生活に関するさまざまなマナーの中でも、特にごみ出しについては、マナーの悪さが問題になりがちです。まず、ごみ出しの曜日・時間帯や分別の方法など、自治体ごとのルールを守るのは当然のこと。

しかし、それ以外にも、ごみを出すときのちょっとした無神経な行為が、近所迷惑になってしまうことも……。あなたの現在のごみ出しマナーは大丈夫ですか!?

今回は、マナー講師の金森たかこさんから、知らずにやると非常識な人認定されかねない、ごみを出すときのNGマナーを教わりました。

近所迷惑になってしまいかねない、ごみ出し時のNGマナー10選

■1:ラフすぎる格好でごみ出しに行くのはNG

その服装でコンビニに行けますか?
その服装でコンビニに行けますか?

ごみ収集所が自宅の目の前やマンションの敷地内にある場合、ごみ出しに行くのにわざわざ部屋着から着替えるのは面倒だと考える人も多いことでしょう。とはいえ、たとえごみ出しであっても、あまりにも服装に無頓着なのは考えもの。

「ほんの短時間の外出でも、マンションの敷地内でも、近隣住民と出くわす可能性はゼロではありません。その際、パジャマや露出の多い服装では、相手を困惑させてしまう恐れがあります。

玄関の扉から一歩外に出れば、そこはもう公共スペースだと心得ましょう。もちろん、ごみ出しするのにわざわざおしゃれする必要はありませんが、最低限、近所のコンビニやスーパーに出かけられる程度の服装が望ましいです」(金森さん)

特に、エレベーターでご近所さんと乗り合わせたときなどに、あまりにもラフな格好だとお互いに気まずいものがありますよね。ごみ出し目的でも、人に見られても恥ずかしくない服装で外出しましょう。

■2:大きなごみ袋を持って、混雑したエレベーターに乗り込むのはNG

大きなごみ袋をエレベーターに持ち込むと迷惑になる恐れが
大きなごみ袋をエレベーターに持ち込むと迷惑になる恐れが

マンションのごみ出しで、エレベーターを利用する際、何か注意すべき点はあるのでしょうか?

「朝の出勤時間帯でエレベーターが混み合っている場合は、大きなごみ袋を持って無理に乗り込まないようにしましょう。その状況で大きなごみ袋を持ち込むと、スーツにごみ袋が当たりそうでまわりの人を不快にさせたり、実際にごみ袋を当ててしまったりする恐れがあります。エレベーターが混んでいたら、『お先にどうぞ』と声をかけて、一台スルーしましょう」(金森さん)

出勤中にごみを捨てる人は、何台かエレベーターをスルーしても大丈夫なように、いつもより早めに家を出るのがよさそうです。あるいは、大きなごみ袋を持ち運ぶ際は、エレベーターを避けて階段を使うことも視野に入れましょう。

■3:ごみの臭い対策をせずに「エレベーターに乗り込む」のはNG

エレベーターの利用で、他にも気をつける点はあるでしょうか?

「エレベーターは密室ですから、臭い対策は万全にしましょう。生ごみの臭いがエレベーターに充満すると、朝から利用者の気分を害することにもなりかねません。

生ごみはよく水気を切って捨て、場合によっては、新聞紙などにくるみ水分が漏れないようにする。ごみ袋の口をしっかり縛る。それでも、臭う場合は、袋を二重にするなどして、臭いが漏れないようにしましょう」(金森さん)

ごみ袋から臭いが漏れると、乗り合わせた人に迷惑なのはもちろんのこと、ひどい場合、エレベーターに悪臭が長く残ってしまうことも……。基本的なことですが、ごみ袋に穴が空いていないかどうかもしっかり確認しましょう。

■4:自治体のルールを確認せずに「大量の」ごみ出しをするのはNG

大量にごみ出しすると回収してもらえない恐れも
大量にごみ出しすると回収してもらえない恐れも

引っ越しの前後には、いつもよりたくさんごみが出ますが、大量のごみ出しをする際には、何か気をつける点はあるのでしょうか?

「1回に出せるごみの量の目安を、ルールとして定めている自治体もあります。一般的には、45リットルの袋2~3袋までというところが多いようです。1回に上限をオーバーする大量のごみ出しをすると、ごみ収集所からはみ出して通行の妨げになったり、ごみ収集車が運び切れなかったりすることもありますので、必ず自治体のルールを確認しておきましょう」(金森さん)

1回に出せるごみの量の上限は、意外と見落としやすいルールかもしれませんね。引っ越しなどで大量のごみが出た場合には、ルールを確認の上、何回かに分けて出すようにしましょう。また、1回に大量のごみを出したいのであれば、有料のサービスを利用するという手もあります。

■5:「ひとつの袋に」大量のごみを詰めるのはNG

1回に出せるごみの量の上限は守ったとして、それ以外に注意する点はありますか?

「ごみ袋の数だけでなく、重さにも要注意です。ひとつのごみ袋に大量のごみを詰めると、重みで袋が破れる恐れがあります。袋に穴が開くと、臭いが漏れたり、水漏れしてマンションの共有部分を汚したりなど、さまざまな迷惑行為につながりかねません。ひとつの袋に詰めるごみの量は、女性が片手で持てる程度にとどめましょう」(金森さん)

少ないごみ袋で済まそうとして無理に詰め込むと、たとえ自分が持ち運ぶ間は何とか持ちこたえても、業者が処理する段階で袋が破れて大惨事を招く恐れもあります。片手で持ち上げてみてズッシリ重いと感じたら、袋を分けるか、念のため袋を二重にしましょう。

■6:夜中に「ビンや缶」を出して、大きな音を立てるのはNG

ビン・缶は静かに持ち運ぼう
ビン・缶は静かに持ち運ぼう

居住者専用のごみ置き場が設置されていて、24時間ごみ出しOKなマンションでは、夜中にごみ出しする人もいるでしょう。その際、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

「夜中のごみ出しでは、騒音問題に注意しましょう。人が寝静まった時間帯では、ちょっとした物音でも室内まで響くことが往々にしてあります。まず、ビン・缶のごみを出す際は、なるべく物音を立てないようにそっと持ち歩くこと。また、複数人でごみ出しに行く場合、会話の声のボリュームは控えめにしましょう」(金森さん)

筆者も夜中のごみ出し中に、マンションの廊下でうっかりアルミ缶を落としてしまい、カラカラーン……と、静寂を切り裂くような音に肝を冷やした記憶が。夜中のごみ出しでは騒音加害者になりやすいので、慎重に行動しましょう。

■7:夜中に「足音や扉を閉める音」に無頓着であるのはNG

夜中の足音はよく響くので要注意
夜中の足音はよく響くので要注意

ビン・缶や話し声以外に、夜中のごみ出しで気をつけるべき点はありますか?

「抜き足、差し足する必要はありませんが、サンダルやミュール、スリッポンなどは、マンションの廊下で足音が響きやすいので夜中は注意しましょう。

それから、玄関の扉を閉める音ですね。両手にごみ袋を持っていると、扉を自分の手で支えることができないので、勢いよく扉が閉まってバターンと大きな音がしたり、振動が生じたりすることもあります。ごみ袋が複数ある場合、面倒でもひとつずつ外に出すほうがよいかもしれません」(金森さん)

金森さんのコメントにもあるように、夜間は日中よりも物音が響きやすいことを念頭に、なるべく静かに行動しましょう。

■8:収集所でごみ袋を投げ捨てるのはNG

ごみ収集所での振る舞いでは、どのような点に注意すべきでしょうか?

「ごみ袋を投げ捨てるのはNGです。投げ捨てるとその弾みで袋が破れてごみが散乱したり、臭いが漏れたりする恐れがあります。ごみ袋は丁寧に置くようにしましょう」(金森さん)

ごみ袋を投げ捨てるのは、見た目的にもエレガントではありませんよね。出勤中で急いでいたとしても、がさつな振る舞いは控えましょう。

■9:「風が強い日」に小さなごみ袋を無造作に置くのはNG

ごみの置き方で、投げ捨てる以外にもマナー違反はありますか?

「ごみ収集所が外にある場合、風が強い日には、小さくて軽いごみ袋の置き方に要注意です。無造作に置くと、風で飛んで行ってしまう恐れがあります。他のごみ袋で押さえるようにするなど、置き方を工夫しましょう」(金森さん)

小さくて軽いごみ袋が風で飛ばされて、中身が散乱しようものなら大迷惑。大量のごみだけでなく、軽量のごみも、捨て方には配慮が必要です。

■10:カラス除けのネットを雑に扱うのはNG

ごみ収集所によっては、ネットが設置されていることもありますが、ネットの扱い方でのNGはありますか?

「ときどきネットの上にごみ袋を置いてしまう人がいますが、これは絶対にやめましょう。また、ネットを使用しても、かけ方が甘くてごみ袋がはみ出していると、その部分のごみをカラスがあさることもあり、ネットの意味が半減してしまいます。ネットはごみ袋全体にしっかりかけるようにしましょう。同様に、ごみ集積ボックスが設置されている場合は、フタをきちんと閉めることも大切です」(金森さん)

自分のごみ出しさえすればいい……という利己的な行動は、誰も幸せになれません。近隣住民が共有するごみ収集所では、ネットやごみ集積ボックスも丁寧に扱いましょう。

自治体で定められているルール以外にも、ごみ出しにはさまざまなマナーがあります。「あの人、近所迷惑!」と後ろ指をさされないためにも、今回ご紹介したマナーをしっかり守るようにしましょう。

金森たかこさん
マナー講師、話し方マナーコミュニケーション講師
(かなもり たかこ)一般社団法人マナー教育推進協会代表理事副会長。ウイズ株式会社社長。officeT代表。大阪府出身、京都市在住。大手食品メーカー人事部にて人材育成・秘書業務などに携わった後、フリーアナウンサーとして独立。その後、マナーコンサルタント西出ひろ子氏に師事し、ビジネスマナー講師として、企業、行政機関、教育機関、病院・歯科医院などの医療機関にて、講演・研修・コンサルティングを行う。著書に『入社1年目ビジネスマナーの教科書』『入社1年目 人前であがらずに話す教科書』(2冊とも西出ひろ子監修)がある。
ウイズ株式会社
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美
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