日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは山形県鶴岡市にある「ショウナイホテル スイデンテラス」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の4000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

雨の日が愛おしくなる!庄内の新感覚リゾートで温泉と読書にひたる

山形県・最上川下流域に広がり、日本有数の大穀倉地帯として知られる庄内平野。見渡す限りどこまでも続く田園風景のなか、まるで水田に浮かぶように忽然と現れるのが、今回ご紹介する「ショウナイホテル スイデンテラス」です。建築家・坂 茂(ばん・しげる)氏が手がけたスタイリッシュな空間で、庄内の自然や文化を体感できる新感覚の宿泊施設で、地方創生のモデルとしても注目されています。 

外観
水田に美しく浮かび上がる「スイデンテラス」。

“晴耕雨読の時を過ごす、田んぼに浮かぶホテル”をコンセプトに掲げるこちらの宿は、梅雨の時期にぜひ訪れたいディスティネーション。その魅力について植竹さんはこう話します。

「晴れた日の水鏡のような水田も眼福ですが、雨の日の水田に波紋が広がるさまや雨に煙る庄内平野なども幻想的。梅雨こそこちらの宿の本領が発揮されるタイミングではないでしょうか。水田を眺めながら読書をしたり、温泉やサウナで心身を整えたり、宿のコンセプトに違わず“晴耕雨読”の旅時間を過ごせるのが醍醐味です」(植竹さん)

ライブラリー
ライブラリーは共用棟と宿泊者棟の2か所にあり蔵書数は合計2,000冊。
館内のショップ
館内のショップでは、お酒やスイーツなど庄内の風土を育んだこだわりの品が並ぶ。

地下1200mから湧き出る自家源泉を使用した温泉は、坂 茂氏が手がけた開放感ある設計も魅力。田園風景を望む露天風呂は「天色(あまいろ)の湯」「月白(げっぱく)の湯」の2か所あり、それぞれ本格的なサウナも併設しています。セルフロウリュが楽しめるサウナで汗を流した後、水風呂や外気浴でクールダウンし、庄内の風を感じながら心地よく“整う”ことができるのは格別。また、内湯「朱鷺色の湯」では木組みの天井や天窓も必見です。

朱鷺色の湯
「朱鷺色の湯」。
天井
「朱鷺色の湯」の天窓。

「泉質は、ナトリウム・カルシウム – 硫酸塩・塩化物温泉。硫酸塩泉は古からいい伝わる三大美人の湯泉質のうちのひとつで、保湿効果が期待できます。

露天風呂は屋根付きのため、雨の日でも快適に湯浴みできるのもうれしいポイント。しとしとと雨が降る水田をぼんやり眺めながら湯に浸かっていると、不思議と気持ちまで静かに整っていくかのように感じられます。慌ただしい日常の喧騒から離れ、この宿ならではの“余白のある時間”に癒されました」(植竹さん)

天色の湯
「天色の湯」。
月白の湯
「月白の湯」。
サウナ
サウナ。

田園風景と共に庄内の旬を五感で味わい尽くす

ダイニング「ムーンテラス」での食事のコンセプトは、「Farm to Table(農場から食卓へ)」。自社農場や近隣の農家で栽培された野菜をはじめ、山形・庄内産の新鮮な食材をふんだんに使い、地域の自然や生産者とのつながりを大切にした食体験を提案しています。

食材
ダイニング入口のショーケースには山形・庄内の旬の食材が並ぶ。

夕食は現在、7,000円・9,500円・12,000円の3種類のコースを主に展開。「水と米」にフォーカスし、いずれのコースにも庄内の米を生かしたアミューズ、つや姫パン、つや姫おむすび(12,000円のコースは岩のりおむすび)を取り入れ、そこへ庄内浜で水揚げされた鮮魚や山形牛など、土地の味覚を組み合わせることで、庄内の恵みを一皿一皿に表現しています。

さらに、ドリンクメニューも約82%が山形県産のワインや日本酒という構成。地元の食と酒のペアリングにより、土地への理解がより一層深まります。

夕食一例
ディナーコース一例。 ※メニューは季節や仕入れ状況により異なります。
おにぎり
岩のりおむすび。
ディナーの光景
12,000円のコースでは料理長による食材のプレゼンテーションサービスもある。

朝食は、80%以上の料理に庄内産の食材を使用した和食のブッフェ。地元農家産の特別栽培米「つや姫」「雪若丸」「つや姫玄米」の三種の食べ比べができるなど、地産地消にこだわり抜き、お米のおいしさを引き立てるお供として、「塩納豆」(麹と昆布を混ぜた庄内の伝統食)や「むきそば」(蕎麦の実を丸ごと茹でて出汁で食べる鶴岡の郷土料理)といったローカルフードが並びます。

フルーツ王国・山形らしく季節のフルーツも好評で、6月からはフレッシュなさくらんぼが登場することも。みずみずしい甘みと程よい酸味が口いっぱいに広がり、初夏の庄内を感じさせてくれます。大きな窓の向こうに広がる水田風景を眺めながら、土地の恵みをたっぷり味わえるのも「スイデンテラス」ならでは。慌ただしい日常ではつい忘れがちな、“丁寧に朝を迎える豊かさ”を改めて実感できることでしょう。

朝食一例
朝食一例。
レストラン
ダイニングからの眺め。

以上、「ショウナイホテル スイデンテラス」をご紹介しました。忙しない日常から少し距離を置き、ただ水田を眺め、雨音に耳を澄ませ、温泉や読書、土地が育んだ味覚にひたる―─。そんな豊かなひとときを過ごしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • ショウナイホテル スイデンテラス
  • 住所/ 山形県鶴岡市北京田下鳥ノ巣23−1
    客室数/全119室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥19,360~(税込)、「1日3組限定 地産地消を味わう シェフ厳選8品のコース」2名1室1名 ¥21,860~(税込)
  • TEL:0235-25-7424

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)