日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。10月は、九州の観光を応援する「九州ふっこう応援割」を利用して訪れたい温泉宿をピックアップ。お得に旅を楽しみながら、九州各地の魅力を再発見してみませんか? 今回ご紹介するのは、熊本県・内牧温泉にある「親和苑」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の4000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

湯巡り気分を味わいながら肌にしっとりなじむ名湯を享受

外観。
外観。

阿蘇カルデラの内側、のどかな田園風景のなかに位置する内牧温泉。阿蘇温泉郷のなかで最大規模を誇り、今年開湯130年を迎えた歴史ある温泉地です。明治時代には夏目漱石もこの地を訪れ、阿蘇旅行の体験をもとにした小説『二百十日』には、内牧温泉を舞台にした場面も描かれました。

そんな由緒ある温泉地に佇む「親和苑」は、約1200坪もの敷地を有する湯宿。源泉かけ流しの湯に浸かり、バレルサウナで汗を流し、阿蘇の食材を生かした料理を味わうなど、豊かな自然のなかで心ほどけるひとときを過ごせます。

岩風呂
岩風呂。
切石の露天風呂
切石の露天風呂。

湯処は、男女入れ替え制の露天風呂2つと、貸切で利用できる内湯2つの4種類。露天風呂のひとつは、ゴツゴツとした大きな自然石を豪快に配した岩風呂です。雑木林に囲まれた開放感のある造りで、木々の緑を眺めながら、まるで野天風呂のような野趣あふれる湯浴みを満喫できます。

そして、もうひとつの切石風呂は、岩を美しく切り出した端正な石造り。屋根付きの落ち着いた空間で、木々に囲まれながら静かに名湯に身を委ねられます。

貸切風呂「壱の湯」
貸切風呂「壱の湯」
貸切風呂「弐の湯」
貸切風呂「弐の湯」
客室露天風呂
離れの客室には専用の露天風呂を完備。

貸切風呂「壱之湯」は昔ながらの町湯を思わせる石造りの内湯、「弐之湯」は切石造りの内湯。それぞれ異なる趣で、周囲を気にせず湯浴みでき、同行者と語らいながら入るのはもちろん、ひとりで静かに温泉と向き合うのにも好適です。

露天風呂に向かう小道
露天風呂に向かう小道。

「こちらの泉質は、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-硫酸塩温泉。天然の保湿成分をサポートするメタケイ酸も豊富で、肌にしっとりとなじむような心地よさが感じられます。露天風呂は木々に囲まれた小道を抜けた先にあり、湯船に浸かる前から四季折々の風情を感じられるのも魅力。4つの浴槽それぞれに趣が異なり、湯巡り気分を味わいながら“美人の湯”を堪能できるのが格別です」(植竹さん)

サウナ
サウナ。

約1200坪の広大な敷地には、温泉以外にも湯上がりの時間を楽しめるスポットが点在。露天風呂のそばには薪ストーブを使ったフィンランド式のバレルサウナがあり、サウナ後には阿蘇の地下水を使った水風呂でクールダウンできます。

ライブラリー
ライブラリー。
中庭のテラス
中庭のテラス。
看板猫
看板猫。

館内には、読書をしながら静かな時間を過ごせるライブラリースペースも設置。温泉の余韻に浸りながら気になる一冊を手に取れば、日常の喧騒を離れた穏やかなひとときが流れます。また、夜のとばりが下りた中庭テラスでは焼きマシュマロのサービスも。星空の下、揺らめく炎をぼんやりと眺めるのは、旅先ならではの贅沢です。

さらに、宿の隠れた人気スポットとなっているのが保護猫ハウス。宿の主人が保護した3匹の猫が暮らしており、人懐っこいニャンコたちとのふれあいも、「親和苑」を訪れる楽しみのひとつです。

阿蘇の恵みや自家栽培の米・野菜が織りなす一期一会の創作料理

夕食一例
夕食一例。
夕食一例
夕食一例。

「親和苑」は、美食を目的に訪れたくなる御料理旅館としての側面も。阿蘇の旬の食材をはじめ、自家栽培の米や野菜なども取り入れ、素材の持ち味を生かした創作料理に仕立てています。

なかでも主役の一品として味わいたいのが、阿蘇の「あか牛」を使ったローストビーフ。火入れや温度管理にこだわり、しっとりと柔らかな食感に仕立てられた逸品で、肉を噛みしめると、あか牛ならではの赤身のうまみが口いっぱいに広がります。

10月以降に旬を迎える自家栽培の里芋も、宿のイチ押し。蒸した里芋を軽くつぶして素揚げするというシンプルな調理で、ねっとりとした食感と素材本来の味わいを引き出しています。ほかにも馬刺しなど、阿蘇ならではの食材を取り入れた料理が並びます。

朝食
朝食

朝食は、小さな器にさまざまなおかずが並ぶスタイル。炊きたてのごはんに味噌汁、自家製の漬物やざる豆腐、だし巻き卵、自家製ヨーグルトなど、手作りにこだわり、一品一品丁寧に仕立てられた朝食を味わいながら、ゆったりと一日の始まりを迎えられます。 


以上、「親和苑」をご紹介しました。歴史ある内牧温泉で、肌によくなじむ源泉かけ流しの湯や阿蘇の地下水を使ったサウナを楽しみ、阿蘇の旬の食材を生かした里山創作料理を味わいたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 親和苑
  • 住所/ 熊本県阿蘇市内牧1354
    客室数/全12室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥19,600~(税込)、露天風呂付き客室の場合、¥28,100~(税込)
  • TEL:0967-32-0330

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)