出国審査を済ませた後の航空会社のラウンジは、これから始まる旅への期待感と、旅の思い出が交錯する不思議な空間だ。どこの国にも属さない空間。そこで過ごす搭乗前の数時間は、たとえ出張でも、何だか「ソワソワ」した不思議な気分になる。

だが大体どこのラウンジも似たり寄ったりで、搭乗客にフライト前の時間潰しをさせる場所でしかない。どんなにデザインに気を遣っていたとしても、そんな空間にあまり長く留まりたいとは思わないものだ。「ザ・クラブハウス」と命名された、そのラウンジを目にするまでは、の話であるが。

ヴァージン・アトランティック航空が用意するのは紳士のためのテーマパーク

酒、理容、靴磨き……男のすべてがそろう

ヴァージンアトランティック航空のアッパークラス専用ラウンジで正式名称は[THE CLUBHOUSE]。同社の会長、サー・リチャード・ブランソンの「搭乗前に最高のひとときを過ごしてもらえるように、ラグジュアリーで革新的なサービスを」との思いから誕生した。他のエアラインのラウンジとのあまりの違いに、初めて利用するものは必ず度肝を抜かれる。コンシェルジュが常駐し、ホテルやレストランの予約も可能。また英国のエアラインらしく、靴磨き職人が常駐しているのもうれしい。ヒースロー空港では、ヴァージンアトランティック航空専用の出国ゲートもあり、ワンランク上のサービスが話題だ。

そう、そのヴァージンアトランティック航空のロンドン・ヒースロー空港ラウンジは、そんな一般的な常識を徹底的に覆してしまう空間だ。総面積2500平方メートルという、今まで目にしたことのないような光景に、初めて訪れる人は言葉を失くすだろう。この丁寧にデザインされた上質な空間に身を置くことが、秘かな愉しみである。

モダンブリティッシュ・デザインとはかくあるべし、というコンテンポラリーで居心地のよい空間は、一種のテーマパークといえる。ヘアカットもできれば、エステサロンやスパ・スペースもある。気が向けばオフィスで仕事もこなせるし、14mもの長さを持つカウンターのバーで、特別なカクテルをつくってもらい、ビリヤードを楽しむこともできる。大画面でクリケットを観戦している間に、靴を磨いておいてももらえる。

伝統的なジェントルマンズクラブと一線を画す、ヴァージンらしい遊び心とイングリッシュ・ユーモアが満載なのだ。「ずっとここに居たい!」と思わせる、その仕掛けと雰囲気には、正直脱帽である。

※2011年夏号取材時の情報です。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2011年夏号より
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