画期的な設計で大衆小型車の模範となった初代ミニ
名車の称号は高級・高性能なクルマだけに与えられるものではない。小型大衆車に目を移せば、フィアット・500、スバル・360、少し大柄なタイプではフォルクスワーゲンのビートルやその後継モデルのゴルフ(初代)もそうだ。なかでも小型車枠の名車殿堂入り確実なのが、初代ミニ。ブリティッシュ・モーター・コーポレーションのエンジニア、アレック・イシゴニスが中心となって設計された旧型ミニは、エンジンを横置きにした前輪駆動とコンパクトなサスペンションを取り入れることで4人が座れる居住空間を生み出した。生産効率をも考慮した2ボックスのスタイリングはクリーンで美しく、小径タイヤを履いてクイックに走る軽快なハンドリングと合わせ、多くのファンに愛された。

新生MINIは3代にわたってキープコンセプト
およそ40年間に渡って生産された旧型ミニは、2001年にBMWの手でまったく新しいMINIへと生まれ変わった。先代をモチーフとしながらも丸を基調とした内外装のデザインを取り入れ、さらに豊富なオプションやカラーリングを用意した新生MINIは、「プレミアム・コンパクト」という新たな価値観を生み出した。現行モデルは3代目で、メカニズムや利便性は時代に合わせて進化しているものの、スタイリングを大きく変えてはいない。一方で、ボディのバリエーションは年々増え続け、今では8タイプにも及ぶ。それぞれに個性があり、購入の際には大いに悩むこと間違いなしだが、伝統を踏まえるならば、もっともオーソドックスな3ドアを推したい。全長わずか3・8mのボディは抜群に取り回ししやすく、丸を基調とした操作・表示系やツマミ型のイグニッションスイッチなどの意匠が光るコクピットはほどよくタイト。しかも、2016年春からは新たに3気筒の1・5リッターと4気筒の2リッターのディーゼルエンジン搭載車が日本に導入されている。先日1・5リッターモデルに試乗したが、もともとエンジン音を"聴かせる"クルマだけに、ディーゼル特有の騒音はむしろ気にならず、排気系から発する重低音が心地いい。地面に4輪がしっかりと吸い付き、硬めの乗り味で切れ味鋭く曲がっていくスポーティなハンドリングが、ディーゼルの力強さでいっそう楽しく感じる。

ラグジュアリーなオプションが追加!

(コンバーチブル)
(コンバーチブル)

 もうひとつのおすすめは、旧型ミニにもあったコンバーチブルだ。こちらも最新モデルが2016年から日本に導入され、エンジンは3気筒の1・5リッターと4気筒の2リッターの2種類。いずれもガソリンエンジンだ。シャープなハンドリングは屋根付きの3ドアにも負けていないが、電動ソフトトップをもつこのクルマは、景色を楽しみながら優雅にクルージングするほうが楽しい。しかも本モデルから「MINI Yours」というオプションが選べるようになった。トラディショナルな縫い目加工が施された上質なレザーシートや、ヘリボーン柄のユニオンジャックを織り込んだソフトトップなどが選べるようになっていて、MINIの独創的な世界観をいっそう強調する、魅力的なビスポークのプログラムだ。20世紀を彩った名車の記憶は、ラグジュアリーなブリテッィシュモダン、MINIのなかで芳醇な香りを放ち続けている。

 
 
(共にコンバーチブル)
(共にコンバーチブル)

〈MINI・クーパーD 3ドア〉
全長×全幅×全高:3835×1725×1430㎜
車両重量:1230kg
排気量:1496cc
エンジン:直列3気筒DOHCディーゼルターボ
最高出力:116PS/4000rpm
最大トルク:270Nm/1750~2250rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:300万円(税込)

〈MINI・クーパーS コンバーチブル〉
全長×全幅×全高:3860×1725×1415㎜
車両重量:1360kg
排気量:1998cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:192PS/5000~6000rpm
最大トルク:280Nm/1250~4600rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:397万円(税込)、撮影車両のオプション装備を含めた価格:485万4000円(税込)
(問)MINIカスタマー・インタラクション・センター ☎0120-3298-14

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.2.11 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。