【目次】

【「香りの記念日」はなぜ生まれた?石川県七尾市とのつながり】

■「香りの記念日」とは

1992(平成4)年、第7回国民文化祭「世界の香りフェアIN能登」を開催した石川県七尾市が翌年に制定。

城下町だった七尾の遺跡からは、茶碗などとともに香炉が見つかっています。古くから香りを楽しむ文化があった七尾市は、香りの文化を提唱する街として香り関連グッズの全国コンクールや、香りを活かした商品の開発などを行っています。

■なぜ10月30日?

七尾市で国民文化祭初の“香りイベント”が開催された10月30日にちなみます。

国民文化祭は、全国各地で文化活動に親しんでいる個人や団体が集い、成果の発表や共演・交流を行う日本最大級の文化の祭典。スポーツにおける「国民スポーツ大会(旧・国体)」の文化版として、「文化の国スポ」とも称されます。文化庁や開催地の自治体、文化団体などが共催していて、2026(令和8)年は、高知県で12月6日まで開催。全国障害者芸術・文化祭と一体となった「よさこい高知文化祭2026」として実施されています。


【「香り」「薫り」「匂い」「臭い」の意味と使い分け】

花や果物、食品、香水などのよいにおいを表す「香り」。同じ読みの「薫り」や、「匂い」「臭い」とは、どのように使い分けるのでしょうか

■一般的には「香り」

よいにおいのこと。「花の香り」「コーヒーの香り」など、身近なものに幅広く使います。また、具体的な「においのもと」があるものだけでなく、「芸術の香り」のように、ものごとから感じられる雰囲気を表す場合にも用います。 

■空間に広がる余韻や文学的表現では「薫り」

「薫り」は一般的な「香り」と同じく、よいにおいを意味しますが、「薫り」は特に“風に乗ってふわりと漂う心地よさ”を含んでいるのが特徴です。「薫」という漢字には、風に乗って広がるニュアンスに加え、燻製(薫製)のように「深く染み入る」という意味もあります。そのため、その場に満ちている匂いだけでなく、目に見えない雰囲気や文化といった抽象的な魅力を伝える際にも最適です。

常用漢字ではないため公の文章では「香り」に統一されますが、小説などの文学的・情緒的な表現では今も深く愛されている表記です。

■「匂い」と「臭い」の違い

一般的によいにおいには「匂い」を、悪いにおいには「臭い」が使われますが、においのよし悪し自体は主観的な感覚であるため使い分けは曖昧です。

また、「におい」は、嗅覚で感じるものを広く表す言葉です。よし悪しを示さずに述べたいときは、ひらがなで「におい」と書くとよいでしょう。


【「芳香」「微香」「残り香」。香りの印象を伝える語彙】

香りを表したり、その印象を伝える日本語はたくさんありますね。一部をご紹介しましょう。

■芳香(ほうこう)

かぐわしい香りのこと。

■芳醇(ほうじゅん)

香りが高く味がよいこと。主にワインや日本酒、熟成した果実、コーヒーなど、豊かで奥深い強い香りを表す際に使われます。

■濃香(のうこう )

濃厚な香りのこと。強い芳香を放つ花(ジャスミンやキンモクセイなど)や香水などに対して使われます。

■微香(びこう)

ごくわずかな控えめな香りを指します。「微香性」などの表現でおなじみの言葉ですね。

■幽香(ゆうこう)

奥ゆかしい香りのこと。かすかに漂う上品な香り。どこからかふっと漂ってくるような、控えめで風雅な香りを指します。

■残り香(のこりが)

人が立ち去ったあとに残るにおい。これも美しい日本語ですね。


【「馥郁」「芳しい」はどう読む?香りにまつわる美しい日本語】

■「馥郁」の読み方と意味

よい香りがいっぱいに漂っているさまを「馥郁(ふくいく)」といいます。気品があり、空間全体をうっとりと包み込むような奥深く豊かな香りに対して使われます。「馥馥(ふくふく)」と表現することも。

「馥(ふく)」という語には、香りが部屋や空間に満ち、深く香るという意味が。「郁(いく)」には、香気が盛んに立ちのぼるという意味があります。「馥郁」と同じ意味をもつ漢字を重ね、香りが濃密に満ちている様子を強調します。

■「芳しい」はどう読む?

「芳しい」の読み方は主にふたつあります。

現代では一般的に「かんばしい」と読み、「芳しい花の香り」のようによい香りがすることを示します。また、「芳しくない成績」や「評判が芳しくない」のように、好ましい状況や立派であるさまを主に打ち消す表現としても使用されます。

一方、文学的で風雅な表現の際には「かぐわしい」と読ませます。日常的にはあまり使いませんが、古風な文語的な響きをもつ、美しい読み方ですね。

■「芳ばしい」だと…

こちらは「こうばしい」と読みます。送り仮名によって読み方や意味が異なる語をもつのも、日本語の難しいところですが、豊かな表現の言語だともいえます。

「こうばしい」は、ナッツの香りや挽きたてのコーヒー豆や淹れたてのコーヒーの香り、お茶の香り、トーストの香りなど、熱を加えたときの香ばしい匂いを指します。同じ意味で「香ばしい」とも表します。

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香りを表す言葉を知ると、花や食べ物から受けた印象も、より細やかに伝えられます。「香りの記念日」には、挨拶や結び文に香りにまつわる美しい日本を使って、季節のお便りを書いてみませんか?

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)/文化庁( https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/chiiki/kokubunsai/ ) :