今では「パテック フィリップ」のラウンドケースモデルを総称する『カラトラバ』ですが、ネーミングの記念すべき第一号となったのが1932年に誕生した『96』モデルだ。

パテック フィリップの通称クンロク

白シャツ的な永遠のアイテム

1932年誕生の初代『96』モデルの流れを汲む『3796』(写真右)のケースサイズは、31㎜。現行で購入可能な『5196』モデル(写真左)の37㎜と改めて比べてみると、ひとまわり以上も華奢であることがわかる。サイズは変われど、この唯一無二の造形美を湛たたえる美しさは、永遠だ! ●私物
1932年誕生の初代『96』モデルの流れを汲む『3796』(写真右)のケースサイズは、31㎜。現行で購入可能な『5196』モデル(写真左)の37㎜と改めて比べてみると、ひとまわり以上も華奢であることがわかる。サイズは変われど、この唯一無二の造形美を湛たたえる美しさは、永遠だ! ●私物

時計の黄金期と呼ばれるアールデコのスタイルを脱ぎ捨て、革新を目ざしたデザインは、その範をバウハウスに求めた。真円とストラップの直線を自然に結ぶラグのライン、シャープかつフラットなベゼルはその象徴であり、当時バウハウス校長だったミース・ファン・デル・ローエ説くところのレス・イズ・モアを具現化する。

『カラトラバ』はベーシックでも入門モデルではなく、かといって行き着くところの「通」の時計でもない。いわばプレーンな白シャツのような存在といえる。

シンプルにもかかわらず、素材やフォルム、襟など多様な微差があり、合わせる服によっても印象をも変える。だからこそ魅力は時代を超越し、それに通じる『カラトラバ』に時計の深遠を見ることができる。

名品DATA
1932年に誕生した、パテック フィリップの名作『カラトラバ』の『96』(通称クンロク)。その流れを汲くむ『3796』モデル(写真1枚目)は、1980年代に誕生し、2000年に生産が終了。しかし、同シリーズは外観のデザインをほぼ変えることなく、現行『5196』へと継承されている。

※2011年夏夏号取材時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MN'S Precious2011年夏号より
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PHOTO :
パイルドライバー
WRITING :
柴田充