【目次】

「真珠記念日」とは? 意味・由来・いつなのかを解説

■7月11日は「真珠記念日」

世界的に「MIKIMOTO」の名前で知られる株式会社ミキモトの創業者、御木本幸吉・うめ夫妻が、世界で初めて真珠の養殖に成功したのが1893(明治26)年の7月11日。それにちなみ、同日を「真珠記念日」としています。御木本氏の願いは「世界中の女性を真珠で飾りたい」というものだったとか。特定の機関などに認定されたものではなく、この偉大な功績を後世に語り継ぐため、自然発生的に定着した記念日のようです。


【真珠養殖の父・御木本幸吉とは? 世界初の養殖真珠成功まで】

■うどん屋の長男、10代で商才を発揮

現在の三重県鳥羽市で、代々うどんの製造・販売を営む「阿波幸」の長男として、江戸末期の1858(安政5)年に誕生。10代半ばで、家業の傍らに青物の行商を始めます。そして地租改正により米納から金納に納税制度が変わったのを機に、これからは米が商売になると読み、青物の行商や米穀商など、さまざまな商売を経験し、若くして商才を発揮しました。

■東京・横浜への旅が真珠の道へ

家督を継いだ1878(明治11)年、東京や横浜へ出かけた際に、志摩の特産物である天然真珠などが対外貿易の商品として価値があると確信。米穀商から海産物商人へと再度転身します。真珠だけでなく、さまざまな海産物を扱う一方、志摩物産品評会などに参加して産業振興に尽力、地元の名士になっていきます。

■貝の養殖から真珠の養殖に転換

天然真珠が高値で取引されていた1888(明治21)年、志摩ではアコヤ貝の乱獲が深刻化していました。危機感を抱いた幸吉は、私財を投げ打ってアコヤ貝の養殖をスタート。しかし、真珠を生まない限り商売にならないと悟り、貝の養殖から真珠の養殖に方向転換。こうした発想の転換や実行力が、幸吉の一番の才能だったのかもしれません。

■世界初!「半円真珠」の成功

実験を始めて数年経ち、やっと成果が出始めた矢先の1892(明治25)年、伊勢湾を大規模な赤潮が襲い、養殖していたアコヤ貝がほぼ全滅。その被害を免れたわずかな貝を調べていた幸吉と妻のうめは翌年の7月11日、貝殻の内側に「半円形の真珠」が付着しているのを発見します。これが、世界で初めて人間の手が真珠を生み出した歴史的瞬間。現在の「真珠記念日」です。

■世界中の女性を真珠で美しく飾る

天然真珠は1000個の貝の中に、ひとつあるかないかの大変希少で高価なもの。幸吉は、世界中の誰もが愛する真珠を自分の手でつくり出そうと決意。そして1893年、世界で初めて半円真珠の養殖に成功したのです。その後、真円真珠の養殖だけではなく、黒蝶真珠や白蝶真珠の養殖にも取り組みました。


【真珠はどうやってできる? 天然真珠と養殖真珠の違い】

■真珠ができる仕組み

真珠は、貝の外套膜の組織内に微小な刺激物などが入り込み、その周囲に真珠層が形成されることで生まれます。外套膜の細胞によってつくられた真珠袋から、炭酸カルシウムを主成分とする真珠層が分泌され、層を重ねることで真珠特有の光沢が生まれます。

■天然真珠とは?

天然真珠は、寄生虫や破片などが偶然入り込んで育ったもの。中心の異物はごくわずかで、中身のほぼ全てが真珠層でできていて、形は大半のものが歪んでいます。

■養殖真珠とは?

養殖真珠は、人の手で貝の体内に核や外套膜の切片を入れ、その後は貝の生命活動によって真珠層を形成させたものです。アコヤ真珠などでは球形の核と外套膜片を挿入する方法が一般的ですが、淡水養殖真珠には核を使わず、外套膜片だけを挿入して育てるものもあります。


【真珠の種類一覧|アコヤ真珠・白蝶真珠・黒蝶真珠・淡水真珠の特徴】

真珠には、母貝となる貝の違いや、養殖方法によって分類されます。代表的なものの特徴を解説します。

■アコヤ真珠

アコヤガイを母貝として養殖された真珠。形が真円に近いもののほか、セミラウンドやバロック(不規則な形のもの)などもあります。GIA(Gemological Institute of America/米国宝石学会)は、アコヤ養殖真珠を主要な養殖真珠の一種として分類しています。正円に近いものが上等とされ、8mm以上の大珠は非常に高価です。

■白蝶真珠

オーストラリアやインドネシアのほか、ミャンマー(ビルマ)やフィリピン、ボルネオ近海といった南洋で産出され、粒が大きく真円で10mmから15mmくらいまでのものも。最近は日本でも国産品をしのぐ需要があります。

■黒蝶真珠

主にフランス領ポリネシア周辺で養殖され、黒だけでなく、グレー、ブラウン、ブルー、グリーン、紫など幅広い色調もつのが特徴です。「黒真珠(ブラック・パール)」とも呼ばれ、欧米では、とくにブルー系とシルバー系の黒蝶真珠が人気が高いそうです。

■淡水真珠

海ではなく、湖や川などの淡水に生息する貝から採れる真珠のこと。フラットな米粒状、棒状、クロス、ドラゴンなどさまざまな形になります。色は、オレンジの濃淡やライラック系、ワイン系など多彩。アコヤ貝など海で採れる海水真珠と比べると見た目や特徴に面白い違いがたくさんあります。

■真珠に似せてつくられた模造真珠

通称「貝パール」と呼ばれ、ベル・エポック時代の真珠の大流行期に普及。アール・ヌーボー様式の装身具にふんだんに使われました。ほかの真珠に比べて光沢は劣りますが、安価で扱いが楽なことから気軽に用いられます。


【真珠は6月の誕生石? 石言葉や冠婚葬祭で選ばれる理由】

■なぜ6月の誕生石に?

ローマ神話で結婚や女性の権利を守る女神「ジュノー(Juno)」が6月(June)の語源。そこから「6月に結婚する花嫁は幸せになる」というヨーロッパの伝承が生まれ、その女神や花嫁の美しさを象徴するにふさわしい宝石として、真珠が選ばれました。きらめきやみずみずしさも、この季節にピッタリですね。

■幸せの象徴・真珠の石言葉

真珠には一般に「健康」「長寿」「純潔」「円満」などの石言葉があると紹介されています。「真珠は母貝がその体内で痛みに耐え、長い時間をかけて育んででき上がる」といわれることから、困難を乗り越える強い生命力の象徴とされてきました。また、切れ目のない丸い形から「家族の絆」や「夫婦円満」を願うお守りとしても愛されています。

■冠婚葬祭に用いられるわけ

真珠は、華美になりすぎない上品な光沢をもち、フォーマルな装いに合わせやすいことから、結婚式や式典、弔事など幅広い場面で用いられています。弔事では一般に、白やグレー、黒系の一連の真珠ネックレスや、一粒タイプのイヤリングなど、控えめなデザインが選ばれます。ただし、地域や宗派、式の格式によって装いの慣習が異なるため、真珠の着用が必須というわけではありません。

また、パールはその神秘的な輝きから、「人魚の涙」や「月の雫」と呼ばれ、多くのロマンティックな伝説が残されています。多くの人に葬儀で身に着けてもよい唯一の宝石と認識されているのも、そんなパールに込められた「涙」や「悲しみを添える」という意味からという説もあります。きっかけは、ドレスアップすることが礼儀とされていたイギリスで、エリザベス女王が国葬で悲しみを表す宝石としてパールを身に着けたこととか。イギリスの上流階級の女性たちがそれに倣ったことで、当時西洋化が進んでいた日本でも定着したといわれています。


【真珠のお手入れ方法|長く美しく保つための保管・お手入れのコツ】

パールはデリケートで、汗や酸、化粧品などの影響を受けやすく、表面にも傷がつきやすい、デリケートな宝石です。適切なお手入れや保管方法に注意して、長くその美しさを愛でたいものです。

■正しい保管方法

保管は、熱や湿気が気になる場所や、直接紫外線が当たるような場所は避けるよう心がけること。表面が柔らかく傷がつきやすいため、ほかのジュエリーとは分けておくことも大切です。

■お手入れ

汗や皮脂が付着したままにしておくと、光沢がなくなり変色の原因になると言われています。使用時にはメイクやヘアセット、着替えが終わってから身に着け、外したあとはやわらかな布でほこりなどを優しく拭き取りましょう。

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やわらかく上品な輝きをもつ真珠。正円のネックレスなどはフォーマルが強すぎる…という人は、バロックパールがおすすめです。ポルトガル語で「不規則な形の真珠」を表す言葉に由来するとされるように、いびつな形が魅力。ぐんとカジュアルに着けられますよ。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『NHK 美の壺 真珠』(NHK出版)/株式会社ミキモト( https://www.mikimoto.com/jp_jp/ )/PLATINUM( https://www.preciousplatinum.jp/ ) :