【目次】

「お香の日」とは?「意味」と「由来」

■「お香の日」とは?

全国の薫物・線香業者などが加盟する日本薫物線香工業会(兵庫県淡路市の淡路市商工会内)が制定し、日本記念日協会に認定されている「お香の日」。香文化の普及などが目的です。

■なぜ4月18日?「お香の日」の由来

奈良時代に成立した日本初の歴史書『日本書紀』の巻二十二は初の女帝である推古天皇の一代記ですが、ここに「香」についての最初の記録があります。595年の4月、淡路島に漂着した流木を島民が薪として燃やしたところとてもいい香りがしたので天皇に献上したというもので、この流木が「沈香(じんこう)」とされる香木(こうぼく)でした。

日付けは、「香」の字を分解すると「一」「十」「八」「日」となることと、595年の4月に香木が漂着したことを併せて4月18日に。


「お香」とは?種類と特徴をわかりやすく解説

「香」は、数々の香料を練り合わせたものの総称です。仏壇や墓前で使用するだけでなく、フレグランス的な使い方も。「香」の種類と特長をご紹介しましょう。

【早見表】

種類 特徴 主な用途・ポイント
線香 スティック状で最も一般的。長さや太さにより燃焼時間が変わり、折って調整も可能 仏前・日常使い
渦巻き型 渦巻き状に成型された線香。燃焼時間が長い 蚊取り線香・室内香
コーン型 円錐形で先端から燃焼し、徐々に香りが強くなる 短時間でしっかり香らせたいとき
練香(ねりこう) 香料を蜜などで練り丸めたもの。加熱して香りを出す 茶道・伝統的な香り文化
印香(いんこう) 型で押し固めた装飾性のある香。灰の上で温めて使う 観賞性・香道
匂い袋 香料を袋に入れたもの。火を使わない 身につける・室内の香り付け
塗香(ずいこう) 粉末状で身体に塗る香 仏教儀礼・浄化
焼香(しょうこう) 香木や香料を刻んだもの。加熱して香りを出す 仏事・法要

■線香

最もポピュラーなお香は、スティックタイプの線香ですね。一般的に仏前で焚くのはこのタイプ。長さ太さと
燃焼時間は比例しますが、折って使うことで燃焼時間の調整が可能
です。

■渦巻き型

蚊取り線香としておなじみのタイプ。線香を渦巻き状に成型したり、薄く伸ばしたものを型抜きしてつくります。燃焼時間が長いのが特徴。ルームフレグランスとして使用する小さな渦巻き型もあります。

■コーン型

円錐の先端から燃焼するため徐々に燃える面積が広くなり、それに合わせて香りも強くなるのが特徴。円錐形のまま灰になるので、周辺に灰が散らばりにくいのが利点。

■練香(ねりこう)

粉末にしたさまざまな香料に蜜や梅肉などを加えて練り、丸薬状に成型したもの。現在は主に茶の湯の席で用いられますが、平安時代には貴族の間で虫除けや匂い消しに使われました。『源氏物語』などの王朝文学に「薫物(たきもの)」として登場するのがこのタイプです。

■印香(いんこう)

粉末にした香料を、梅花や紅葉、扇といった吉祥の形に押し固めた香。直接火をつけるのではなく、熱した灰の上にのせて薫じます。カラフルで愛らしい形が特徴です。

■匂い袋

粉末や刻んだ香料を袋の中に入れ、身に着けたり室内などに掛けて使うもの。平安時代、宮廷人の身だしなみアイテムとして広まりました。手紙の中に忍ばせられるよう、平たい小さな袋状にした「文香」も。

■塗香(ずいこう)

寺院で本尊に供えたり、邪鬼を寄せ付けないよう修行者が身体に塗って身を浄めたりするのに使用される、粉末状の香。写経の際にも用いられます。

■焼香(しょうこう)

仏事での焼香で用いられるものを、「焼香」や「刻み香」と呼びます。香木を細かく刻んだり、香料を混ぜ合わせてつくります。


日本の「香文化」とは?歴史と背景

宗教的な儀式に用いられるものから、貴族の遊びや武士のたしなみ、そして庶民の癒しなど、その目的や役割が変化してきた日本の「香文化」。その歴史には、日本人の繊細な感性がうかがえます。

■飛鳥・奈良時代「香りを供える」

6世紀の仏教伝来とともに始まった「お香の文化」。 お釈迦さまが香木の香りをとても好んだので、お供えとして香木を焚くようになったといわれています。仏前を浄め、供養や感謝の想いを伝えるための「供香(くこう)」を中心に広まりました。“香りを供える”という文化の始まりです。

■平安時代「雅な楽しみ」

仏教儀式に用いられるだけでなく、貴族たちが生活のなかで香りを楽しむようになったのが平安時代。複数の香料を合わせた「薫物(たきもの)」が流行します。室内や衣服に香りを染み込ませるための「空薫(そらだき)」は、高貴な人々のたしなみでした。自ら調合した香りを競い合ったり、香りを当てる「香合わせ」という雅な遊戯も登場。

■室町・安土桃山時代「香道の成立」

禅宗の影響を色濃く受けた武士の時代、香りはより精神性の高いものへと変化しました。複雑にブレンドされたものから、香木そのものの香りを楽しむように。室町時代中期に隆盛した東山文化の時代に、茶道や華道のように、作法を重んじる「香道(こうどう)」も確立。

■江戸時代「庶民に普及」

いま私たちにいちばんなじみがあるのは「線香」ですが、これは安土桃山時代末から江戸時代初期にその技術が中国からもたらされたといわれています。江戸時代中期に技術の発展によって量産できるようになり、特権階級のものだった「香りの文化」は、線香の普及により一気に庶民にも広まりました。

■現代「進化する香りの文化」

香道や仏教儀式での伝統的な香りの文化は守られながら、息抜きやくつろぎ、緊張を解くためなど、お香はリラクゼーションアイテムとして生活に根付いています。


【「お香」の楽しみ方|日常に取り入れる方法】

火を点けて香りをくゆらせる「お香」を、日常生活で活用するための方法やアイディアを挙げてみましょう。

■生活のルーティンに取り入れ、気分のスイッチを切り替える

朝起きてすぐ、出かける前、帰宅時、就寝前など、一日のルーティンに。短い時間で燃焼しきる線香がおすすめです。気分のスイッチを切り替えるため、シーンに合わせて香りを選びたいものですね。

・寝起き:ミントやシトラス系など、清涼感のある香りで心身を目覚めさせましょう。窓を開け、空気の入れ替えをしながら焚くのがおすすめです。

・出かける前:好みの香りで気分を上げ、やる気スイッチをオン! 

・帰宅時:白檀や沈香、ローズ、パチュリなど、緊張を解きほぐす香りでひと息。5分間だけでも照明を落として漂う香りに集中するように過ごすと、リラックス効果が高まります。

・就寝前:自律神経を整え副交感神経を優位するとされるラベンダーは、入眠アロマの定番。リフレッシュとリラックス効果をもつ檜のお香もおすすめです。鼻を刺激しないよう煙の少ないタイプを選んだり、寝る前に焚き終わるようにするのがポイント。

■在宅ワークや読書、趣味に集中したいときに

■封書の中に文香や印香を入れて名刺代わりに

■気候や天候に合わせて香りを替え、季節の移ろいを楽しむ


【「お香の日」に何をする?「過ごし方」と「楽しみ方」】

4月18日の「お香の日」は、二十四節気でいえば「清明(せいめい)」から「穀雨(こくう)」へと移り変わるタイミング。「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という言葉を略した「清明」は、すべてのものが清らかで生き生きとしているという意味。そして、春の最後を飾る「穀雨」は、新緑をいっそう鮮やかに見せる雨が農作物の成長にも欠かせない恵みとなる時期です。シトラス、ハーバル、スパイス、フローラルなど、フレッシュで躍動的なイメージのお香を選んでみては?

日本のお香の発祥地とされ、日本での線香生産の約7割を担う淡路島では、複数の施設で香づくり体験などもできます。出かけるのは難しくても、淡路島産の線香を購入して楽しむのもいいでしょう。

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「香食(こうじき)」という言葉を知っていますか? 古くから「香は仏の食べ物=香食」と言われ、香りを供えるのは故人への最高のもてなしとされています。「香を嗅ぐ」のではなく「香を聞く」という表現を使うのは、お香は単なる匂いではなく、心で受け止めるものだから。漂う香りを楽しむだけでなく、すっと立ち上がったり空気の流れに揺れたりする煙を見てぼんやりするのも、香がもたらしてくれる癒しですね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/ 日本薫物線香工業会( https://senko-kogyokai.jp/ )/淡路島観光ガイド( https://www.awajishima-kanko.jp/ )/『和の暦手帖 二十四節気と七十二候を愉しむ』(だいわ文庫) :