「ペブルシェイプ」という名前の通り、丸い小石のようなふくよかな曲線を描くケースに、透明感のある艶やかなエナメルの文字盤、そしてクラシカルなディテール ── 「ルイ・ヴィトン」が1980年代後半に手がけたメゾン初の腕時計が、よりモダンに、ラグジュアリーにアップデートを果たし、限定モデル『ルイ・ヴィトン モントレー』としてこの秋、登場しました!
過去に敬意を払いつつ、現代性を取り入れた独創的なデザイン

今回発表された『ルイ・ヴィトン モントレー』のオリジナルモデル、『LV I』と『LV II』が発売されたのは、世界的に華やかなムードが漂っていた1988年。残念ながら私は記憶にないのですが、時代を象徴するウォッチとして華々しいデビューを飾り、時計業界に衝撃を与えたと言われています。
この頃にはすでに、才能溢れるクリエイターたちとのコラボレーションを展開していた「ルイ・ヴィトン」が、メゾン初の腕時計を制作するにあたりパートナーに選んだのは、イタリア人建築家兼デザイナー、ガエ・アウレンティ。1960年代から独創性に富んだオブジェを数多く生み出してきた彼女は、当時、パリの駅舎をオルセー美術館に改築するという画期的なプロジェクトを完成させたばかりだったそう。
そんな気鋭のクリエイターが生み出したのが、当時の腕時計のデザインの概念を優雅に覆した、アヴァンギャルドな『LV I』と『LV II』。

『LV I』は、メゾンの真髄である「旅のエスプリ」を、「レイルウェイ ミニッツ トラック」と呼ばれる鉄道の線路を想起させる分目盛りや、二都市の時刻を表示する「GMT」、そして世界時間機能で表現。続いて発表された『LV II』は、耐傷性に優れた画期的なセラミック素材を採用し、日付表示と時刻表示に加えて、アラーム機能も搭載。現在では当たり前となったセラミックの時計ですが、当時としてはとても斬新なことだったはずで、センセーションを巻き起こしたという伝聞にもおおいにうなずけます。
随所にメゾンの美学が光るクラフツマンシップの結晶
今回限定モデルとして登場した『ルイ・ヴィトン モントレー』は、オリジナルモデルの大胆な造形とミニマルな表情が、モダンに再構築されています。

光り輝く象徴的なケースから、文字盤、そしてもちろんムーブメントも、すべてメゾンの時計製造工房『ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン』内で、職人の手仕事で制作されています。
特筆すべきは、文字盤の「グラン・フー エナメル」の美しさ! エナメルのなかでも、独特の艶、輝き、透明感をもつ「グラン·フー エナメル」は、非常に高度な技術力と多くのプロセスを要する、まさにクラフツマンシップの結晶で、この文字盤の制作には約20時間もの時間が費やされています。
搭載されているのは新開発の自社製ムーブメント。

細部に至るまで美しい仕上げを施したムーブメントですが、このモデルのケースバックはサファイアクリスタルではなくクローズド。つまり、通常は目に触れない部分にまで、これだけ職人技と情熱が注ぎ込まれているのです。
そのケースバックには、限定数である「1 of 188」の刻印が刻まれます。

メゾンのウォッチ部門の責任者が「オリジナルへの敬意を払いながら、いまの時代を生きるウォッチへと昇華させた」と語るように、過去へのリスペクトを込めながら現代性を取り入れることで、時代を超えた普遍性と未来志向を兼ね備えた『ルイ・ヴィトン モントレー』。
長年受け継がれてきたクラフツマンシップの証であり、現代へ向けて再解釈されたサヴォアフェールの伝統を体現する名品が、またひとつ誕生しました。

今回は「ルイ・ヴィトン」から登場した、188本の限定モデル『ルイ・ヴィトン モントレー』をご紹介致しました。次回は発表されたばかりの「ピアジェ」の新作ウォッチをご紹介します。お楽しみに!
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト