「ブルガリ」本社で副CEOを務めるラウラ・ブルテーゼさんに、スペシャルインタビュー
国立新美術館で開催中の『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』。館内には約350点もの大胆かつ鮮やかなマスターピースが色と光をテーマに展示され、訪れる人々の五感を刺激すると話題を集めています。
日本における「ブルガリ」史上最大規模の展覧会の見どころとメゾンに受け継がれるヘリテージを、「ブルガリ」本社で副CEOを務めるラウラ・ブルテーゼさんに語っていただきました。
展覧会のタイトルに込められたメゾンの哲学
──“美しい”を意味する“カロス”と“形態”を意味する“エイドス”というギリシャ語に由来する“カレイドス”。光と色彩が融合する万華鏡のような世界を表現したタイトルには、どのような想いが込められているのでしょうか?
「色彩は単なる光の反射ではなく、あらゆる物質が結びつくことで生まれる立体的なものといえます。なかでも天然の石は光を反射させることにより、より生き生きとした優美な表情が浮かび上がるのが魅力です。
今回の展覧会にあたり私はギリシャ語の語源について学びました。その中でも“美しい形態”を意味するこの言葉を選んだのは、色彩は普遍的な言語だと考えたからです。宝石が持つ美を最大限に引き出すことこそがブルガリの使命であり、哲学なのです」。
鮮やかな色彩に込められたメゾンの想い
──“色石の魔術師”と称されるブルガリにとって、“色”とはどのような存在なのでしょうか?
「ブルガリにとっての色は、喜びを意味するものでもあります。創業時は決して色を多く使うブランドではありませんでした。しかし戦後を迎えた1950年代以降、人々が再び明るさを取り戻し、人生の喜びを表現する新たな価値観を得たことで、ブルガリは単色のデザインから脱却したのです。
鮮やかな色石でローマの美しい太陽を表すなど、宝石同士を大胆に組み合わせて色彩の革命を起こしました。それは単に技術の進歩から起きたことではなく、時代が変わって重要となった自由と生命力を表現するためのものであり、異なる文化や価値観の融合を象徴して表現に落とし込んだものなのです」。
時代を超えたアートを体感できる展覧会
──貴重なジュエリーの展示はもちろん、アートのインスタレーションやデジタル上での没入体験もできる、日本におけるメゾン史上最大規模の展覧会が今回東京で実現しました。日本とブルガリの親和性についてお伺いさせてください。
「日本には職人技や品質への妥協なき探究など、随所にブルガリと感性が共鳴する部分があります。また日本とイタリアにも共通点が多いと感じています。視覚的にはミニマルな日本に対してイタリアは大胆かつ色鮮やかな表現という違いはありますが、伝統を大切にし、技術を継承しながらも、イノベーションを大切にするという点が共通していると思います。
10年前にも展覧会を催しましたが、今回はより規模が大きく、色と光を通して心に語りかける芸術性の高い展覧会になりました。例えば今回のために手掛けられた日本人アーティスト森万里子さんの作品や万華鏡のような空間に身を投じられるAIを使った体験型ブースも用意。ブルガリのレガシーを過去のものとせず、現在から未来へと繋げるコンテンポラリーな展示方法に仕上がっています。
このような展示にした理由は、展示されている作品はいずれも、制作されたときにはモダンで現代的なものであったことにあります。私は時を超えて今を感じるタイムレスな作品こそが、芸術の本質だと考えています」。
芸術的な作品づくりには欠かせない熟練の職人技
──140年以上に渡る歴史の中で培われた、宝石と貴金属を自在に操るメゾンのクラフツマンシップの真髄とは?
「ブルガリでは熟練の職人のことを“インテリジェント・ハンド(知性ある手)”と呼んでいます。芸術性のある作品を形作るためには、魂が込められた職人の手仕事が欠かせません。これはルネサンス時代から受け継がれてきたことですが、ブルガリの作品作りでは、職人に対して細かな設計を指定しないのが特徴です。職人の自主性を重んじることで、作品の魅力を高めています」。
「ジュエリーは自己表現の手段であり、私たち女性はそれを通じて個性や才能を表現することを恐れるべきではありません。『Precious.jp』の読者にもニットなどのカジュアルなウェアにジュエリーをラフに合わせるなど、日常でも愛用してもらいたいです」と語ったラウラさん。
メゾンの世界観を堪能できる革新的な展覧会『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』。ぜひ足運んでみてください。
【詳細情報】
『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』
会期:2025年9月17日(水)〜12月15日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:火曜日(9月23日(火・祝)は開館)、9月24日(水)
観覧料:一般¥2,300、大学生¥1,000、高校生¥500、中学生以下 無料
※障害者手帳の持参者および付添者1名は無料
※本展は日時指定券を導入します。
住所:東京都港区六本木7-22-2
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部

















