宮沢 りえさん
俳優
(みやざわ・りえ)1973年生まれ、東京都出身。1988年に『ぼくらの七日間戦争』で俳優デビュー。近年の主な舞台出演作品に、『リア王』、『昭和から騒ぎ』、パルコ・プロデュース2024『オーランド』などがある。映像作品でも、PrimeVideo シリーズ『人間標本』、『映画ラストマン-FIRST LOVE-』、NHK『火星の女王』など話題作に出演。映画『しびれ』の公開も控える。4月8日から全国5か所を巡回する舞台、パルコ・プロデュース2026『メアリー・ステュアート』では、主演のメアリー・ステュアート役を務める。

自分の意志を言葉に発し、人生をつかむ女王を生きる

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16世紀末、19年間にわたる幽閉の末、処刑されるスコットランド女王・メアリーと、処刑を命じたイングランド女王・エリザベス1世の運命を描いた王室悲劇『メアリー・ステュアート』。三度の結婚、エリザベス暗殺計画の関与疑惑と、稀代の悪女とも評されるメアリーを、宮沢りえさんは演じる。時代に翻弄されながらも愛をつかみ、直感のままに突き進む彼女の生き様に、強いメッセージを感じたそう。

「この作品は古典劇ですが、今の時代にも共通するところがたくさんあります。私には、今も地球上のどこかで、リアルタイムに起きていることのような気がしますし、権力の頂点に立つ女性がどう生きて、死んでいくか。国を治め、人々を魅了していく、その源になるものは何か、彼女の命の価値とはなんだったのだろうかと、脚本を読みながら考えていますね」

 常に時代のトップランナーであるりえさんにこそ、ふさわしい役と思えるが、自身は彼女に共感する部分は、あるのだろうか。

「感じたことを、ストレートに言葉に出すところでしょうか。戯曲のなかのメアリーはすごく理論的に気持ちを言葉にできて、“自分の思いに、きちんと決着がつけられる人”という印象があります。私も、仕事でもプライベートでも思ったことは必ず伝える。できるだけポジティブに、現状をもっとよくするための議論は進んでするタイプですね」

 メアリーが感情を爆発させ、エリザベスと激しく口論になる場面は、物語のハイライト。しかしそんな際にも、彼女の言葉には人としての品性が備わっているという。

「私自身、誰かを否定したり、蔑むような乱暴な言葉が本当に嫌いなんです。SNS上などで、そういう言葉が不意に入ってきてしまうと、もう、とても嫌な気持ちに…。でもメアリーの言葉は、矢のように鋭く発していても理性的で、台本を覚えていると、すごく気持ちよく蓄積されていく感じがします。台詞が多いのは大変ですけれど。そういった女王としての品性のある姿を、演じる際にはすごく意識しますね」

芝居の前後も作品の一部。そんな生の場に立ち続けたい

舞台に立つのは怖いけれどこれが成立できたら何か得るものがあるんじゃないかなって
舞台に立つのは怖いけれどこれが成立できたら何か得るものがあるんじゃないかなって

30歳で初舞台。現在も精力的にステージに立ち続けながらも、舞台俳優としては「やっと“つかまり立ち”くらいの気分」と、りえさん。台本が届いたときは、毎回震え上がるほど怖いと語るが、それでも舞台作品に挑み続ける理由とは?

「頭のてっぺんから爪先まで、全身を使った表現を、お客様に360度から見られるところは、役者としてすごく鍛えられます。そこは映像作品とは違うけれど、でも舞台で培ったものは、映像作品においても、とても大切で。ある監督が、『舞台に出られる方は、どこを切り取ってもその役になっている』と、話されていたのですが、私が舞台に立つ理由も、そこが大きいですね」

近年のAIの発展で、エンターテインメントの世界も急激に変化。舞台はそれに逆行するジャンルともいえるが…。

「舞台に限らず、生身の人間が表現する“ライブ”は、どんどん貴重になると思うので、そこでちゃんと生きていられるようにしたいです。でもAIも否定していなくて。実写では叶わないこともできますし、おもしろい作品もいっぱいある。両方楽しめる今の時代って、いいなと思います。舞台には、劇場を訪れる、芝居を観て帰るというプロセスがあって、そのプロセスのなかにも作品が生きている気がするし、今から芝居を観ようという高揚感や、観終わったあとに家路に着くまでの余韻も全部含めて、お客様には生もののおもしろさを感じていただけたらうれしいです。劇場でその瞬間しか起こらない奇跡って、私は本当にあると思っているから」

※掲載商品の価格は、全て税込みです。

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PHOTO :
伊藤彰紀(aosora)
STYLIST :
佐々木敬子(AGENCE HIRATA)
HAIR MAKE :
菊地美香子(TRON)
WRITING :
湯口かおり
EDIT :
福本絵里香(Precious)