【目次】

【「シーチキンの日」とは?「いつ」「なぜ」「由来」「意味」を簡潔に解説】

■「いつ」?

「シーチキンの日」は5月25日です。

■「誰が」決めた?

静岡県静岡市に本社を置き、缶詰やレトルト食品、パスタ、パスタソースなど、さまざまな食品の製造・販売を手がけるはごろもフーズ株式会社が制定した記念日です。

■「なぜ」5月25日?「由来」

日付は、はごろもフーズ株式会社の創業日である1931年5月25日に由来します。2021(令和3)年4月に、同社が創業90周年を迎えたことを記念して制定され、一般社団法人 日本記念日協会に登録・認定されています。

■「意味」は?

「シーチキンの日」にちなんださまざまなイベントなどを通じて、シーチキンの美味しさや、和洋中どんなメニューにも調和する高い汎用性を、より多くの人に知ってもらいたいという願いが込められています。


【「シーチキン」とは?名前の由来とツナとの違い】

■「シーチキン」という名前の由来は?

シーチキン[Sea Chicken]は、直訳すると「海の鶏肉」。この一風変わった名前は、アメリカに輸出していたツナ缶を日本でも販売するため、日本人にも積極的に食べてもらえそうないい名前を…と考案されたそう。原材料である蒸した「びんながまぐろ」の魚肉が白っぽく、食感がまるで鶏肉(ささみ)のようにしっとりと柔らかかったことに由来しています。当時、缶詰製品に名前を付けるのはとても珍しく、シーチキンが”初”だったそうです。

■「ツナ」との違いは?

結論から言うと、「ツナ」は一般的な食品名の総称であり、「シーチキン」ははごろもフーズ株式会社がもつ登録商標(商品名)です。つまり、同じ意味で使われがちな「ツナ缶」と「シーチキン」は、厳密には“総称”と“商品名”の違いがあります。

ツナ[tuna]
英語の[tuna]は、マグロやカツオなどの「スズキ目サバ科マグロ属」に分類される魚の総称です。日本では「ツナ=マグロ」のイメージが強いのですが、定義的にはカツオなどを含む広い範囲の魚を指しています。これらを原料に、油やスープに漬けた缶詰全般が「ツナ缶」と総称されます。ただし、日本では特に断りなく「ツナ缶」といえば「マグロの油漬け缶詰」を表す場合もあるようです。

シーチキン
はごろもフーズが製造・販売するツナ缶の商品名。日本国内ではあまりに知名度が高いため、「ツナ缶=シーチキン」のようなイメージが定着していますが、法律上は同社だけが使用できる特別なブランド名です。


【「シーチキン」の歴史とは?日本で広まった背景と「雑学」】

■もともとはアメリカへの輸出品だった

「シーチキン」が生まれるきっかけとなったのは、静岡県清水市(現・静岡市)で大量に水揚げされても使い途が少なかった「びんながまぐろ」を有効利用できないか?と考えた後藤磯𠮷氏が、1931(昭和6)年に「後藤缶詰所(現・はごろもフーズ)」を創業し、日本初の「マグロ油漬缶詰」を製造したことに始まります。つまり、当初は日本国内向けではなく、アメリカへの輸出用として「ツナ缶」の製造が始まったのです。

■貿易摩擦から国内販売へと舵を切った2代目の英断

戦後となった1950年当時、マグロ油漬缶詰の対米輸出は貿易摩擦の種となり、米国で輸入関税の引き上げ措置がとられていました。後藤缶詰所を継いだ二代目・後藤磯吉氏はこれを機に、国内市場の開拓を決意。「日本人の食文化は近い将来、必ず欧米化が進み、食生活にマグロ油漬缶詰を取り入れるようになるはず」と直感し、周囲を説得したそうです。1958年には、「シーチキン」という商品名を決定し、商標登録しました。

■国内販売から10年は伸び悩み…

「シーチキン」が国内で発売された当初は、日本人になじみのない食べ物であったため食べ方も浸透せず、1958年の年間出荷数は9万個あまり(1931ケース)と伸び悩んでいたそう。また、当時は中身の素材をそのまま商品名にすることが主流だったため、ユニークなネーミングを酷評する得意先も多かったといわれています。そのため、発売から約10年間は苦しい時期が続きました。

■「食べ方」提案で認知度向上

転機は1967年にやってきました。起死回生を図って名古屋地域で開始したTVCMでは、商品自体の宣伝だけではなく、「奥さま、今晩のおかずにシーチキンはいかが」というキャッチフレーズを使用。洋風な食べ方の提案をするように工夫したのです。一般家庭で「野菜サラダ」が人気になれば、ツナサラダなどの食べ方のメニューを提案。このような「メニュー提案の販売手法」は、今もはごろもフーズに受け継がれています。

■現在では年間「約3億ケース」を出荷

提案型のCM効果は即座に表れ、1967年の出荷数は3万ケース、翌年は10万ケースに急増。1973年の全国放映によって、ついには翌年に100万ケースを超えました。1971年のニクソン・ショックで輸出産業全体が打撃を受けるなか、国内転換を済ませていた同社は苦境を見事に乗り切りました。1981年にはキハダマグロを原料とした「シーチキン・L」とカツオを使った「シーチキン・マイルド」を発売して、定番ラインアップが充実。現在「シーチキン」ブランドの出荷数は年間約3億ケース、商品数は27種類にのぼります。

■国内ツナ缶市場で約50%のトップシェア

「シーチキン」が売上を伸ばした原動力は、広告効果だけでなく「徹底した品質へのこだわり」です。原材料の解凍・蒸し後に行う血合いや骨などの除去は、機械ではなく人の手作業によるもの。個体差がある魚の細かな部位の取り除きには、人の目と手によるチェックが必須です。こうして、白くきれいな肉質をキープしているのですね!

■味だけでなく、利便性も追求

消費者の使いやすさを追求し、1982年には業界に先駆けて、それまでの缶切りを使って蓋を開けるタイプから、缶切り不要のプルタブ式イージーオープン缶を採用しました。さらに2013年には、高齢者や爪の長い女性でも無理なく開けられるシールタイプのふた「やさし〜る」を発売。時代ごとの簡便性ニーズに応えながら進化を続けています。

■「魚の種類」で味が変わるって知ってた?

「シーチキンって種類がたくさんあるけど、違いがわからない」人は多いのでは? 実は、使われている魚の種類によって、味わいが違うんですよ。

最高級 びんながまぐろ
ホワイトミートと呼ばれる、白くてやわらかく上品な身が特徴。おもてなしやギフトにも重宝される「シーチキンファンシー」「シーチキンフレーク」「シーチキン とろ」などに使われます。

定番「きはだまぐろ」
まぐろ類の中では体長が長いまぐろです。体が黄色みを帯びており、「黄色い肌」から「きはだ」と呼ばれています。やわらかな食感で旨みがあり、しっかりとした味が楽しめます。「シーチキンL」シリーズの主役です。

強い旨味の「かつお」
肉質は赤身で柔らかく、マグロよりも血流が豊富で、濃厚なコクと旨味があるのが特徴です。「シーチキンマイルド」や「シーチキンコーン」ほか、缶詰原料として世界的に広く使われており、料理に深いコクを出したいときに最適です。

甘く濃厚な「ぶり」
ぶりは成長により名前が変わるため、出世魚と呼ばれています。脂に甘味があり、血合いが多く、濃厚な味わいです。「シーチキンEvery」に使われています。

***

今では当たり前のように料理に使われている「シーチキン」ですが、昭和初期に日本で初めてつくられた「マグロ油漬缶詰」は、主に外貨獲得のための対米輸出品として扱われていました。戦中には軍需物資となり、一般家庭で「シーチキン」が普及し出したのは、戦後になってから。「日本でも食文化の洋風化が進む」という先見の明がなければ、今程メジャーな食べ物とはなっていなかったかもしれません。「シーチキンの日」には、数種類のタイプを揃えて、味の食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料: シーチキン(https://www.hagoromofoods.co.jp/seachicken/) はごろもフーズ「知る・楽しむ」(https://www.hagoromofoods.co.jp/knowledge/seachicken/) /はごろもフーズ「なぜ、5月25日はシーチキンの日?」(https://corp.hagoromofoods.co.jp/ja/news/news-442/main/0/link/20230524_Sharewith_442.pdf) /J-Net「『シーチキン』食の欧米化を見越した先見の明」(https://j-net21.smrj.go.jp/special/popularfoods/2014031901.html) :