【目次】
- 世界野生生物の日はいつ?何をする日?
- なぜ3月3日?由来は「ワシントン条約(CITES)」
- 2026年のテーマは?
- そもそも“野生生物”は何が問題?3つの現実
- 薬用・芳香植物って何?身近な例と「守る理由」
- 今日からできることチェックリスト
【世界野生生物の日はいつ?何をする日?】
■3月3日は「世界野生生物の日」
2013年、国連は3月3日を「世界野生生物の日」に制定しました。世界野生生物の日は国際デーのひとつで、英語表記は[World Wildlife Day]です。
■どんな日?
世界野生生物の日は環境保全上だけでなく、経済的、文化的にも重要な野生動植物の保護の取り組みを強化することを目的としています。
【なぜ3月3日?由来は「ワシントン条約(CITES)」】
■3月3日のわけ
1973年3月3日にワシントンD.C.で採択(署名)されたCITESにちなんで、3月3日が「世界野生生物の日」になりました。
■ワシントン条約とは?
「野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護する」(条約前文)ことを目的とした条約。日本語の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といいますが、その英語の名称[Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora]の頭文字を取って[CITES (サイテス)] 、あるいは条約が採択された国際会議の開催都市にちなんで「ワシントン条約」と呼ばれます。
【2026年のテーマは?】
「薬用・芳香植物:健康、遺産、生活の維持」をテーマにしている2026年の「世界野生生物の日」。どういうことなのか解説しましょう。
■動物だけでなく植物も絶滅の危機に!
「絶滅の危機!」というと、野生動物や希少生物が注目されがちですが、私たちの生活や健康、文化を支える植物もその対象です。世界中で多くの人々が、伝統医学や現代の医薬品の原料として薬用・芳香植物に頼っています。地域経済を支える重要な役割を担っている植物も多く、絶滅の危機は特定の地域にとっては大変深刻な問題です。2026年はそういった植物が置かれている状況に関心をもち、それらを守るためにはどうしたらいいかを考えることをテーマにしています。
■なぜ絶滅の危機に?
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過剰な採取や環境変化によって生息地・生産量が減少しているうえ、違法取引なども横行して多くの種が絶滅の危機に瀕しているのです。自然保護の観点だけでなく、私たちの健康維持や、それらを守り繋いできた人々の文化と暮らしを守ることが、2026年の「世界野生生物の日」の目的です。
【そもそも“野生生物”は何が問題?3つの現実】
■CITES(ワシントン条約)は何をしている?
国際間での野生動植物の取引を相互協力して規制することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかっています。
■野生生物の問題点
日本はCITESによる「種の保存法」によって、野生動植物の国内外での取引を厳しく規制している一方で、野生生物の主要な消費国のひとつでもあります。規制対象種の密輸や不正な取引が後を絶たず、これが野生動物の個体数に影響を与え、絶滅のリスクを高める一因となっていることが指摘されています。
・問題点1:乱獲
・問題点2:生息地の破壊
・問題点3:移入種
海外産のカエルやイモリ、ヘビやトカゲ、カメ、フクロウやオウム、カワウソやハリネズミ…など、珍しい野生動物をペットにする「エキゾチックペット」が人気ですね。しかしその取引や利用には、乱獲によって希少種を絶滅に追いやるという問題以外にも、感染症の媒介といったリスクが伴うことは十分に認識されていません。
【薬用・芳香植物って何?身近な例と「守る理由」】
■薬用・芳香植物とは?
薬用植物は、体調を整える薬効成分を含み、薬用として利用される植物のこと。全草、または根や樹皮、葉、種子など特定部分を用い、そのまま、あるいは多少加工して使う場合と、製薬原料にする場合とがあります。芳香植物は、香り成分(アロマオイル、精油)を豊富に含み、その香りが体調や生活に役立つ植物の総称です。
■アーユルヴェーダと野生植物
「世界野生生物の日」に考えたい具体的な例として、インド・スリランカで5000年以上の歴史をもつ世界最古の伝統医療「アーユルヴェーダ」と野生植物の関係をさくっとご紹介しますね。
アーユルヴェーダでは野生植物は単なる材料ではなく、「自然の生命エネルギーを最も純粋な形で宿したもの」として非常に高く評価されています。栽培された植物に比べ、過酷な環境を生き抜いた野生植物には、より強力な治療力があると信じられ、アーユルヴェーダで使用される植物の多くは野生環境から直接採取されています。野生の生態系を守ることが、現代まで続く世界最古の伝統医療の質を守ることに直結するのです。
■アロマテラピーでよく使われるあの植物も…
アーユルヴェーダやアロマテラピーで使用される「アロマオイル(精油)」も植物からの大きな恵み。植物の芳香成分を数十倍から数百倍に濃縮したものがアロマオイルだと知っていましたか? たった1滴をつくり出すのに膨大な量の植物を必要とするのです。
よく知られているローズウッド、サンダルウッド(白檀)、フランキンセンス(乳香)は、絶滅が危惧されているアロマ植物。またわたしたちにとって身近な癒しの香りとして知られるひとつ、ラベンダーも、現在深刻な危機を迎えようとしているとされています。一大産地であるフランスのプロヴァンス地方では、猛暑と干ばつ、さらに新たな害虫の発生によって収穫量が激減、伝統的な生産体制が揺らいでいるのだとか。これを現地では「紫の警報」と呼んでいます。
【今日からできることチェックリスト】
絶滅が危惧される野生生物を守るために私たちができることは、獲らない(採らない)、利用しない(買わない)ということだけではありません。合法に売買されているものはその背景に人々の暮らしや文化があるため、一概に「買わない、持たない」のではなく、正しく利用することが大切です。
2026年の「世界野生生物の日」のテーマである「薬用・芳香植物:健康、遺産、生活の維持」を実現すべく、私たちの日々の生活のなかでできることをチェックしておきましょう
■購入・使用前に「認証マーク」を確認
アロマオイルや、アロマオイルを使用した製品、ハーブティーなどを選ぶ際には、以下の認証マークがついているか確認を。正しく商品化されたもの以外は購入しないことが、手軽にできる最も直接的な支援になります。
・FairWild(フェアワイルド)認証:野生植物の持続可能な採取と、採集者の公正な労働条件を保証する世界唯一の基準。このマークがある製品(ハーブティーや精油)を選ぶことは、乱獲を防ぎ、生態系を守ることに直結します。
・オーガニック認証: 農薬不使用だけでなく、環境負荷を抑えた生産背景を証明するものです。
・CITES対象外であることの確認:前述したローズウッドやサンダルウッド、フランキンセンスなど、絶滅危惧種や警告されている種については、正規のルートで輸入された証明があるか、あるいは栽培種であると明記されているものを選びましょう。
■野生生物の撮影や餌やりNG事項
旅先で野生生物に出合ったら、撮影したくなる気持ちもわかります。けれど、旅の記憶として自分で楽しむだけにとどまらず、SNSにアップするなどはとても危険! また、知識がないなかでの接触は、人間から動物へ、動物から人間へと未知のウイルスや細菌が伝播する窓口になるなど、思わぬリスクが潜んでいるのです。野生動物に接近した際に守るべき項目をしっかりチェックしておきましょう。
・位置情報オフ: 絶滅危惧種の生息地を特定できる情報をSNSに載せると、密猟者や過剰な観光客を呼び寄せることになります。投稿する際は、具体的な場所を伏せるのが鉄則です。
・フラッシュ機能オフ:動物の視力にダメージを与えたり、パニックを引き起こして親鳥が巣を放棄したり、子が捕食者に襲われる原因になります。
・自撮りは絶対NG:一緒に写るために野生動物に背を向けながら近づく行為は、動物にとっては予測不能な脅威です。何気ない自撮り行為が、野生動物の警戒心を薄めて人間に危害を加えたり(警戒心が強いと人間に危害を与える行動が少ない)、人間に捕まったりなど、相互にとってリスクを高めてしまうことも。
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・餌やり禁止:人間が与える食べ物(パンやスナック菓子など)は野生動物にとって高カロリー! うまく消化できないこともあり、病気や栄養失調を引き起こすこともあるのです。人間から餌をもらうことに慣れた動物は、食べ物を求めて人間に襲いかかる可能性が高くなるといわれています。その結果「危険な個体」として駆除される運命を辿ることが少なくありません。空腹でかわいそうという善意が、最も残酷な結果を招くことがあると心して!
■イベントに参加
「世界野生生物の日」にちなみ、3月3日には動物園や水族館、植物園、保全団体などがイベントや啓発活動を行うことがあります。下記以外にも全国で行われているので、ぜひ参加できそうなイベントを探してみてください!
・恩賜上野動物園(東京):3月7日(土)・8日(日)に、開催される「買って・知って まもるシェ!」では、さまざまな保護団体が特設ブースを出展。正しい商品を販売するショップだけでなく、CITES(ワシントン条約)や絶滅危惧種に関するクイズラリーやパネル展示なども。「野生植物とアロマ」に関する最新の保護情報も学べるチャンスです!
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通販にしろフリマサイトにしろ、インターネット上には「ないものはない!」と言えるほど、あらゆるものが出品されています。気軽に利用できて便利なのは事実ですが、購入前にちょっと待って! 出所不明な野生個体は購入しない、販売許可の有無を確認する、安価な野生採取に注意するなどは、大人として正しい行為です。それらに注意しない、あるいは無視して入手するのは違法取引を増長することに…。
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野生生物を守るために私たちにできることは、実は身近なところにあるのです。家にあるハーブティーのパッケージで認証マークを確認することも、「世界野生生物の日」にできることのひとつですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/外務省( https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html )/環境省( https://www.env.go.jp/ )/WWFジャパン( https://www.wwf.or.jp/ )経済産業省( https://www.meti.go.jp/index.html )/東京ZOOネット( https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&inst=ueno&link_num=29557 ) :

















