【目次】

【「グリーンツーリズムの日」とは?「由来」と「意味」】

■「いつ」?

「グリーンツーリズムの日」は3月28日です。

■「由来」は?

1996(平成8)年3月28日に、日本におけるグリーンツーリズムの先駆けとなった、大分県「安心院町(あじむまち)グリーンツーリズム研究会」が発足したことに由来します。その後、同研究会の上部組織である「特定非営利活動法人 大分県グリーンツーリズム研究会」が「グリーンツーリズムの日」を制定し、2013(平成25)年に一般社団法人日本記念日協会によって認定・登録されました。

■どんな「意味」がある?

3月28日は、2002(平成14)年3月28日に大分県が全国に先駆けて農家民宿の営業許可条件を緩和する「グリーンツーリズム通知」を発令した日でもあります。これにより、日本全国に「農泊(農村への宿泊)」が広がる、法的な転換点となりました。「グリーンツーリズムの日」は、安心院町で始まった「グリーンツーリズム」という新しい旅のスタイルを、全国に再認識してもらうことを目的としています。


【そもそもグリーンツーリズムとは?】

■「グリーンツーリズム」の定義

「グリーンツーリズム」について、日本では農林水産省により、明確に定義されています。

「グリーンツーリズム」とは、「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」のこと。また、「それを通じて、農村で生活する人も農村を訪ねる人も「最高のクオリティライフ」を享受できるものでなければならない」とも定義されています。

■国が推進する目的は?

新たな余暇ニーズへの対応、農村地域の自然・文化を保全した農村活性化、都市住民の農林漁業・農村への理解の増進、訪日外国人旅行者が日本固有の自然および文化などに触れる機会の提供といった効果を期待し、推進しています。

■言葉の語源は?

「グリーンツーリズム」は、もともとはイギリスやフランスなど、ヨーロッパで普及した概念です。

イギリス: [Rural Tourism(ルーラルツーリズム/農村観光)]
フランス: [Tourisme Vert(トゥーリズムヴェール/緑の観光)]

日本では1990年代初頭から、これらの概念を参考に、日本の農村環境に合わせた「グリーンツーリズム」という呼称で普及が進められました。


【グリーンツーリズムでできる体験内容】

グリーンツーリズムの魅力は、単なる観光だけでなく、農村漁村ならではの「生活」や「文化」に触れ、非日常を楽しみながら、その土地でしかできない“暮らしの体験”ができるのが最大の魅力です。

主な体験内容を3つのカテゴリーに分けてご紹介しましょう。

■農業・漁業体験

その土地の生業(なりわい)を実際に体験する活動です。観光客向けのレジャーとしてだけでなく、食育や生産現場への理解を深める教育的な側面ももっています。

主な体験は、次のように整理できます。

分野 主な体験内容
農作業 田植え、稲刈り、野菜の収穫、果樹の剪定(せんてい)など
漁業 地引き網、養殖いかだの見学、漁船への同乗など
酪農 乳搾り、家畜の餌やり、バターづくりなど

■ 農村文化・生活体験

地域に伝わる知恵や暮らしを学ぶ体験です。

郷土料理づくり 収穫したばかりの食材を使った、地域伝統の献立づくり(ほうとう、おやき、押し寿司など)。
伝統工芸 竹細工、わら細工、草木染め、陶芸など。
自然散策 地域の歴史や植生に詳しい「地域ガイド」による里山歩き。

■交流・宿泊体験

農家民泊は、 一般の農家に宿泊し、家族と一緒に食事をつくったり囲炉裏を囲んだりして交流を深める「滞在型」の体験です。 ホテルや旅館のようなサービスを受けるのではなく、ありのままの「農村の日常」を体験することが最大の目的となっています。

日帰りで気軽に体験できるものとしては、農産物直売所での地元農産物の購入やぶどう狩り、芋掘りなども挙げられます。これらの体験は、旅行者のニーズの変化に応えるだけでなく、受入れ側の農家にとっても、新たな生きがいをもたらすものとなっているそうです。

【グリーンツーリズムのメリットと魅力】

「グリーンツーリズム」は、訪れる「都市住民」と、受け入れる「農村地域」の双方にメリットがある「双方向の交流」として位置付けられているのが大きな特徴です。

■都市住民(利用者)側のメリット

農林水産省の「食料・農業・農村に関する意識・意向調査」では、利用者が農村に求めるものとして「安らぎ・癒やし」が常に上位に挙げられています。また、特定の農家や地域と継続的に交流することで、精神的なよりどころやつながりを得られることもあるようです。

・リフレッシュと癒やし
 豊かな自然環境のなかで、日常の喧騒を離れて心身をリセットできます。

・食への理解(食育)
 農作物がどのように育てられ、収穫されるかを体験することで、食べ物への感謝の念が育まれます。

グリーンツーリズム実践者の多くは、 過剰なサービスや設備ではなく、窓から見える田園風景、もぎたての野菜の味、農家の方との何気ない会話といった「ありのままの日常」が、現代人にとって最大の贅沢(魅力)であると答えています。

■農村(受け入れ)側のメリット

・地域経済の活性化
宿泊費や体験料、特産品の購入などを通じて、農業以外の新たな収入源が生まれます。

・地域の誇り(アイデンティティ)の再認識
都市住民が地域の自然や文化を称賛することで、住民自身が地元の価値を再発見し、自信をもつきっかけになります。

・伝統文化の継承
郷土料理や伝統工芸を体験として提供することで、廃れかけていた技術や知識が保存・継承されます。

【日本におけるグリーンツーリズムの現状】

日本におけるグリーンツーリズムは、1990年代の導入期を経て、現在は「観光立国」の柱のひとつとして、より実践的でビジネス性も備えた段階へと移行しています。

■「農泊」の全国的な展開

現在、政府はグリーンツーリズムをさらに進化させた「農泊」を推進しています。「農泊」とは「農山漁村滞在型旅行」のこと。地域資源を観光コンテンツとして活用し、インバウンド(訪日外国人客)を含む国内外の観光客を農山漁村に呼び込み、地域の所得向上と関係人口創出を図ります。

現在、全国各地に「農泊推進地域」が設定され、宿泊施設(農家民泊)だけでなく、古民家を活用したレストランや体験メニューがパッケージ化されています。2020年代以降、農林水産省は「農泊」をビジネスとして自立させることを支援しており、インバウンドの受け入れ態勢の整備も進んでいます。

■多様な滞在スタイルの登場

コロナ禍以降、農村の静かな環境で仕事をしながら休暇を楽しむ「農村ワーケーション」が、リモートワークの普及と共に注目されています。「農泊」においても、地域の野生鳥獣肉(ジビエ)を活用した料理や、収穫体験とセットになった「農園レストラン」など、食の魅力が強化されています。

■今後の課題

受け入れ側の高齢化や後継者不足が深刻な課題となっています。

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現在のグリーンツーリズムは、伝統工芸の体験や古民家をリユースしたレストランなど、滞在のスタイルも多様化しています。ワーケーションで環境を変えて働いたり、本格的な農作業に挑戦したりと、楽しみ方の自由度も広がっています。大切なのは、五感をフルに開放し、多少の不便ささえも「その土地の個性」として楽しむ遊び心です。3月28日の「グリーンツーリズムの日」は、そんな新しい旅の扉を開く一日にしてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) /NPO法人 安心院町グリーンツーリズム研究会(http://www.ajimu-gt.jp) /農林水産省「グリーンツーリズムの定義と推進の基本方向」(https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/kyose_tairyu/k_gt/pdf/1siryou2_2.pdf) /栃木県公式「グリーン・ツーリズム総論」(https://www.pref.tochigi.lg.jp/g02/noson-chusankan/documents/03.pdf) /農林水産省「「農泊」の推進について」(https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/nouhakusuishin/nouhaku_top.html) /和歌山県のグリーンツーリズム(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070300/gt/index.html) /福島県「グリーンツーリズム」(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36230a/gt.html) /まちむら交流きこう(https://www.kouryu.or.jp) /農林水産省「『濃泊』におけるワーケーションについて」(https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/nouhakusuishin/attach/pdf/suishin_kenkyu-14.pdf) :