連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、世界的な高級家具ブランド「B&B ITALIA USA」でデザインディレクターとして活躍するオラン・アベジスさんにインタビュー!

オランさんはカナダ・モントリオール出身のフランス系カナダ人で、祖父母はモロッコ出身の移民。ヨーロッパにも親戚も多く、多文化が同居する家庭環境で育ったことから “人種のるつぼ” とされるN.Y.に深い愛情を感じ、キャリアを築くことを夢見ていたのだそう。

オランさんが、クリエイティブな仕事を続けていくうえで大切にしていることとは? お仕事について詳しくお話しをうかがいました。

オラン・アベジスさん
「B&B ITALIA USA」デザインディレクター
(Orane Abezis)モントリオール出身。大学でインテリアデザインとアートを学び、地元の建築事務所でキャリアをスタートさせたのち、N.Y.へ移住。現在は「B&B ITALIA USA」に勤務し、ラグジュアリーなレジデンスやホテルスイートのインテリアキュレーション、建物全体のコンセプト立案、イベントデザインのコーディネーションを手掛けている。

【New York】多文化のなかで育まれた感性をN.Y.で発揮するインテリアデザイナー

高級家具ブランド「B&B ITALIA USA」デザインディレクターのオラン・アベジスさん
高級家具ブランド「B&B ITALIA USA」デザインディレクターのオラン・アベジスさん

世界的な高級家具ブランド「B&B ITALIA USA」でデザインディレクターとして活躍するオランさん。カナダ・モントリオール出身のフランス系カナダ人で、大学でインテリアデザインとアートを学んでいたときから、N.Y.でキャリアを築くことを夢見ていたという。

「この街を女性に例えるなら、とても気まぐれだけど、ときに驚くほど素晴らしいプレゼントをくれる人、でしょうか。私の祖父母はモロッコ出身の移民で、ヨーロッパに親戚も多かったので、私は多文化が同居する家庭環境で育ちました。だから、“人種のるつぼ” と呼ばれるN.Y.には、深い愛情を感じます」

独自の美意識は、仕事にも反映されている。

「私は、デザインとは “ストーリー” だと思っています。居心地のよい空間というのは、ただ好きなものを寄せ集めただけでは生まれません。そこには、明確なコンセプトと軸が存在します。だから、実際に現地へ赴き、空間を測量することはもちろん、その建物の歴史や背景にも耳を傾け、それと調和するようにデザインを構成していく。それが私のデザインのスタイルです。興味や好奇心をもって、目の前のストーリーに寄り添う。そういう姿勢こそが、クリエイティブな仕事を続けていくうえではなにより大切だと思っています」

インテリアや家具デザインと聞くと、女性が活躍しやすい業界なのではと思われがちだが、実際には建築業界と同様に男性が大多数を占めていて、保守的な面も少なくないという。そんな環境のなかで、決して平坦な道ではなかったが、オランさんはその感性で存在感を高め、リーダーシップを発揮してきた。ウーマン・エンパワメントをテーマにしたイベントにも積極的に参加。若手デザイナーを対象としたメンター活動にも力を入れる。

「女性同士の横のつながりや、女性ならではの視点を打ち出すことはとても重要。そして、年齢や職業に関係なく、大切なのは “好奇心” だということを、いつでも伝えていきたい」

◇オランさんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
愛犬のマルチーズを抱きしめる。
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
言葉ではありませんが、祖母が、私がつくった料理にだまってほほえんでくれたときが、なによりうれしい瞬間でした。
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
愛犬と散歩。時間をかけてゆっくりと。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
旅。今も旅はしているけれど、もっといろいろなところへ行きたい。趣味で着物を集めているので、日本へも行ってみたい。
Q. 10年後の自分は何をやっている?
10年後も絶対にN.Y.にいて、今の仕事を続けている。
Q. 自分を動物に例えると?
大好きな馬と鳥を合体させたユニコーン。素敵で、軽やかで、どこにでも行ける。

PHOTO :
Masahiro Noguchi
EDIT&WRITING :
剣持亜弥、喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材 :
Junko Takaku