著名人が通ったバーとして、真っ先に名前があがる山の上ホテルの「バーノンノン」。訪れてみると、思いのほかの小ささに驚くことだろう。このスペースになごみ、グラスを傾けた作家は数知れない。山の上ホテルを定宿とし、晩年は著作だけでなく、趣味を兼ねた作画にいそしんでいた池波正太郎もそのひとりだ。
朝から晩まで山の上ホテルで過ごした池波正太郎
バーではいつもウイスキーを注文
毎朝、ロビーのライティングデスクに腰掛け、コーヒーを飲みながらスタッフと挨拶を交わし、夜はバーでビールやウイスキーをたしなんだ。
その著書『男の作法』(新潮文庫)には、「コップに三分の一くらい注いで、飲んじゃ入れ、飲んじゃ入れして飲むのが、ビールの本当にうまい飲み方なんですよ」と書かれている。「バーノンノン」でグラスを傾ける池波の姿は、そのように酒の美味さを熟知した飲み方だったのだろう。
名作と酒、その密なる関係
ここはバーテンダーや隣り合った客との距離が近い。常連が醸し出す独特のムードもある。しかし、マナーさえ守っていれば、恐れるに足らないとバーテンダーはいう。大切なのは「人の邪魔をしない」こと。それさえクリアすれば、おのずと楽しめるわけだ。こんな隠れ家があれば、毎日はもっと楽しくなるだろう。
Data
東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル本館1F
TEL:03・3293・2311
http://www.yamanoue-hotel.co.jp/
営17:00~翌1:30LO(日・祝日16:00~22:30LO)
無休
席数/9
アクセス/JR・地下鉄「御茶ノ水」駅より徒歩約4分。JR「東京」駅より車で約10分
カウンターのみのため予約不可。満席の場合、ロビーでウエイティングができる。
※2008年秋冬号取材時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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