お祝い事やホームパーティーは、腕によりをかけた手料理で食卓を彩りたいものですよね。そこで、添えてあるだけでお皿が華やかになる「エディブルフラワー」を使ってみたい方も多いのではないでしょうか?
けれど、どんなお花が使えるのか、お花は苦くないのか、どこで購入できるのか、どうやって調理するのか……。使ってみたいと思いつつ、まだまだ家庭で使うにはわからないことも多いものです。
そこで今回は、エディブルフラワー活用の「イロハ」を、日本エディブルフラワー協会理事で「エディブルフラワー専門店HanaLabo(ハナラボ)」、新宿「夜のケーキ屋さん」を運営するjuliさんに伺いました。
食べられるお花「エディブルフラワー」。食用として安心のものを!

そもそも「エディブルフラワー」の意味をご存知でしょうか? 英語で「Edible(=食べられる)Flower(=お花)」。その名の通り、食用花を指します。
近年SNSで見かける華やかな洋花のほかにも、菊や桜なども含まれます。エディブルフラワーという言葉が日本で導入されたのは1980年代ですが、お花を食べる文化は日本でも古くから親しまれてきました。
では、どのようなお花がエディブルフラワーとして利用できるのでしょうか? juliさんによると、食用として栽培・販売されていることが重要とのこと。ポイントは「毒性がないこと」「無農薬または低農薬で食用に栽培されていること」の2点なのだそう。
■1:毒性がないこと

お花の中にも、食用として使えるものと毒性があり食用にならないものがあります。例えば、身近なお花でも、スズランやアジサイは毒性があり食べられないのだそう。
エディブルフラワーとして販売されているお花は、食用として毒性がないことが確認されているお花です。
エディブルフラワーとして使える主なお花は、農林水産省のwebサイトにも掲載されています。食用として体内に取り入れても安全なお花を、エディブルフラワーとして楽しみましょう。
■2:無農薬または低農薬で、食用に栽培されていること

ふたつ目のポイントは、観賞用ではなく食用として無農薬または低農薬で栽培されたお花であることです。
「お花はジャガイモやニンジンと違い、ゴシゴシ洗ったら千切れたりしてダメになってしまいます。なので、極力農薬を使わず、病害対策や防虫対策も天然成分で手入れをしている生産者さんが多いです」(juliさん)
花壇や花屋のお花にはほとんどの場合、延命剤や防虫剤が使われています。これらは、観賞用として長くお花を楽しむためのもので、体の中に入れることを前提としていません。そのため、たとえエディブルフラワーとして楽しめる品種であっても、一般の花屋で購入したものではなく、食用として販売されているものを使いましょう。
生花の扱い方は野菜と同じ!保存のポイント3つ
最近のエディブルフラワーの楽しみ方には大きく分けると「生花」と乾燥させたり押し花にしたりしてつくる「ドライエディブルフラワー」の2種類があります。

それぞれ、どのように扱えばいいのでしょうか? まずは生花の保存方法から伺いました。

【生花の保存のポイント】
ポイント1:保存期間は摘んでから3〜7日
ポイント2:乾燥しないように気をつけて冷蔵庫で保存
ポイント3:しおれる前に使用する
juliさんによると、扱いのポイントは葉野菜などと同じだそう。ひとつずつ、見ていきましょう。
■ポイント1:保存期間は摘んでから3〜7日
保存期間は平均して3〜7日。季節や保管方法によっても異なります。
■ポイント2:乾燥しないように気をつけて冷蔵庫で保存
保存のポイントは、乾燥させないことと低温で鮮度を保つこと。
「例えばお料理でキュウリなどの野菜を使うときも、半分使って冷蔵庫に戻すときはしっかりラップしますよね。もしラップをしなかったら、どんどん切り口から乾燥してしまいます。エディブルフラワーも同じように、何もしないとどんどん乾燥してしまいます」(juliさん)
霧吹きなどで湿度を保つ程度に軽く水分を与え、タッパーやラップで密閉して冷蔵庫に保管しましょう。
■ポイント3:しおれる前に使用する
夏場や保存状態によっては、早い段階でお花がしおれてしまうかもしれません。juliさんによると、しおれたお花は食べないことが好ましいとのこと。
「レタスなどの葉野菜でも、しおれてきたら使わないですよね。エディブルフラワーも、しおれる前に使ってください」(juliさん)
購入したエディブルフラワーを使いきれないときは、フラワー氷にするのがオススメなのだそう。

「フラワー氷は誰でも簡単につくることができ、長期保存が可能です。氷が溶けるとカラフルなお花が浮かび上がってくるフォトジェニックなドリンクに活用できますよ」(juliさん)
キレイにつくるコツは、製氷器に水を半分ぐらいまで注ぎ、そこにお花を並べてからさらに数回に分けて水を入れることなのだそう。そうすることで、氷の中心にお花をとどめて凍らせられます。
調理法はお花それぞれの特徴に合わせて。まずはサラダからはじめるのがオススメ

ひと口にエディブルフラワーといっても多くの品種があり、それぞれ味や特徴が異なります。
「エディブルフラワーはどれも生で食べられます。湯がくとよりおいしくなる品種もあります。お花だからこうしないといけない、というルールはありません。味やお花の固さを見て、好みにあった調理方法を探してみてください」(juliさん)
ひと口食べてみて苦ければ、湯がいたりお花をガクから外して散らしたりすると食べやすくなるとのこと。また、栄養素による特徴も調理方法を考える上で参考になるといいます。例えば、ビタミンAが豊富な品種は熱に強く、ビタミンCが豊富な品種は冷たい料理に向いているそうです。
エディブルフラワーを初めて使う方には、サラダやちらし寿司に少量を飾ってみたり、生春巻きに入れてみたりするのがオススメだといいます。

「最近では、エディブルフラワーを使った料理をインスタグラムで発信している方もたくさんいます。『#エディブルフラワー』や『#食用花』で検索して参考にすると、よりエディブルフラワー活用の幅が広がりますよ」(juliさん)
ドライエディブルフラワーの保存のポイントは、「湿気を避ける!」
続いて、ドライエディブルフラワーの保存のポイントを伺いました。

【一般的に販売されているドライエディブルフラワーの保存のポイント】
ポイント1:保存期間は半年〜1年
ポイント2:湿気と直射日光を避ける
■ポイント1:保存期間は半年〜1年
ドライエディブルフラワーの特徴は、乾燥させることにより長期間保存できる点です。そのため、長期間保存する焼き菓子や紅茶にも使いやすくなります。
■ポイント2:湿気と直射日光を避ける
乾燥させることで保存期間を伸ばしているドライエディブルフラワーは、生花の保存とは逆に水分が大敵。密閉するなどして湿気を避けましょう。また、お花が色あせてしまうのを防ぐために、直射日光も避けてください。

ドライエディブルフラワーは、乾燥させるときに水分とともに味も抜けやすいそう。そのため、生花に比べると甘みや苦みは少なくなります。調味料のような感覚で塩や紅茶に混ぜれば、色の鮮やかさとほのかな香りや風味を楽しめます。
また、長期間保存が効くため、キャンディーやチョコレート、クッキーのような日持ちするお菓子の飾りにエディブルフラワーを使いたい場合は、ドライエディブルフラワーが向いているそうです。
■ 購入はインターネットや百貨店が中心
エディブルフラワーはどこで手に入るのでしょうか? juliさんによると、家庭で使うときは、インターネットや百貨店で購入している方が多いそう。
価格は品種や季節によっても異なりますが。「エディブルフラワー専門店HanaLabo」で最も人気のあるMIXパックは¥700〜¥972。季節に合わせたいろんなお花が入っています。

■ 5〜6月にオススメの品種9種
実際にどんなお花が使えるのか、5月〜6月にオススメの品種を伺いました。

・ビオラ(冬〜5月)
パンジーのような見た目で、鮮やかな色合いが特徴。小ぶりで、一輪ですぐにお花だとわかるため使い勝手がいいそうです。本来の収穫時期は冬から春にかけてですが、人気の高さから通年で室内栽培もされています。くせのないあっさりした味で、サラダからケーキまでどんな料理にも合います。
・バラ(5月〜7月)
これからの夏の時期に人気のバラ。ばらの種類によって香りや食感、味わいにも差があります。ジャムにしたり、花びらを一枚一枚ばらして使ったりするのがオススメだそう。
・マリーゴールド(5月〜11月)
夏が旬のお花です。鮮やかなオレンジ色が特徴的で、湯がいても色が落ちません。生の状態で一輪そのまま使うにはガクが固いため、湯がいたり花びらを散らしたりして使います。菊の花に似た味わいで、湯がくとシャキシャキとした食感を楽しめます。
・ベゴニア(4月〜7月、9月〜12月)
すっぱくてシャキシャキとした食感が特徴的なお花です。酸味が強いので、アクセントに最適です。明るい赤以外にも、白やピンクなどの色があります。
・バーベナ(5月〜10月)
日本語では「美女桜(ビジョザクラ)」と呼ばれることもあるお花。ハートの形をした花びらが特徴です。淡泊な味でほのかな甘みがあります。一輪ずつ外してお料理を飾るのにもオススメです。

・ペンタス(5月〜10月)
5月〜10月が旬のお花です。小さな星形のペンタスは、くせがなくて食べやすく、人気が高いそう。白のほかに、ピンクや赤、紫などの色もあります。
・ナデシコ(4月〜10月)
洋名は「ダイアンサス」。花びらの先端部分はほんのり甘みを感じます。フリルのような花びらと淡いピンク色が女性らしく、生花のままに使うのがオススメです。
・ナスタチューム(5月〜11月)
「金蓮花(キンレンカ)」とも呼ばれるナスタチュームには、辛味があるのが特徴。ほのかにスパイシーな香りもします。花以外にも、葉や茎も食べられます。黄色のほかに、赤などもあります。
・キンギョソウ(4月〜7月、10月〜11月)
「スナップドラゴン」とも呼ばれるキンギョソウは、立体的な形が特徴。色も多様で、一輪飾っただけでも料理にボリュームが出ます。甘い香りが強めに感じられますが、食べるとほのかな苦味があります。
「彩り」で広がる、表現の幅。エディブルフラワーの魅力
最後に、エディブルフラワーの魅力をjuliさんに伺いました。
「1番の魅力は『彩り』でしょうか。エディブルフラワーは、ほかの食材にはなかなかない色がそろいます。何かを表現するときに色のイメージは大きいですよね。エディブルフラワーを使えば、色合いの幅が広がり、料理で表現できるイメージもさらに広がります。
例えば先日は『ミステリアスなケーキ』のオーダーがあり、濃い紫や青のビオラを使いました。この色は、お花以外ではなかなかそろいません」(juliさん)
今回はエディブルフラワー活用の「イロハ」をご紹介しました。ちょっと特別な日のお料理には、アクセントや飾りにエディブルフラワーを使って、食卓を鮮やかにしてみませんか?

「エディブルフラワー専門店HanaLabo(ハナラボ)」webサイト
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 廣瀬 翼(東京通信社)