【太陽のようなジュエラー“フレッド”の90年にわたる輝きの系譜】創業者の陽気で自由な精神を今に伝えるアーカイブの名品と新作ジュエリーが響き合う

今年、創業90周年を迎えた「フレッド」。ヘリテージの名作とディレクターへのインタビューから、創業者フレッド・サミュエルの自由な精神と創造性を読み解き、90年もの長きにわたり、人々を惹きつけてやまない、太陽のようなジュエラー“フレッド”の魅力と真価に迫ります。

セーリングの記憶を昇華した海への憧憬を宿すジュエリー

ネックレス_1,ブレスレット_1
『ヘリテージコレクション』のネックレス&ブレスレット[ゴールド×スティール、1979年](フレッド)※写真は、1962年のヨーロピアンフライングダッチマン選手権に出場する創業者の息子たち。FRED Heritage Archives (C)Private Collection

1970年代に制作された『ケープホーン セット』。ケープホーンとは南米最南端の岬の名。荒ぶる海で知られ、船乗りの間では冒険心の象徴とされてきた。その名を冠したジュエリーは、『フォース10』の系譜に連なる名作。ロープを想起させる意匠、ゴールドとスティールの対比に、セーリングの記憶を斬新なクリエイションに昇華させてきたメゾンの美意識が息づく。

ヘリテージの名作が創業から伝わる遊び心と自由な精神を現代へ

ネックレス_2,イヤリング_1,小物_1
上部のハートモチーフが上下にスライドし、開閉するネックレス[ゴールド×ダイヤモンド、1985年]・流星を意味する『メテオール コレクション』のブローチ(上)&イヤリング(左)[ゴールド×アコヤ真珠×ダイヤモンド、1997年]・『フレディズ コレクション』の画家のブローチ[ゴールド×マベパール×サファイア×ダイヤモンド×エナメル、1994年](フレッド)※写真は、1960年代に撮影されたパリ・ロワイヤル通りのブティック。創業者のフレッド・サミュエルは従来の高級宝飾店と差別化をはかるために、あえてヴァンドーム広場を選ばなかったという。 FRED Heritage Archives (C)Michel Cambazard

豊かな創造性が華開いた’80年代以降のクリエイション

「フレッド」のクリエイションは、1980年代から’90年代にかけて、より自由で大胆になり、ユニークな作品が数多く生み出された。創業者のフレッド・サミュエルが、かつて養殖真珠の事業に携わっていたことから、パールを用いたデザインが『ヘリテージコレクション』にも数多く存在する。

創業90周年と共に『フォース10』の60周年を祝す特別な新作が誕生!

ネックレス_3,ダイヤモンド_1
ヨットの帆と盾を思わせる「フレッド ヒーローカット ダイヤモンド(FRED Hero-cut Diamond)」は、メゾンが独自に開発したファンシーカット。透明度に秀でたダイヤモンドが選ばれ、36面のファセットが眩い輝きを放つ。上から/『フォース10 フレッド ヒーローカット』イヤリング[WG×ダイヤモンド計2.39ct]¥7,865,000~・ネックレス[WG×ダイヤモンド計1.25ct]¥3,454,000~・リング[WG×ダイヤモンド計1.67ct]¥5,698,000~(フレッド)

唯一無二のダイヤモンドがアイコンをさらなる高みへ

1966年に創業者の息子、アンリ・サミュエルのアイディアから生まれ、のちにメゾンのコレクションに加わった『フォース10』。その60周年を祝して誕生した新作には、いずれも「フレッド ヒーローカット ダイヤモンド」が燦然と煌めく。唯一無二の輝きがアイコニックなジュエリーに比類なき美しさをもたらし、その独創性と存在感をより強く、鮮烈に印象づける。

創業家3代目のアーティスティックディレクターが語る、90周年を迎えた「フレッド」が守り継ぐ伝統とクリエイションの未来

インタビュー_1
ヴァレリー・サミュエルさん
フレッド アーティスティックディレクター兼副社長
創業者フレッド・サミュエルの孫として生まれ育つ。パリ大学卒業後、いくつものラグジュアリーブランドで経験を重ねたのち、2017年より現職。

「フレッド」の礎であり続ける創業者の人生と哲学

2026年、創業90周年を迎えたパリのジュエラー「フレッド」が守り続けてきたアイデンティティと、次なる時代に向けて描くヴィジョンとは? それを語ってくれたのは、アーティスティックディレクター兼副社長のヴァレリー・サミュエルです。彼女は創業者フレッド・サミュエルの孫にあたり、幼少期から祖父のかたわらで宝石の真価と美学を学んできました。 

インタビュー_2
1919年、アルゼンチンの高級リゾート、マル・デル・プラタで撮影された幼少期のフレッド・サミュエル。すでに洒脱なセンスが漂っている。

そんなヴァレリーが慈しむように語る祖父の面影は、驚くほど今も鮮明です。「彼は豊かな個性をもち、なにより人間愛に満ちた人でした。誰からも愛され、敬意と親しみを込めて『ムッシュ・フレッド』とファーストネームで呼ばれていたのです」 

インタビュー_3
パリで1925年頃に撮影されたフレッドの若き日のポートレート。洗練されたタキシードの着こなしが印象的。

弱冠28歳でメゾンを構え、自らの名刺に「モダン ジュエラー クリエイター」と刻んだ先見の明。ブティックの顧客からホテルのコンシェルジュまで、出会う人々すべてを惹きつける温かな人柄こそが、メゾンの礎となりました。彼女にとって祖父は、宝石の知識だけでなく、人生をいかに豊かなものにするかという哲学を授けてくれた、かけがえのない師でもあります。 

インタビュー_4
1976年、モナコのブティックのオープニングにて、モナコ公妃グレース・ケリーと談笑するフレッド。

その記憶は、現在の仕事を続けるうえで確かな力となり、自らのなかに息づいていると明かすヴァレリー。彼女は、「ムッシュ・フレッドが今ここにいたら、どうするだろうか。そう自問自答しながら制作に向き合う」と語ります。彼女にとってアーカイブをひもとくことは、単なる懐古ではありません。それは創業者と対話し、その創作のエッセンスを「今」という時代にいかにして転生させるかという挑戦なのです。

インタビュー_5,ダイヤモンド_2
1977年に発見され、2021年に奇跡的にメゾンに戻った、100カラットを超えるイエローダイヤモンド『ソレイユ ドール』。
インタビュー_6,ダイヤモンド_3
1960年、ネパール王室からのオーダーでメゾンが制作した、ダイヤモンドとエメラルドのティアラ。

メゾンが理想とする女性の日常に寄り添う輝き

「フレッド」が90年にわたり守り続けてきたもの。それは、ジュエリーを「人生の歓びを謳歌するためのパートナー」と考える稀有な視点です。創業者は特別な場だけでなく、女性の日常のあらゆる瞬間に光を添えるジュエラーでありたいと願ってきました。その考えはトランスフォーマブルな設計や、昼から夜へとシームレスに変化するデザインに映し出されています。

インタビュー_7
F フレッド・サミュエル(中)、アンリ(左)、ヴァレリー(右)。創業家三代のつながりを伝える1995年の一枚。  

その一方で、「大胆さはサミュエル家の血筋」と微笑むヴァレリーは、革新的な試みで宝飾界の概念を覆してきました。ヨットの帆に着想を得た独自の「フレッド ヒーローカット ダイヤモンド」や、オパールに他の貴石を重ねるダブレット石「オパラジュール」への挑戦など、自由な感性で新たな美を追求する姿勢にこそ、メゾンに連綿と流れる創造性が息づいています。90周年、そして『フォース10』誕生60周年という祝祭の先に、ヴァレリーが見据える未来。それは、時代にしなやかに寄り添い、ジュエリーを纏う歓びを更新し続けること。その確かな意志こそが、メゾンを次なる時代へと導く、揺るぎない指針となるのです。

※文中の表記は、WG=ホワイトゴールドを表します。

問い合わせ先

フレッド カスタマーサービス

TEL:03-5635-7040

PHOTO :
小池紀行(CASK)
EDIT&WRITING :
福田詞子(英国宝石学協会 FGA)