1953年、マーロン・ブランド主演の映画『乱暴者』で、英国のオートバイメーカーである「トライアンフ」は、アメリカの若者の心を掴んだ。そして1966年、アメリカ市場向けに発売されたのが『TR6C』シリーズである。

トライアンフ『TR6C』シリーズ

本国仕様と比べ、よりオフロード、ダートレースに焦点を当てた仕様が、最大の特徴だ
本国仕様と比べ、よりオフロード、ダートレースに焦点を当てた仕様が、最大の特徴だ

自分がこのモデルに惚れ込み68年製の『TR6C』をやっとの思いで入手してからちょうど10年。その間、幾度の故障やトラブルに見舞われ、痛い目にも遭った。しかし他の車種にない質感とデザイン、どの角度から見ても絵になる悠然たるたたずまいは、実に男性的かつ勇壮で、見飽きることはない。

それに、バーチカルツインエンジンから弾き出される独特の排気音、エグゾーストノートも好きなモノには実に心地よくずっと聞いていたい音。アクセルをあけた際の、ふけ上がる音、体を後ろに引っ張られるような加速と同時にわき上がる高揚感。「古い機械」として目を配り、手をかけ、調子が出るように調整してやらないといけない手間とその楽しみ。

Detail Check!

  • Lヘッドライトも、英国の「ルーカス社」製を採用。『TR6C』のフロントは、このビッグライトなくして語れない
  • 英国の老舗時計ブランド「スミス社」製を採用したスピードメーター。ヴィンテージパーツ界でも不動の人気だ

伝説を受け継いだモデル

伝説の名車のDNAを受け継いだモデルも見逃せない!! 外観は、60年代に爆発的な人気を博したトライアンフ『TR6C』のクラシック感そのまま! バーチカルツイン(空冷並列2気筒)エンジンも当時のものと見た目には変わらないが、気軽に街中を走れるよう、排気ガス規制に合わせた技術が搭載されている。
伝説の名車のDNAを受け継いだモデルも見逃せない!! 外観は、60年代に爆発的な人気を博したトライアンフ『TR6C』のクラシック感そのまま! バーチカルツイン(空冷並列2気筒)エンジンも当時のものと見た目には変わらないが、気軽に街中を走れるよう、排気ガス規制に合わせた技術が搭載されている。

メンテナンスフリーのオートバイにはない「個体」としての癖を、自分だけが知っている喜び。そんな『TR6C』がヴィンテージバイクとしてではなく、当時の現行車として普通にダートレースで活躍していたであろう時代に、思いを馳せるのであります。

名品DATA

アメリカ西海岸地区にあったトライアンフの伝説的ディーラー「ジョンソンモーターズ社」製の、ヴィンテージ市場でもなかなかお目にかかれない代物。ちなみに、スティーブ・マックイーンが1965年のマン島で開催された「6日間耐久レース」に米国代表で出場した際も、同社から64年式の『TR6C』を購入している!(ライトスポーツ〈トライアンフ〉)

※2011年夏号取材時の情報です。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2011年夏号より
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