【目次】
- 「書道の日」と「習字の日」が同じ日なのはなぜ?
- 「書道」「習字」「書写」「ペン習字」の違いを整理
- 「楷書」「行書」「草書」を見分けるポイント
- 「臨書」「落款」「筆耕」…読めても説明しにくい書の用語
- 「達筆」と「能筆」、「悪筆」と「癖字」はどう使い分ける?
【「書道の日」と「習字の日」が同じ日なのはなぜ?】
■「書道の日」「習字の日」はいつ?「由来」は?
「書道の日」と「習字の日」は、どちらも11月2日です。日付の由来は、11と02を「いい文字」と読む語呂合わせ。いずれも、公益財団法人日本習字教育財団が制定し、一般社団法人日本記念日協会に登録された記念日です。
■「書道の日」「習字の日」が同じ日なのはなぜ?
ふたつの記念日が同じ日なのは、日本習字教育財団が創立60周年記念事業として、11月2日を「書道の日」「習字の日」の両方に定めたためです。
日本習字教育財団は、「正しい美しい愛の習字」を基本理念に、習字や書道の教育・文化の普及、振興に取り組んでいます。「書道の日」「習字の日」には、多くの人に文字を書くことに親しんでもらい、手書き文字の大切さを伝えたいという願いが込められています。
実は、両記念日には日付が変更されたという経緯もあります。日本記念日協会の登録情報によると、2013(平成25)年3月までは、11月2日ではなく9月1日が記念日でした。その後、「いい文字」の語呂合わせにちなんだ現在の日付になったのです。パソコンやスマートフォンで文字を入力する機会が増えた今、手書きの文字に改めて目を向けるきっかけになりそうですね。
【「書道」「習字」「書写」「ペン習字」の違いを整理】
■「書道」と「習字」の違いは?
「書道」と「習字」は、どちらも文字を書くことに関わる言葉ですが、重視する点に違いがあります。
「書道」
・文字を書くことを通して、その美しさや表現を追求する芸術。
・文字の形や線の強弱、筆の運び、全体の構成などを通して、書き手の個性や感性を表現。
「習字」
・文字の書き方を習い、正しく整った文字を書くための練習を意味。
・お手本を見ながら、字形や筆順、文字の配置などを学ぶのが基本。
大まかに言えば「書道」は文字による芸術表現、「習字」は文字を上手に書くための学習、と捉えると違いがわかりやすいでしょう。ただし、書道でも文字の基本を学ぶため、両者が明確に分かれるというわけではありません。
■「書写」と「習字」はどう違う?
「書写」は、文字を書き写すこと、また、文字を正しく整えて書くことを意味します。学校教育では、小学校・中学校の国語科で「書写」を学びます。文字の形や大きさ、筆順、文字同士の配置などを意識し、日常生活でも読みやすい文字を書けるようにすることが目的です。
「習字」が文字を書く練習を広く表すのに対し、「書写」は学校教育で使われる名称としてもおなじみです。
■「ペン習字」とは? 「硬筆」「毛筆」の違いも
「ペン習字」は、ペンを使って文字を美しく書くための練習です。手紙や宛名書き、署名など、日常生活に役立つ実用的な文字を学ぶことができます。
ここで知っておきたいのが、「硬筆」と「毛筆」という言葉です。「硬筆」はペンや鉛筆など、先端の硬い筆記具のこと。そして「毛筆」は、毛でつくられた筆のこと。使って書くこと。ペン習字は硬筆による習字の一種。筆を使う習字は毛筆によるものです。使う道具は違っても、整った読みやすい文字を書くことを目指す点は共通しています。
【「楷書」「行書」「草書」を見分けるポイント】
■「楷書(かいしょ)」とは?
「楷書」は、一画一画をはっきりと書く、整った書体です。点や線を省略せず、文字の形を明確に表すのが特徴。現在、私たちが日常的に目にする漢字の基本的な書体でもあります。小学校で漢字を習う際、まず学ぶのも楷書です。文字の骨格がわかりやすく、読みやすいため、手書きの文章から印刷物まで、幅広く使われています。
■「行書(ぎょうしょ)」とは?
「行書」は、楷書をやや崩し、筆の運びを滑らかにした書体です。点画を続けて書いたり、一部を省略したりすることで、流れるような印象が生まれます。楷書よりも速く書きやすく、それでいて文字の形も比較的わかりやすいのが特徴。手紙や署名など、日常の筆記にも用いられます。
■「草書(そうしょ)」とは?
「草書」は、文字の点画を大きく省略したり、連続させたりして書く書体です。筆の動きに合わせて線がつながり、文字全体が流れるような姿になります。省略の程度が大きいため、楷書や行書に慣れている人でも、草書をすぐに読み取れるとは限りません。書道作品などで目にする、曲線の美しい文字を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
■「楷書」「行書」「草書」はどう見分ける?
見分ける際のポイントは、点画の省略やつながり方です。楷書は一画一画が明確で、行書は部分的につながり、草書は大きく省略されて流れるように書かれます。
なお、漢字の書体には、この三つのほかに「篆書(てんしょ)」や「隷書(れいしょ)」もあります。篆書は印章などで見かける古い書体、隷書は、横に広がる字形や、波打つような払いなどが特徴の書体です。現在の楷書・行書・草書とは異なる趣があり、漢字の歴史を感じさせます。
【「臨書」「落款」「筆耕」…読めても説明しにくい書の用語】
■「臨書(りんしょ)」とは?
「臨書」とは、古人の優れた書をお手本にして、その筆遣いや文字のかたちなどを学びながら書くことです。書道の基本的な学習方法のひとつで、古典の名筆を手本にすることが多くあります。お手本の文字を写しながら、線の強弱や筆の運び、文字の配置などにも注意を払い、お手本の書きぶりを学ぶことが大切です。書道では、こうした臨書を通して表現の技術を身につけていきます。
■「落款(らっかん)」とは?
「落款」とは、書画の完成に際して、作者が署名したり、雅号などの印を押したりすること。また、その署名や印を指します。「落成款識(らくせいかんし)」を略した言葉です。書道作品の端に書かれた作者の名前や、朱色の印を見たことはありませんか? あれが落款です。作品の作者を示すとともに、画面全体の構成にも関わる要素となっています。
■「筆耕(ひっこう)」とは?
「筆耕」とは、文章や文字を筆写・清書して報酬を得ること、また、それをする人を指します。もともとは、筆で文字を書くことによって生計を立てるという意味をもつ言葉で、例えば、賞状の文字や招待状の宛名、式典の式次第などを、依頼を受けて手書きする仕事が筆耕にあたります。パソコンで文字を印刷できる時代でも、改まった場面では手書きの文字が求められることがあります。
■「揮毫(きごう)」とは?
「揮毫」とは、筆をふるって文字や絵を書くことです。「揮」はふるう、「毫」は筆を意味し、書画を書くことを表します。著名人や書家が色紙に言葉を書いたり、記念碑の文字をしたためたりする場面で、「揮毫する」という言葉が使われます。「先生に色紙への揮毫をお願いした」のように、改まった文章でも見かける表現です。
【「達筆」と「能筆」、「悪筆」と「癖字」はどう使い分ける?】
■「達筆(たっぴつ)」と「能筆(のうひつ)」。違いは?
「達筆」と「能筆」は、どちらも文字を書くのが上手なことを表す言葉です。ただし、使い方には少し違いがあります。
「達筆」
・文字を巧みに書くこと、また、その文字や筆跡を意味。
・「達筆な手紙」「達筆でいらっしゃいますね」など、書かれた文字を褒める際によく使われる。
「能筆」
・文字を書くことに優れていること、また、その人を指す。
・「能筆家」という言葉もあり、書の技量に優れた人物を表す場合に適する。
つまり、「達筆」は書かれた文字や筆跡を評価する際に、「能筆」は書き手の技量を評価する際に使いやすい言葉です。ただし、どちらも文字を書く技量や、巧みに書かれた文字を表すことがあり、意味が重なる部分もあります。
■「悪筆(あくひつ)」とは?
「悪筆」は、文字を書くのが下手なこと、また、下手な文字や筆跡を意味します。「悪筆で申し訳ありません」「昔から悪筆でして」など、自分の字について謙遜する場面でも使われます。ただし、「悪筆」は文字の下手さを直接的に表す言葉です。他人の文字について使うと失礼にあたることがあるため、注意しましょう。
■「癖字(くせじ)」とは?
「癖字」は、書き方に独特の癖がある文字を指します。例えば、文字の一部を極端に大きく書いたり、線の傾きやはね方に独自の特徴があったりする文字です。
「悪筆」が文字の上手・下手を評価する言葉なのに対し、「癖字」は文字の書き方の特徴に着目した言葉です。癖のある文字が必ずしも下手とは限らず、個性的な筆跡として受け止められることもあります。
■「拙筆(せっぴつ)」とは?
「拙筆」は、下手な文字や文章を意味する言葉です。自分の書いた文字や文章について、へりくだって述べる際にも使われます。「拙筆ながら」「拙筆をお許しください」などの表現がありますが、日常会話よりも、改まった文章や手紙で見かける言葉です。
「悪筆」が文字の下手さを表すのに対し、「拙筆」は文章についても使える点が違いです。
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文字を書くのが上手なことを「達筆」といいますが、少しくらい癖のある文字にも、その人ならではの味わいがあります。考えてみれば、手書きの文字は、世界にひとつしかない「自分だけの書体」のようなもの。同じ文章でも、パソコンで打った活字は誰が入力しても同じ印象ですが、手書きだと書く人の数だけ、違った印象になるような気がしませんか。
11月2日は「書道の日」「習字の日」。たまにはキーボードから手を離して、自分の文字と向き合ってみるのもよさそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社)/『国史大辞典』(吉川弘文館)/日本習字通信第1号「11月2日は習字の日」(https://www.nihon-syuji.com/_src/17000/日本習字通信第1号.pdf?utm_source=chatgpt.com)/観峰館「習字の日」(https://kampokan.com/event/2023/11/shuji-no-hi-2/?utm_source=chatgpt.com) /一般社団法人 日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp) :

















