【目次】

【「春の全国交通安全運動」とは?何の日?誰が実施している?】

■「いつ」?

「春の全国交通安全運動」は、例年4月と9月に実施される全国的な交通安全啓発活動のひとつです。2026(令和8)年は、4月6日(月)から15日(水)までの10日間となります。また、運動期間中の4月10日は、特に「交通事故死ゼロを目指す日」として制定されており、集中的な啓発活動が行われます。

■何の日?

4月は入園・入学・入社など、日本中で新しい生活が始まる時期です。「慣れない道を歩く子どもたち」をはじめ、「不慣れな運転をする新社会人」が急増するタイミングに合わせて、社会全体で「『交通安全』への認識を新たにし、確認する啓蒙期間」です。また、行楽シーズンでもあるこの時期に、レジャーと安全をセットで考える節目としても機能しています。

■誰が実施している?

「春の全国交通安全運動」は、内閣府をはじめ、警察庁や関係省庁、地方自治体、関係団体が連携して実施しています。


【「春の全国交通安全運動」の目的と取り組み内容】

■「目的」は?

内閣府の「令和8年春の全国交通安全運動推進要綱」では、この運動の目的を以下のように明記しています。

「広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的とする」

要点を整理すると最大の目的は、「交通事故死傷者の減少」です。ポイントは3点。

・次世代を担う子どもたちの安全確保。新入学児童などが交通事故に遭わないよう、社会全体で見守る意識を高めます。
「歩行者優先徹底」の原則を再認識し、運転者に対し、横断歩道における歩行者優先の義務を再認識させます。
・飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶を目指し、重大事故に直結する危険運転を抑止します。

■「取り組み内容」は?

期間中は、全国各地で以下のような活動が展開されます。

交通安全キャンペーン・街頭啓発
駅前や交差点でのチラシ配布、パレードなどを通じた意識向上活動。

交通安全教室の開催
小学校や幼稚園での通学路の歩き方指導、高齢者向けの反射材活用講座など。

指導取締りの強化
警察による通学路や事故多発地点での速度違反、一時不停止、携帯電話使用などの重点的な取り締まり。

広報啓発活動
ポスターの掲示や広報車による巡回、SNSを活用した情報発信。

■2026(令和8)年の重点項目は?

「春の全国交通安全運動」では毎年、そのときの交通事故情勢に合わせた「重点」が設定されています。今年(2026年)の運動重点は以下の3点です。

1) 通学路・生活道路における、こどもをはじめとする歩行者の安全確保
2) 「ながらスマホ」の根絶や歩行者優先等の安全運転意識の向上
3) 自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底


【2026年は何が変わった?注目される「自転車の交通ルール」とその背景】

2026年の「春の全国交通安全運動」において、特に注目すべきなのが、3)の自転車や特定小型原動機付自転車の安全利用です。

■自転車が関係する事故の現状

近年の交通安全運動で自転車が最重点項目となっている背景には、事故全体に占める自転車の割合が急増している現状があります。特に都市部での事故割合は極めて高く、都内で発生した全交通事故のうち、自転車が関与する事故の割合は45.9%に達しています(※)。実に「2件に1件」が自転車が絡む事故なんですね! 驚きです。

また、シェアリングサービスの「LUUP(ループ)」などで提供されている電動キックボードの多くが、「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という区分に該当し、ニュースやSNSで、利用者の安全意識の低さやマナーの悪さが、度々指摘されていることはご承知の通りです。

※警視庁「令和7年中の交通事故の発生状況」より

■2026年4月から自転車に新ルール!何が変わる?

自転車事故の急増を受け、これまで「注意」にとどまりがちだった違反に対し、自動車と同様の厳しい罰則や新制度が導入されています。

「青切符(反則金制度)」導入

2026年4月から、自転車にも交通反則通告制度が適用されるようになります。これまでの自転車違反は、いきなり刑事罰の対象となる「赤切符」か、単なる「指導警告」の両極端でしたが、赤切符による処理は、検察に送致されても不起訴とされる場合があり、違反者に対する責任追及が不十分であると指摘がされていました。

そこで、2026年4月からは自転車にも青切符を導入し、迅速な処理を可能とするとともに、違反者に前科がつくことをなくしつつ、違反者への実効性のある責任追及ができるようになります。

対象:16歳以上の運転者が行った反則行為
主な違反項目:信号無視、一時不停止、通行区分違反(右側通行など)、携帯電話使用など約110項目。
意義:軽微な違反でも「反則金」という金銭的ペナルティを科すことで、自転車利用者の規範意識をより実効的に高める狙いがあります。

今後は、違反の内容や態様に応じて、赤切符か青切符かの処理が分かれます。
悪質・危険で、かつ重大な違反をしたときや事故を起こしたとき ⇒赤切符による処理
  (例)酒酔い運転・酒気帯び運転、妨害運転など
    違反によって実際に交通事故を発生させたとき
悪質・危険な反則行為をしたときや実際に交通への危険を生じさせたときなど ⇒青切符による処理
   (例)ながらスマホ(注)、遮断踏切への立入り、ブレーキ不良など

「ながらスマホ」の禁止
スマートフォンを手に保持して通話することや、画面を注視する行為が厳禁となりました。罰則は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金(事故等の危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金)。

「酒気帯び運転」の新設・厳罰化
自転車でも「酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上)」が処罰対象となりました。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。飲酒運転をすることを知っていて自転車を貸した人や、お酒を勧めた人も処罰の対象となります。

■自動車を運転する人は「改正道路交通法」を頭に入れて!

道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられています。従って、歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です。報道などでご承知の方も多いと思いますが、今回の法改正で最も注目すべき点は、自転車側のルールだけでなく、「自動車等が自転車を追い越す際のルール」が新設されたことです。ポイントはふたつ。

・十分な間隔を保つ
 自動車等が自転車等の右側を通過(追い越し)するときは、できる限り間隔を空けましょう。
 少なくとも1メートル程度間隔を空けることが安全です。

・間隔を保てない場合は速度を落とす
 自転車等と1メートル程度の間隔を確保できない場合には、時速20キロメートルから30キロメートル程度で運転しましょう。

ただし、道路標識等により追い越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場所では、右側部分にはみ出しての追い越しはできませんので、注意が必要です。わかりやすく言えば、道路の中央線が黄色の実線(イエローライン)で示されている場合、前を走っている自転車を追い越す際に、中央線をまたぐことは禁止されているのです。

また、同時に自転車側にも義務が生じます。自動車に追い越される際、自転車はできるだけ道路の左側に寄って、自動車が安全に通過できるスペースを空けなければなりません。電動キックボードなども同様です。


【「春の全国交通安全運動」で意識したい安全ポイント】

法改正により、これまでの「暗黙の了解」はもはや通用しなくなっています。新生活で不慣れな利用者が増えるこの時期、具体的に以下の3点を意識しましょう。

■自転車を「追い越さない」という選択肢

新ルールでは、自転車を追い越す際に「十分な間隔」が取れない場合は「安全な速度( 時速20キロメートルから30キロメートル )が義務付けられています。中央線がイエローラインの道では、はみ出しての追い越しは禁止です。自転車を無理に抜こうとせず、道幅が広くなる場所や、自転車が左に寄って安全に抜ける場所まで、距離を保って追従する余裕を持ちましょう。

■横断歩道手前での「30m以内」のルール再確認

春は新小学1年生など、歩行者の動きが予測しづらい時期です。横断歩道の手前30m以内では、軽車両(自転車)を含め、ほかの車両を追い越したり追い抜いたりしてはいけません。道路にあるひし形のマーク(横断歩道あり)を見つけたら、アクセルを緩め、歩行者がいないか目を配りましょう。

■夕暮れ時の「早め点灯」の徹底

運動期間中の4月上旬〜中旬は、ちょうど「薄暮(はくぼ)」の時間帯が帰宅時間と重なります。自転車や自動車のライトを点けるのは、「前を見るため」だけでなく、歩行者や自転車に「自分の存在を気づかせるため」でもあります。周囲が少しでも暗いと感じたら、迷わず点灯しましょう。


【大人として身につけたい交通マナーと配慮】

交通ルールを守ることは「最低限の義務」ですが、運転者や歩行者がお互い気持ちよく道路を共有するためには、ルールを超えた「配慮」が欠かせません。大人の余裕を感じさせるマナーを意識しましょう。

■今まで以上に「譲り合い」が大切

イエローラインなどで自転車を追い抜けない場合、ドライバーとしてはどうしてもイライラしてしまいがち。でもこんなときこそ、安全に抜ける場所まで「待つ」余裕をもつことが大切です。同時に自転車側も、後ろに車が続いていることに気づいたら、広い場所で少し左に寄って先に行かせるなど、スムーズな交通の流れを助ける動きを意識しましょう。

■横断歩道での「アイコンタクト」と「会釈」

信号のない横断歩道で止まることは義務ですが、止まったあとのコミュニケーションも大切です。歩行者・自転車側は、止まってくれたドライバーに対し、軽く目礼をするだけで、ドライバー側の「次も止まろう」という意識を高めることにつながります。ドライバーは歩行者が渡るのを待つ際、手信号などで「どうぞ」と促すなど、大人な対応を心掛けたいですね。

時折、横断歩道で歩行者に道を譲られ、止まらずに進んだ自動車が交通違反で「切符を切られた」という話を耳にします。横断歩道では歩行者優先がルールであることをお忘れなく。

■「予測」のプロになる

4月の「春の全国交通安全運動」期間は、道に迷っている新入社員の車や、フラフラと危なっかしい新入学児童の自転車が目立ちます。自分はルールを守っていても、「相手がルールを知らないかもしれない」「予期せぬ動きをするかもしれない」と、広い視点で予測し、あらかじめ距離を置くのが大人のマナーです。

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2026年4月の改正道路交通法により、ドライバーは自転車を追い越す際、これまで以上に慎重な対応が求められるようになります。十分な間隔を確保できない場合には減速が必要となるため、状況によっては自転車の後方を走行する場面も増えると考えられます。

日本の道路環境においては、「車道走行」や「安全な追い越し」を実現するための条件が整っていないケースも見られ、こうした過渡期においては、ドライバーひとりひとりの「予測力」と「配慮」がこれまで以上に重要になります。

「春の全国交通安全運動」は、単に違反を摘発するための期間ではありません。ドライバーと歩行者、自動車と自転車など、それぞれの立場から交通安全を見つめ直すことが、道路をより安全な空間へと導く第一歩となるでしょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料: 『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /内閣府「令和8年春の全国交通安全運動推進要綱」(https://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/undou/r08_haru/youkou.html) /一般社団法人 全日本交通安全協会(https://www.jtsa.or.jp) /警視庁「自転車事故の推移2025」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/bicycle.files/001_07.pdf) /政府広報オンライン「2026年4月から自転車の交通違反に「青切符」を導入!何が変わる?」(https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html) /自転車交通安全「自転車の新しい制度」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/portal/system.html) :