薄型時計の先駆者といえるのはピアジェ。60年以上も前の1957年に厚さ2mm手巻きキャリバーを開発。以後、数々のエレガントかつ実用的な薄型時計を発表し、世界中のセレブリティが愛用することになる。

近年、この薄型の分野にハイコンプリケーションウォッチで挑んでいるのがブルガリだ。2014年にトゥールビヨン(手巻き)、2016年にミニッツリピーターの極薄モデルを発表し、世界新記録を更新し続けている。

それぞれ方向性は異なるが、世界中で高い人気を誇るジュエラーとしての顔も持つ両ブランドが、美しくエレガントな薄型時計を究め続けているのは、必然といえるのかもしれない。彼らの飽くなき探究心は、これからも時計好きを驚かせてくれることだろう。

世界中の時計ジャーナリストとバイヤーの耳目を集めた2018年の話題作

ピアジェ『アルティプラノ アルティメート・ オートマティック』

●自動巻き ●ピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/41mm ¥3,125,000(ピアジェ コンタクトセンター)
●自動巻き ●ピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/41mm ¥3,125,000(ピアジェ コンタクトセンター)

薄型モデルの代表といえば『アルティプラノ』。2014年に誕生し当時の世界最薄記録だった、手巻きムーブメント「900P」モデルが3年の研究期間を経て、ケース厚4.3mmの極薄自動巻きに進化。ピアジェらしいデザインはそのままに、パワーリザーブも約50時間とパワーアップされた。

ブルガリ『オクト フィニッシモ オートマティック トゥールビヨン』

●自動巻き ●チタンケース×チタンブレスレット ●ケース径/42mm ¥13,470,000(ブルガリ ジャパン)※世界限定50本
●自動巻き ●チタンケース×チタンブレスレット ●ケース径/42mm ¥13,470,000(ブルガリ ジャパン)※世界限定50本

毎年のように世界記録となる機械式時計を発表するブルガリ。今年は、世界最薄1.95mmの自動巻きトゥールビヨンムーブメントを厚さ3.95mmのケースに搭載した極薄モデルを発表。単に薄いだけでなく視認性が高く、実用性も確保。美しいデザインも大きな魅力だ。

A.ランゲ & ゾーネ『トリプルスプリット』

見やすく整理された文字盤は、この時計が驚異的な機構を持つことを想起させない。卓越した技術力だけでなく、こういったデザイン力も見事だ。●手巻き ●ホワイトゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/43.2mm 参考予価139,000ユーロドイツ国内VAT含む(A. ランゲ&ゾーネ)※9月以降発売予定
見やすく整理された文字盤は、この時計が驚異的な機構を持つことを想起させない。卓越した技術力だけでなく、こういったデザイン力も見事だ。●手巻き ●ホワイトゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/43.2mm 参考予価139,000ユーロドイツ国内VAT含む(A. ランゲ&ゾーネ)※9月以降発売予定

A.ランゲ&ゾーネは、世界で初めて時・分・秒まで正確に、最長12時間まで計測できる機械式ラトラパンテ・クロノグラフ、トリプルラトラパンテを開発し、実用化。驚くべきは膨大に増えたパーツを『ダブルスプリット』と同じ直径のケースに収納したこと。現在、これだけの技術力を持つのは世界でもこのブランドだけだろう。

ハリー・ウィンストン 『HW オーシャン・バイレトログラード パーペチュアルカレンダー オートマティック 42mm』

ハリー・ウィンストンは、ユニークな発想でたびたびインパクトを残してきた。●自動巻き ●18Kホワイトゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/42mm 予価¥6,450,000(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)※11月発売予定
ハリー・ウィンストンは、ユニークな発想でたびたびインパクトを残してきた。●自動巻き ●18Kホワイトゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/42mm 予価¥6,450,000(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)※11月発売予定

2013年からスウォッチグループに加わり、時計づくりがさらに本格化したハリー・ウィンストン。今年の新作では、複雑時計の最高峰ともいえるパーペチュアルカレンダーの新しい表現を提案。モダンなデザインとともに日付曜日表示をレトログラード式にするなど“見る”楽しさを加え、時計ブランドとしての実力を見せつけた。

ショパール『L.U.C クアトロ』

〝正しい〟素材の時計は、つける人間にも誇りを与える。●手巻き ●18Kローズゴールドケース×カーフレザーストラップ(ブラウンアリゲーターライニング) ●ケース径/43mm 予価¥2,950,000(ショパール ジャパンプレス)※世界限定50本、今冬発売予定
〝正しい〟素材の時計は、つける人間にも誇りを与える。●手巻き ●18Kローズゴールドケース×カーフレザーストラップ(ブラウンアリゲーターライニング) ●ケース径/43mm 予価¥2,950,000(ショパール ジャパンプレス)※世界限定50本、今冬発売予定

企業の社会的責任について語られることが多い昨今、時計ブランドもその例外ではない。ショパールは、今年のバーゼルフェアで7月までに、自社で生産するすべてのジュエリーと時計に100%責任ある供給元から調達されるゴールド(エシカルゴールド)を使用することを宣言。名門の勇気ある前進が業界に与える影響は大きい。

ヴァン クリーフ&アーペル『ミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール』

複雑さを誇ることなくデザインはもちろん針やカウンターの動きまで見せることにこだわっている。●自動巻き ●18Kピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/42mm 予価¥3,125,000(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)※7月以降発売予定
複雑さを誇ることなくデザインはもちろん針やカウンターの動きまで見せることにこだわっている。●自動巻き ●18Kピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/42mm 予価¥3,125,000(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)※7月以降発売予定

ジュエラーとして有名であるがゆえに見過ごされがちではあるが、ヴァン クリーフ&アーペルは毎年のように複雑時計を発表し、時計ファンの注目を集めている。今年の新作は、レトログラード式の分表示とジャンピングアワーでふたつの時間帯を表示。優美なデザインで実用性も高く、時計マーケットの台風の目になりそうだ。

以上、世界中の時計ジャーナリストとバイヤーの耳目を集めた2018年の話題作をまとめて紹介しました。小さなケースの中に凝縮された技術を知ることでより一層時計の価値観がわかることでしょう。

※2018年夏号掲載時の情報です。※価格は税抜です。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2018年 スイスの2大ウォッチフェア発・珠玉の新作を厳選!「男を語る」名品時計2018
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/武田正彦 文/川上康介 構成/岡村佳代