身長156cmのインテリアエディターが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回は、1872年にデンマークで創業したインターナショナル高級家具ブランド「フリッツ・ハンセン」にフォーカス。端正なデザインで人気の『PKシリーズ』から登場した、スタッキング可能なダイニングチェア『PK3』をご紹介します。

■ピックアップアイテム:「フリッツ・ハンセン」のダイニングチェア『PK3』

「フリッツ・ハンセン」は、『スワンチェア』や『セブンチェア』など名前は知らなくても見たことのある名作デザインのコレクションを多く抱えるデンマーク発のインターナショナル高級インテリアブランドです。数あるコレクションなかでも端正な佇まいが人気の『PKシリーズ』は、彫刻的な金属の造形と、木や革やロープなどの異素材との組み合わせが特徴で、通好みで知られています。

『PK』とは、1929年生まれのデザイナー、ポール・ケアホルムの頭文字。彼は、空間がもたらす体験とデザインにおいて家具が重要な役割を担うという強い信念をもち、「家具の建築家」を自認していました。デンマーク美術工芸学校で多くの学生が木材で家具デザインをするなか、他の素材を模索し、弱冠22歳のときに卒業制作としてデザインした『PK25』が今でも名作として知られている才能の持ち主です。

インテリアデザイナーのポール・ケアホルム
家具職人として修練を積み、スチールに強い関心をもったポール・ケアホルム。
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スチールにレザー・等・大理石・木を組み合わせた『PKシリーズ』。左の2脚が『PK25』。

その『PKシリーズ』に、新たにダイニングチェア『PK3』が仲間入りしました。デザインされた当時は製品化されなかったという、知る人ぞ知る“幻の名品”です。縦に二分割された成形合板の座面とスリムなスチールベースを組み合わせた造形力と、コンパクトでスタッキングできる機能性に加え、10万円以下という値頃感のある価格も見逃せません!

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【ブランド】フリッツ・ハンセン 【商品名】PK3 【写真仕様の価格】¥83,380 【サイズ】幅595×奥行き495×高さ750×座面高460(mm) 【材質】シェル:成形合板(カラードアッシュ・ブラック)、ブラケット:プレス成形のザマック製(ブラッシュ仕上げ)、ベース:スチール(クローム仕上げ)

■魅力その1:『PK』らしい彫刻的な椅子を日常使いできる喜び 

『PK3』は、とある物件用に1954年に構想されていながら、当時は製品化されませんでした。時代を先んじていたのかもしれませんね。

左右対称の成形合板シェル2枚を特徴的な金属パーツでつなぎ、スチール製のベースと組み合わせた力強く明快な構造、緻密な幾何学性と自然な手触り、そして洗練されたプロポーションは、まさにポール・ケアホルムならでは。10万円以下という値頃感はもちろんのこと、時代を超え現代の空間に自然とマッチします。

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左/空間を圧迫しない、軽やかでモダンなデザイン。右/ひと目でポール・ケアホルムの造形とわかる、伸びやかな曲線をもったハンサムな後ろ姿。

■魅力その2:フレキシブルに空間を使えるスタッキングデザイン

5脚まで安定してスタッキング可能なので、自宅の空間をフレキシブルに使いたい方はもちろん、カフェなど椅子を多く使うお店を経営している方にもおすすめです。公共施設等の使用にも向いているので、街なかで見かける機会が増えるかもしれません。

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シェルの素材はオーク、ウォルナット、カラードアッシュ(ブラック)の3種類展開。

しっかりとした作りではありますが、シンプルなデザインゆえに重たくないのも魅力です。実際に持ってみたところ、私でも2脚までなら軽々と持ち上げられる重量でした。

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後脚を手前に沿わせるように意識すると、スムーズに重ねられます。

■魅力その3:座面の高さを選べるから、しっかり座れて美しく整う

私のように身長が欧米人よりも低めの人にとっては、座面高が合わないことが多い海外ブランドの椅子。ですが『PK3』は、フリッツ・ハンセン ジャパンが開発時に強く熱望してくれたおかげで、座面高が3cm低い43cmタイプも定番として購入可能です!

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座面高43cmのタイプ。

定番として選べる利点は、特注で高さを変えるのとは異なり、価格も同額で強度も安心。3cm短くても美しさは損なわれないという判断を、ブランドが認めた証でもあります。日本人女性の平均身長は158cm前後なので、これはうれしいですよね。

床に足がつく安定感はもちろん、さらにシェルの形状の効果できちんと真ん中に座るように導かれ、腰骨も立つので、自然と気持ちよく背筋が伸びます。何気なく座り、ポーズを取らなくても美しく整って見える絶妙なデザインです。

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座った感覚は、両側が上がっているため真ん中にしっかりと体重を預けられるので、安定した心地よさ。

今回は、「フリッツ・ハンセン」の『PKシリーズ』に加わった新作チェア『PK3』をご紹介しました。空間にちょっとした抜け感を加えたい方にも、スチール使いが卓越したポール・ケアホルムのデザインはおすすめです。スチールの輝きは、細くても空間のなかで効いてくれます。

ポール・ケアホルムの初期デザインの特徴をもち、機能的で、座り姿を美しく整えてくれる名品のかけ心地を、ぜひショールームで確かめてみてください。その美しさや魅力を味わってみることで、改めて『PK3』の値頃感に驚くと思います。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM