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世界図書・著作権デーとは?意味・由来を簡潔に解説

■4月23日は「世界図書・著作権デー」

国際連合教育科学文化機関(UNESCO=ユネスコ)が制定した国際デー。読書・出版ならびに著作権保護の促進を目指して制定されました。英文表記は「World Book and Copyright Day」です。

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■目的

ユネスコによる「世界図書・著作権デー」の意味をご紹介しましょう。

本は私たちを新しい世界へと導き、異なる文化や価値観に触れるきっかけを与えてくれる存在です。ユネスコはこうした本の役割に着目し、世代や文化をつなぐ力を称えるとともに、読書や出版、著作権の大切さを広く共有する日として、4月23日を「世界図書・著作権デー」と定めています。

■日付の由来

4月23日は、親しい人に本を贈る「サン・ジョルディ日」でもあります。こちらはご存知の方もいるのでは? これは1986(昭和61)年に出版関係の団体が始めたもの。

サン・ジョルディは、スペインカタルーニャ地方の守護聖人。スペインでは彼の命日である4月23日に本の市場が立ち、大切な人へ花とともに本を贈り合う「本の日」という習慣があります。「サン・ジョルディの日」はこれにちなみますが、「世界図書・著作権デー」の日付もこのサン=ジョルディに由来。1995年にスペイン政府が「本の日」を世界中に広めるべきだとユネスコ(UNESCO)に提案して実現したとされています。

また、劇作家シェイクスピアや、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスなど、4月23日にゆかりのある、世界的な文豪を偲ぶ意味合いもあるようです。

■日本では「子ども読書の日」でもあります

国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めるため、「子どもの読書活動の推進に関する法律」によって制定された4月23日の「子ども読書の日」。この日、文部科学省による「子どもの読書活動優秀実践校」表彰等が行われるほか、各地で子どもと読書に関する催しが行われます。


世界図書・著作権デーが生まれた背景|本と文化を守る取り組み

■記念日に「著作権」が加えられた理由

  • 本は知識を与え、癒しや感動、思考を呼び起こし、私たちの生活に彩りや豊かさをもたらしてくれるもの。読むだけでなく、その作者・制作者である著作者や出版者の権利を国際的に守ることが、“本=文化”の持続的な発展に不可欠であるという認識から、「著作権(Copyright)」という言葉がこの記念日の名称に組み込まれました。

まさに本は未知なるものの扉になり得ます。「世界図書・著作権デー」はその作者たちの権利を守ることも含めて“本”の魅力を広める日というわけですね。

■現代こそ正しく認識したい「本と文化を守る取り組み」

SNSやAIによりさまざまな情報を素早く入手できる現代。簡単に知識を得たり発信できる一方で、その正確性が疑わしいものも氾濫しています。また、個人や団体・機関が所有する知的財産が無断で利用されることがあるのも大問題!守られるべき知的財産の無断使用は、民事・刑事の両面で責任を問われることがあり、社会的にも信用を失墜させることになりかねません。

「世界図書・著作権デー」は、著作権を認識することも大きな目的なのです。


著作権とは?大人が知っておきたい基本ルール

では、著作権とはどんなものなのでしょうか? 具体的に知ることが権利者の利益を守ることと、その侵害を回避することに繋がります。

■著作権とは?

著作権は知的財産権のひとつで、著作物を創作した時点で自動的に発生する権利です。著作者は、自分の著作物について、複製、公衆送信、上映、翻訳などの利用を許諾したり禁止したりする権利をもち、許諾なしでは第三者が使用することはできません。

そして、著作権は原則として著作者の死後70年まで保護されます。たとえば、1950年に発表された作品の著作者が2000年に亡くなった場合には、その死後70年後にあたる2070年まで保護されます。

保護期間内に他人の著作物を利用する場合は、著作権者の許諾を得る必要があります。無断で利用すると著作権侵害となり、罰則の対象となるほか、差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

■著作権保護期間の変更

実は、日本で著作権の保護期間が70年になったのは2018(平成30)年12月30日からと、割と最近のことです。それ以前の保護期間は50年でしたが、TPP11協定(※)の発効に伴う著作権法改正により、アメリカや多くの欧州連合国が採用していた保護期間70年に足並みを揃える形で変更されました。

平均寿命が延びた現代では著作権者が亡くなって50年ではその遺族を十分に支援できないことや、日本の漫画やアニメ、ゲームなどのコンテンツが世界中で消費されるようになり、諸外国と条件を等しくすることで権利者が不利益を被らないようにするという狙いもありました。

※TPP11協定…日本を含む11か国が参加する経済連携協定。貿易や投資のルールに加え、知的財産に関する取り決めも含まれる。

■著作権が切れたら…?

著作権によって保護されていた著作物が、著作権の保護期間70年を経過すると“社会の公共財産”になり、誰でも利用できるようになるって知っていますか? 文化庁は、保護期間満了後は社会全体の共有財産として自由に利用できる、すなわち「公有=パブリック・ドメイン(public domain)」になると説明しています。

パブリック・ドメインとなった著作物は原則として自由に利用できますが、著作者の死後も、著作者人格権を侵害するような行為はしてはならないとされています。

■無意識でもNG! 覚えておきたい著作権ルール

・保護期間:著作権者の死後70年(保護期間50年時代の著作物で2018年12月29日までにその期間が過ぎているものは対象外)

・保護対象:小説、脚本、論文、講演、絵画、写真、音楽、プログラムなどに加え、SNS投稿やメールの文章でも、創作性が認められるものは著作物となり得ます。

著作権に関する相談窓口や紛争解決手続については、文化庁の案内ページで確認できます。

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今回ご紹介した「世界図書・著作権デー」の4月23日は、「サン・ジョルディの日」や「子ども読書の日」でもあります。また、4月23日から5月12日は「こどもの読書週間」で、4月30日は「図書館記念日」。“読書の秋”といいますが、この時期も読書や本がもたらす文化について考えるのに適した時期なのではないでしょうか。本格的に暑くなる前に、公園やオープンエアのカフェなど屋外での読書もいいですね。GWに遠出をするなら、ぜひ旅行バッグに本を。移動中や、いつもと違う風景の中での読書はいかが? 連休中は自宅で読書三昧というのも有意義な休日の過ごし方ですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『世界大百科事典』(平凡社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/国際子ども図書館( https://www.kodomo.go.jp/ )/ユネスコ( https://www.unesco.org/en )/文化庁( https://www.bunka.go.jp/index.html ) :