今月のMs.Precious……48歳、美容クリニック院長。世田谷生まれ、世田谷育ち。明治時代から続く外科医師家系で4人きょうだい。歳の離れた兄3人はそろいもそろって全員医学の道には進まなかったことから仕方なく医学部に進学した。チャラッとしているように見られるが、まじめな努力家。泥臭いことも平気なタイプで、メンタル上は武闘派。「形成外科の名門」として定評のある、現在は中野区にある某総合病院で研鑽を積み、満を持して独立した堅実派でもある。同じく医師である夫と中学生の娘がひとり。自分は港区で開業しているが、夫には婿に入ってもらい、世田谷にある実家の医院を任せているというややこしいパターン。酒を飲まないので移動は95%が自家用車。今まではクーペタイプばかり乗っていたが、家族で出かける時のためのSUVの増車を検討中。
今月のクルマ……【LAMBORGHINI URUS SE】
ランボルギーニと言えばかつての名車「カウンタック(クンタッチ)」。誰もが思い描くスーパーカーのイメージを形作った、偉大なモデルです。全高が低い楔形のボディには、空に向かって開く派手なシザードア。珠玉のV型12気筒エンジンを乗員の後ろに積み、勇ましい排気音を響かせながら街を走る姿は、未来の乗り物のようでもあり、多くの人々を魅了しました。デザイナーのマルチェロ・ガンディーニにしろエンジニアのパオロ・スタンツァーニにしろ、この車の開発をリードした伝説的な人物は当時まだ30代半ば。カウンタックは言ってみれば若き才能の爆発だったわけで、その最先端の感性はその後の自動車界に革命的な影響を与えたのです。あまりにシンボリックな存在であり続けたランボルギーニですが、さすがに半世紀近くが経過して世界の多様化も進んだなかでは「もう少し実用性があって楽に乗れるランボが欲しい」となるのは自然なこと。純スポーツカーブランドだったポルシェはすでにSUVを作って大きな成長を手にしていました。ランボルギーニは1990年前後にLM002というクロスカントリーを生産したことがあり「ブランド経営の多角化なら自分たちの方が先輩だ」と思ったかどうかはわかりませんが、ウルスが登場したのは2018年のことでした。デザインはいかにもランボルギーニですが、ハードウェアはフォルクスワーゲングループの上級コンポーネンツを使っているのはよく知られたこと。それゆえに設計には手練れ感さえあり、カテゴリー新参入の未熟さを感じさせなかったのも事実。そして、このたび第一級のPHEVシステムも得て、今を生きる高性能SUVとして、さらに全方位隙なしの存在となりました。
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「見た目はあまり変わってないけどPHEVなんですね。閑静な住宅街に住んでいる人にいいかも」――Ms.Precious
Ms.Precious お久しぶりでーす!
松任谷 あれ? そうでしたっけ?
Ms.Precious 奥様にはこの間お会いしましたけど。
松任谷 ああ、あのときね。
Ms.Precious そう、スライサーで指をそげ落しちゃった時。
松任谷 いやいや、その節はお世話になりました。っていうか、そういう外科みたいなこともやっている訳?
Ms.Precious 何でもやりますよ。でも奥様、凄い回復でしたよね。1週間で治っちゃったでしょ?治療が上手かったのかな……なんて。
松任谷 でもあれ以来、にんじんをスライス出来なくなっているみたいですよ。トラウマになっちゃって。
Ms.Precious だめですよ。天下のユーミンに料理なんかさせちゃ。
松任谷 いや、料理は創作活動の気分転換になるらしいから。
「ひとことで言うと"普通は嫌でエキセントリックなお転婆"かな」――松任谷
Ms.Precious ところで、松任谷さんもそろそろシミやりましょう。
松任谷 えっ! 目立ちますか?
Ms.Precious やっておいたほうがいいですよ。前にやったところ、完璧だったでしょ?
松任谷 まあ、跡形もなくきれいになりはしましたよね。
Ms.Precious ついでにサーマクールも一緒にどうですか?
松任谷 まあ、あまり言いたくはなかったんだけど、あれ以来、僕の顔はアトピー体質になっちゃって。
Ms.Precious それは別の理由ですよ。シミとりやサーマクールでそんなことにはならないわ。
松任谷 いや、なったんですって。顔を掻きまくってましたから。
Ms.Precious あら、そう。でも松任谷さんのお友達の先生、毎月のようにサーマクールやってらっしゃいますよ。
松任谷 えっ? 男のくせに?
Ms.Precious 今は男もスキンケアの時代ですよ。そんなこと言ってると乗り遅れちゃいますよ。
松任谷 そうなのかねえ。で、今日はランボルギーニでしょ? 持ってきましたよ。
Ms.Precious PHEVなんですよね? でも外観はあまり変わってないのかしら。
松任谷 PHEVなんて、よく知ってますね。クルマに詳しかったイメージはないんだけど。
Ms.Precious それくらいは知ってますよ。こう見えても走り屋だから。
松任谷 うーん、確かに悪い運転はしそうだなあ。
Ms.Precious そんなことないですよ。運転は優等生。娘に聞いてみてください。
松任谷 そうかあ。でもランボルギーニはピッタリだとは思いましたよ。
Ms.Precious どこがですか?
松任谷 しいて言えば性格が似ているというか。どこか普通は嫌で、エキセントリックで……。
Ms.Precious 私ってエキセントリックですか?
松任谷 えっ? 違うと思ってた?
Ms.Precious こんな穏やかな女性に向かってなんてことをおっしゃるんですか?
松任谷 ちなみに食べ歩きは相変わらずですか?
Ms.Precious そんなでもないけど。今月は週1くらいで予約の出来ないところに行くことになってます。よかったら以前ご一緒したお鮨屋さん、1人分席が空いているんだけどどうですか?
松任谷 いやいや、遠慮しておきます。7万円のお鮨屋さんは僕には似合わない。
Ms.Precious あら、残念。
「インテリアのブラウンは上品。やっぱりイタリアのブラウンはいいな」――松任谷
松任谷 ではそろそろ乗ってみましょう。クルマ以外の話で終わっちゃいそうだから。
Ms.Precious 運転席に座ればいいの?
松任谷 助手席でもいいですよ。
Ms.Precious 私の運転で助手席に乗られたことありましたっけ?
松任谷 ないと思います。
Ms.Precious ですよね。あら、インテリアは想像以上に上品ね。
松任谷 カラーチョイスのせいでしょう。このブラウンは上品ですよね。やっぱりイタリアのブラウンはいいなあ。
Ms.Precious そうね。ダサくないですよね。ドイツ車だとどうしても野暮ったくなるから。
松任谷 そうでもないと思うんだけどなあ……。
「スターターボタンの赤いカバーはまるで戦闘機みたい。乗ったことないけど」――Ms.P
Ms.Precious あ、ひとつ残念なところ発見。
松任谷 なんですか?
Ms.Precious この内側のドアノブの形。これ、私の爪が引っかかって開けにくい。
松任谷 ああ、確かに浅くて斜めにカットされているのが謎ですね。なぜだろう。デザインを優先させたのかな?それにしても、こんなところデザインする必要があるんだろうか……。
Ms.Precious ランボのスターターボタンは毎回これね。センターコンソールのこの蓋を開けてボタンを押すという。
松任谷 そうですねえ。これはトレードマークのようにしていますよね。
Ms.Precious でも、これはPHEVだからきっとすぐにはブオンッて言わないわよね。
松任谷 その通り。デフォルトでは電気が少しでも残っていればエンジンはかかりません。
Ms.Precious なんだかいい子になっちゃったみたいね。
松任谷 うーん、でも悪い子な部分はちゃんとあるので大丈夫ですよ。
Ms.Precious まずはスターター左のドライブモードはストラーダね。これが一般的なノーマルモードでしょ?
松任谷 そうです。プリウスみたいに走りますから。
Ms.Precious スターターボタンの右側は何でしょう?
松任谷 これはEV、ハイブリッド、パフォーマンス、リチャージの切り替えですね。
Ms.Precious モーターだけでも行けるわけね。
松任谷 エンジンだけでバッテリー充電モードもあるって事ですね。まあ、このクルマらしく行くにはハイブリッドがよろしいかと。
Ms.Precious あ、本当だ。モーターだけで動いた。意外に優しい感じね。
松任谷 そうですね。まずは2.6トンありますからゆったりとしていますよね。それにこのエアサスがこのモードだと優しいですよね。レンジローバーとまでは言わないけれど、高級感はあります。
Ms.Precious 全部で何馬力ですか?
松任谷 モーターも入れて800馬力のようですね。ちなみに0-100km加速は3.4秒だそうです。
Ms.Precious それってどのくらいってこと?
松任谷 まあ、スーパーカーってことですね。
Ms.Precious ランボですものね。スーパーじゃなかったら意味ないわ。
松任谷 あまり関係ないかもしれないけれど最高速は312キロらしいです。
Ms.Precious 出してみたいわね。
松任谷 やめてください。本当にやりそうだから。
「室内の上品さと裏腹に、音はゾクゾクするほどに野獣」――Ms.Precious
Ms.Precious 高速に乗っていいですか?
松任谷 まあ、適度でお願いします。
Ms.Precious 空いているからちょっとアクセル深めに踏んでみますね。
松任谷 あっ、それはやめたほうが……。
ブオーン
Ms.Precious ランボルギーニの音ってありますよね。
松任谷 まあ……ありますねえ。
Ms.Precious なんでしょう。こんなにインテリアとか上品なのに、肉食系の獣の音がするわ。これがいいのよね。
松任谷 共食いかあ……。
Ms.Precious ん? 何?
松任谷 いえ、何でもありません。低くくぐもったというか、ドスの効いた音ですよね。もう、加速はそれくらいで……。
Ms.Precious 乗り心地がいいって言ったけど、スピードを上げると地面に押さえつけられる感じね。これは楽しいわ。
松任谷 今やポルシェ カイエンとは兄弟車なんですけど、全然違いますよね。
Ms.Precious 断然、こっちの方が生き物感があるわよね。
松任谷 まあ、そうとも言えますね。味付けが濃いですね。スパイシーというか。
Ms.Precious なんだか急にお肉が食べたくなっちゃったわ。奥様誘って今日お肉行きませんか?
松任谷 今日ですか? この後仕事が……。
Ms.Precious じゃあ、奥様だけお誘いしていいですか?
松任谷 まあ、僕、食べるものなくなっちゃうけど。
Ms.Precious 一晩くらいで死にはしないから大丈夫よ。
松任谷 でもその前に、ちゃんとクルマの感想くらい言ってくださいよ。
Ms.Precious 今言いましたよ。肉食系のクルマって。
松任谷 あ、そういうことだったんですね。
Ms.Precious シミ取り、早くやった方がいいですよ。取り返しが付かなくなりますからね。
松任谷 ふぁーい……。
今月のクルマ
【LAMBORGHINI URUS SE】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,123×2,022(ミラー込み2,181)×1,638mm
車輛重量:2460kg
車両本体価格:¥34,650,000(ベース価格)~
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先

- TEXT :
- 松任谷正隆さん 作編曲家、音楽プロデューサー
- PHOTO :
- 小倉雄一郎(小学館)
- WRITING :
- 松任谷正隆
- EDIT :
- 三井三奈子

















