存在します。ですので「彼の人」の「彼」は「あ」という読み方がポピュラーで、この場合の意味は「三人称の人代名詞」「恋人」「近世、対等以下の人を指した二人称の人代名詞」です。
一方、「彼の人」の「彼」を「か」と読むと、「三人称の人代名詞」「恋人」のみの意味になります。前者のほうが、関係性がフラット、かつ、気易いイメージで、後者はやや「あの方」的な、呼ぶ側にとって特別感のあるイメージです。
ちなみに古来より、日本語に「かれのひと」という言いまわしはございません。
では、2問目は「田」という字の入ったクイズです。
【問題2】「新墾田」ってなんと読む?
「新墾田」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「新しく切り開いて作った田」のことです。
<使用例>
「このあたりに新墾田をつくって、農業を始めたいんです」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 新墾田(あらきだ) です。

「新墾」には「あらき」「しんこん」とふたつの読み方がございますが、「新墾田」は慣例的に「あらきだ」という読み方しかございません。田んぼを開墾する際には、クワを手前に繰る動作を繰り返して耕すので、「新繰(あらく)り」が音変化して「あらき」になった、という説が有力です。その昔、荒地から田んぼを開墾するのが当たり前だった時代には、「あらきだ」という言葉が日常的に使われ、「新墾田」という漢字表記と合体したもの、と思われます。
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本日は、6月29日『佃煮の日』にちなんで、「人」「田」という字の入った日本語から、
・彼の人(あ-の-ひと/か-の-ひと)
・新墾田(あらきだ)
の読み方、言葉の背景についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/日本記念日協会ホームページ/全国調理食品工業協同組合ホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱