連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、冬季オリンピック6大会に連続出場し、次の’26年、ミラノ・コルティナオリンピックシーズンを最後に、現役引退を表明しているスノーボード選手の竹内智香さんにインタビュー!

「残りの日々はすべてスノーボードアルペンのために捧げ、もう1回本気で勝ちに行きます」」と話す竹内さんに詳しくお話しをうかがいました。

竹内 智香さん
スノーボード選手
(たけうち ともか)旭川市生まれ。クラーク記念国際高校卒。中学生のときに長野オリンピックを観て本格的にスノーボード競技に取り組む。'12年、スノーボード女子パラレル大回転でW杯初優勝、'14年、ソチ五輪で銀メダル獲得。現在、広島ガス所属。これまでの経験を次世代につなぐべく、地元東川町でアスリートをサポートする「&tomoka」を創設している。

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スノーボード選手の竹内智香さん
スノーボード選手の竹内智香さん

「’26年、ミラノ・コルティナオリンピックシーズンを最後に、現役引退を決意しました。残りの日々はすべてスノーボードアルペンのために捧げ、もう1回本気で勝ちに行きます」

今年5月、そう潔く宣言した竹内さんの五輪デビューは’02年のソルトレイクシティ。以来、’22年の北京開催まで6大会連続で出場し、冬季五輪の日本女子最多を記録している。23歳で国内の競技環境に限界を感じ、世界強豪のスイスチームに直談判。その後の5年間は拠点を移し、メンタルとフィジカルを鍛え上げてきた。帰国後も自らの足でスポンサーを開拓するなど、記録を出すだけではない、独自のアスリートキャリアを築いてきたパイオニアでもある。

「支援してくださる企業を探すのは本当に大変で、9割方お断りされるのが現実です。そんななかで受け入れてくださるところがあったのは、『いい選手だよ』と助言してくださる人がいたから。それは奇跡的なことだし、その信頼を裏切ることがないよう、一つひとつに感謝を伝え、正直に向き合うようにしています。それ以外の方法はないんです」

真正面からの付き合いを大切にしてきたからこそ、引退後もさまざまな活動を「共にやっていきたい」という声が引きも切らない。地元である北海道・東川町におけるこども食堂の運営や町民全体の健康促進事業、所属企業がある広島での地域社会貢献事業、スノーボードに関するアカデミーの立ち上げ計画もあり、名誉領事に就任しているスイスと東川町の姉妹都市提携にも奔走するという。

「成功と挫折を繰り返した競技人生から学んだのは、『自分の弱い部分を完璧に克服する必要はない』ということ。まずはそんな自分を受け入れて、甘えのない努力をしてこそ、次の道は照らされるのだと思う。それが引退後のセカンドキャリアなのだとしたら、来年からはオリンピアンという幹から枝葉を伸ばすように、いろんなことにトライしたい。そのために、もう1回、本気で勝ちに行きます」

◇竹内さんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
体重計に載る。
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
「智香らしいね」。自分像があるからこそ言われる言葉だと思う。 
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
寝ます!
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
引退したら百名山を制覇したいと思っています。登山のほか、ゴルフ、ロードバイクなどいろんなスポーツを始めて、視野を広げていきたい。 
Q. 10年後の自分は何をやっている?
スローライフができていればいいな。今、自家菜園で本格的に野菜を育てていますが、それが楽しくてたまりません。 
Q. 自分を動物に例えると?
うーん、思いつきません(笑)。というのも、自分自身が「竹内智香」という唯一無二の動物である気がしているからです。

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
喜多容子・木村 晶(Precious)
取材・文 :
本庄真穂