今では「パテック フィリップ」のラウンドケースモデルを総称する『カラトラバ』ですが、ネーミングの記念すべき第一号となったのが1932年に誕生した『96』モデルだ。
パテック フィリップの通称クンロク
白シャツ的な永遠のアイテム
時計の黄金期と呼ばれるアールデコのスタイルを脱ぎ捨て、革新を目ざしたデザインは、その範をバウハウスに求めた。真円とストラップの直線を自然に結ぶラグのライン、シャープかつフラットなベゼルはその象徴であり、当時バウハウス校長だったミース・ファン・デル・ローエ説くところのレス・イズ・モアを具現化する。
『カラトラバ』はベーシックでも入門モデルではなく、かといって行き着くところの「通」の時計でもない。いわばプレーンな白シャツのような存在といえる。
シンプルにもかかわらず、素材やフォルム、襟など多様な微差があり、合わせる服によっても印象をも変える。だからこそ魅力は時代を超越し、それに通じる『カラトラバ』に時計の深遠を見ることができる。
※2011年夏夏号取材時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MN'S Precious2011年夏号より
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- PHOTO :
- パイルドライバー
- WRITING :
- 柴田充