ドラマ『こんばんは、朝山家です。』は、終盤に向かって夫婦のバトルがさらにエキサイト。撮影はひと足先にクランクアップを迎えました。「かっこいい」「おしゃれな」アンさんを封印し、朝山家にどっぷりと浸かった2か月。自身の軸となるものを見つめ直すようになった経緯は、どのようなものだったのでしょうか。
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私の母は、言葉より態度で愛情を表現してくれました

ドラマの撮影が始まるときは、「母親の経験がないので」と不安を語っていたアンさんですが、それを補いつつ大きな助けになったのが、自身の母親の存在でした。撮影期間中は、かつて母親がつくってくれたアルバムを見返したりもしたそう。
―ご自身のお母様からは、どのうような影響を受けてきたと感じていますか?
「小さいときから、自分で考えて自分で行動しなさいと教えられ、自立して生きることを自然と学んできました。かといって必要以上に干渉するわけではなく、何かあっても私から相談することもなかったような気がします。その代わり母は、『やりたいことを決めたなら、頑張りなさい』と背中を押してくれる。言葉より態度で示すかたちの愛情表現だったのかもしれません。
母の立場になってみれば、きっと何もわからないところから『お母さん』になったんだろうと、今なら想像できます。第1子の私を産んだときは初めてだらけで慎重になっていたかもしれません。母は3人兄弟のひとりひとりに、小さいときからのアルバムをつくってくれていました。それを見返してみると、なおさらそう思うのと同時に、たくさんの愛情をもって育ててくれたんだなと感じます。
我が家は朝山家とずいぶん違うけれど、家族のかたち、そして親の愛情の示し方はいろんな形がある。改めて、そう感じています」
―ではアンさんにとって今、家族はどんな存在でしょうか。
「自分の中で大切な人たち、そして支えとなっているもの。それが血のつながりがあってもなくても、一緒に暮らしていたら家族になるのではないかと思います。そして、疲れたとき、なにかあったとき、純粋に『会いたい』と思う存在が家族。言葉を交わさなくてもいいし、このドラマのようにケンカがあってもいいし。どちらにしても、いちばんの味方が家族なのだと思います」

支えたいと思う相手に出会えることは、幸せなこと
―そうして出来上がった朝山家の朝子さん。アンさんから見てどんなところが魅力に仕上がっているでしょうか。
「学校だけでなく(息子の通う)療育センターのこと、夫の仕事のこと、と大変なことはたくさんあるし、たくさん悩む朝子さんですが、好きで結婚した相手なら、とことん『家族のため』を貫ける朝子は、かっこいいと思います。どんなに大変なときでも支えたい、好きだと思える相手に出会えることは、とても幸せなことなのだと思いました」
―撮影を終えて、アンさん自身の変化はありましたか?
「いちばん感じているのは、『やっぱり子供が好きだな』ということです。今まで様々な仕事を経験し、お芝居へと進んでいき、ずっと、自分の居場所をつくることに必死だった気がします。そんな私が、誰かと関わること、守るべき場所があることの大切さに気づかされ、こんなにも子供を愛おしく感じることができるなんて、と。
とはいえ、仕事は自分の軸となって私をつくっていくものであることに、変わりはありません。どんな家族でも、どんな関係でも、子供がいてもいなくても、結局は自分自身をしっかり生きるかどうか。ドラマ撮影を終えて今、そう感じています」
―では、これから放送されるドラマ終盤に向けての見どころをお願いします。
「日々忙殺されながらも、朝子自身いろいろなことを考えていて、それがどんどん形になってくる終盤。家族それぞれに変化する心情が描かれるなか、どさくさに紛れて(笑)、朝子さんが実は“すごいこと”を考えています。罵倒したりイライラするばかりだと思わずに、実はそうではない朝子さんの姿も、楽しみにしていてください」

インタビュー最終回のvol.3では、自立しながらもゆるやかに進化する中村アンさんの素顔に迫ります。どうぞお楽しみに。
【番組詳細】
ドラマ『こんばんは、朝山家です。』
毎週日曜よる10時15分より、ABC・テレビ朝日系放送中

朝山家は、脚本家として売れている夫の賢太(小澤征悦)、夫が所属する事務所で社長を務める妻の朝子(中村アン)、高校1年の長女・蝶子(渡邉心結)と小学6年の息子・晴太(嶋田鉄太)の4人家族。
ドラマの始まりは、賢太が執筆した朝の国民的ドラマ『ムキムキ』初回放送の朝を、家族と一緒に見ようとそわそわしながら迎える話から。しかし、居間には賢太以外、誰の姿もなく…。発達障がいの特性から朝が弱い晴太はぐずって起きてこず、朝子はそんな晴太の世話と家事、そして仕事に出かける準備で大忙し。だが、それは朝子から見れば、夫が一日中エゴサーチに明け暮れる、悪夢のような一日の幕開けだった!
子どもの面倒も見ず、自分の承認欲求を満たすためエゴサーチに没頭する賢太と、そんな賢太を長年夢見る映画監督としてデビューさせるため、家庭と仕事を切り盛りしながら営業に勤しむ朝子。どこまでも自己中心の夫と、そんな夫にキレまくりながらも自分以外のことを優先する妻の、愛しくも奇妙な家族の物語。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 黒沼 諭(aosora)
- HAIR MAKE :
- 渡嘉敷愛子
- EDIT :
- 南 ゆかり