スタイリスト 押田比呂美さん流「チェックイン・エレガンス」の奥義|リアルな体験からひもとく、ラグジュアリーかつスマートな旅スタイルとは──
旅先でどんなファッションを纏うのか。それが旅の満足度を左右するものだと知ってはいても、チェックイン時の装いに焦点を当てたことはあるでしょうか。スタイリングからふるまいまで、押田さんによる熱い語りをお届けします。
「その土地になじむスタイリングで優雅にチェックイン。すると、心がゆっくり満たされていきます」(押田さん)旅先の空気感までスタイリングに取り入れて
旅におけるさまざまなシーンがあるなかで、「チェックインのときこそ、エレガンスを香らせることが大切」と語るのが、スタイリストの押田比呂美さん。旅先はリゾートなのかシティなのか、ホテルのムードはクラシックなのかモダンなのか。それらの要素をすべて鑑みて、しっかりイメージしてからコーディネートを整えていくそう。その名も「チェックイン・エレガンス」です。
「今なお恋しいのが、20年ほど前に本誌のロケで訪れた、アメリカ・ワイオミング州にある『アマンガニ』。国立公園を見渡す大自然に囲まれたホテルで、その迫力に心が震えたのをよく覚えています。圧巻は、エントランスから大階段を下りた先に広がる吹き抜けのロビー。天井まである大窓から雄大なるティトン山脈を眺めることができ、まるで自然と一体化したような感覚に陥ります。木材と石を使ったブラウンの色調が美しいこの空間で、いざチェックイン。さて、どんなスタイリングがふさわしいのでしょうか。私が選んだのは、リラクシングなラグジュアリースタイル。まず大切なのは色味です。大自然に溶け込む、グレーとブラウンのグラデーションを意識。次に厳選すべきは素材です。カシミアとファーをレイヤードすれば、その至極の肌触りが心身を存分に解放してくれることでしょう。まるで自然界を写し取ったような、洗練と温もりのスタイルに身を包み、一面の雪景色を眺めながらラグジュアリーステイをスタートさせる。これぞ冬旅の理想のチェックインではないでしょうか」
「想像力を働かせたファッションで堂々とふるまう。旅を愛する女性の最高に美しい姿です」(押田さん)堂々たるふるまいが旅のクオリティを上げる
さらにもうひとつ、押田さんが愛してやまないのがヨーロッパ、それもロンドンへの冬旅です。冷たい石畳に霧が美しく煙る街。かの地ではどんな「チェックイン・エレガンス」を思い描いているのでしょうか。
「あれは7年前のこと、現地に留学していた娘のナビゲートで『ザ ロンドン エディション』を訪れたことがありました。そのときはバーを利用したのみでしたが、その重厚かつモダンなムードに心を完全に奪われたのです。このホテルに泊まるのならば、英国へのオマージュは必須でしょう。ツイード素材のハット、シャーロック・ホームズを連想させるケープコート、そして “グローブ・トロッター” のラゲッジ。古典的なブリティッシュに陥ってしまわないよう、今どきのバッグやブーツで旬のオーラをプラスするのもお忘れなく。サインのために、チェックインデスクで優雅にグローブを外す…。その姿にフロントスタッフも一目おくでしょう。本物の富裕層を日々出迎えている彼ら彼女らは、やはりゲストをしっかりと見ています。だからこそ考え抜いたファッションで堂々とふるまう。そのアティチュードを介してコミュニケーションを図る。旅を愛する大人の女性の知的なたしなみ、それこそが『チェックイン・エレガンス』だと考えています」
- ILLUSTRATION :
- 緒方 環
- EDIT :
- 兼信実加子、安村 徹(Precious)
- 取材&文 :
- 本庄真穂

















