自ら“中途半端な旅人”と称して国内外を歩いた彼女が語る、60年生きてきた現在のこと、そして未来のこと——「鈴木保奈美」という、瑞々しい生き方

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シルクニット ¥55,000(ジョゼフジャパン)、ピアス ¥2,164,800/予定価格(ブシュロン)

その力強くも澄んだ瞳は、どこか遠くに必ずやある理想郷を見据えているかのよう。メモリアルな年を迎え、自分の現在地をどう考えているのか、今の心模様をうかがいます。

「年齢を意識することはあまりなくて、『今』に全集中して生きてきました」──Honami Suzuki

この日の天気は薄曇り。柔らかな光がスタジオに降り注ぐなか、気まぐれにすっと陽が差したり陰ったり。保奈美さんはそのどこか “中途半端” な、でも美しく揺らぐ日差しを楽しんでいる様子。ときに目力強く、ときに弾けるような笑顔で、カメラと向き合う姿が印象的です。今年は俳優活動をスタートしてから40年。さらに還暦を迎えるというメモリアルな年でもありました。

「これは性質なのかどうなのか、今まであまり年齢を意識したことがないんです。『もう○歳だから』とは思わないし、『まだ○歳だし』というのもない。いや、60という数字に驚いてないわけではないですよ。『そりゃ体力が回復しないわけだ』とか『記憶だって曖昧になるもんね』など、わが事として感じることはたくさんあります(笑)。ただそれを来し方を振り返って集大成の年にしようとか、未来に向けて第2の人生のスタートを切ろうとか、そういう時間軸でとらえることがあまりない、かな。まさに今日の今、何がしたいのか、何をするべきか、そこに焦点を当てているという感じです」 

デビュー後は代表作にも恵まれ、絶頂期のなか、結婚出産のタイミングで休業。子育てに専念したのち、自分らしいペースで復帰を果たします。その後 “ものかき” という才能を開花させたり、読書好きを生かしてMCに挑戦したりも。主軸となる俳優業では、50代に入ってから舞台に挑むなど、各方面に活躍の場を広げている最中。保奈美さんが輝き続けているのは年齢という数字に縛られることなく、自分の欲望に素直に向き合い、かつ覚悟をもって歩みを進めてきたから。その姿に見惚れてしまうのかもしれません。

「何かを極めるより、“中途半端”でもフットワーク軽く動ける自分でいたい」──Honami Suzuki

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リーダーは力むことなく、へらへらと機嫌よくいるのがいい

「単純に『これいいな』『なんか楽しそう』と感じたら『そこに入れてください』とお願いしたくなる性分なんです。舞台に関しては、舞台俳優さんにお話を聞いて観に行ったりするうち、むくむくと好奇心が湧いてきて。でもどうやったら出られるのかすらわからないから、周囲の人々に聞いて回ったりも。そこから少しずつお声がけをいただいて一歩一歩。ここまで10年はかかってますよね」 

舞台の醍醐味は「みんなで試行錯誤しながら練り上げる時間」。1か月ほどの稽古期間中、ゼロから構築したものを壊したり、違う材料で立て直したり。そうやって「こねくり回す時間」がとにかく楽しくて、心底勉強になるのだそう。

「カンパニーとして関係性が密になるのもいいですよね。先日『あの俳優さんって変わってるよね』って “変人トーク” をしていたとき『あたしなんてフツー。つまんない人間』って言ったら『え? 十分にヘンですよ。自覚ないんですか?』って年下女子からのツッコミが(笑)。それがすごくうれしかったんですよね」 

座長を務める作品ではムードメーカーの役割を求められることも。場の空気を和やかにまとめ上げる姿が想像できます。

「そういうの、実は全然得意じゃないからもう必死です(笑)。ただチームをまとめ上げようとリーダーが力むより、まずは元気でいること。『えへへ』ってへらへらと機嫌よくいること。それが私の役割なのかなと感じていました」 

「だから今やるべきは、表現の引き出しを増やすこと」──Honami Suzuki

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10年後の姿について問うと「まったく予想がつかなくて」と笑います。

「なりたい姿を決めてしまうと、逆に可能性を狭めてしまう気がして。それよりは表現の引き出しをもっと増やして、新しいこと、おもしろいことを考える人たちに声をかけられたとき『はい! スズキ行きます!』って即答できる自分でいたい。何かひとつを極めるより “中途半端” でもフットワーク軽く動くこと。それが私の現在地なんだと思います」


観て、感じて、旅をする…「Precious」連載中のフォトエッセイが単行本に!『中途半端な旅人は語る』 鈴木保奈美 著

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『中途半端な旅人は語る』 鈴木保奈美 著 ¥2,420(小学館)

旅をテーマに執筆、撮影を行ってきた連載「Carnet de petite voyageuse 中途半端な旅人は語る」。その20回分を一冊にまとめたフォトエッセイが好評発売中。新たな書き下ろしコラムもあり、本誌未掲載のカットも大充実。帯コメントはプライベートで親交のある小説家・原田マハさん。同時期発売の『わたし、そんなにとんがってましたかね。 獅子座、A型、丙午はめぐる』(中央公論新社)も併せて読めば、保奈美さんを身近に感じられるはず。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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PHOTO :
浅井佳代子
STYLIST :
犬走比佐乃
HAIR MAKE :
福沢京子
MODEL :
鈴木保奈美
EDIT&WRITING :
本庄真穂、喜多容子(Precious)