英国の産業革命は人類史に残る出来事だったが、生産力の増大と経済活性化の一方で、安価で粗悪な商品が世に出回る弊害も生んだ。そんな状況を批判して起こった「アーツ&クラフツ」は、19世紀後半に始まったデザイン運動である。その中心的な人物がモダンデザインの父ウィリアム・モリスだ。

ウィリアム・モリスは使用できる文化遺産

色あせない唯一無二のグラフィック!

ウィリアム・モリスのアーカイブコレクション の一部。資料提供:マナトレーディング
ウィリアム・モリスのアーカイブコレクション の一部。資料提供:マナトレーディング

モリスのつくり上げた壁紙やタペストリーは、「V&A」などの博物館に所蔵される文化遺産であるが、同時に今なお生産され、イギリス社会で、また私たち日本人も愛用できる〝生きた文化遺産〞であることは、大きな驚きであり、喜びでもある。

英国を旅して何気ないふつうのB&Bのベッドカバーやカフェの壁紙、あるいは一般家庭の古い家具などにモリスのデザインを見かけるとき、職人の手作業による耐久性の高さと同時に、生活と芸術の共存が今の時代でも実践されていることに感嘆させられるのである。まさに、英国文化最大の「名品」といえるだろう。

INFORMATION !

実物を見るともっとハマる!膨大なモリスのコレクション。「マナトレーディング」のショールームでは、モリスの壁紙や生地の見本の一部を、実際の目で確認することができる。※壁紙は、同社のHPからも検索が可能。https://www.manas.co.jp/
実物を見るともっとハマる!膨大なモリスのコレクション。「マナトレーディング」のショールームでは、モリスの壁紙や生地の見本の一部を、実際の目で確認することができる。※壁紙は、同社のHPからも検索が可能。https://www.manas.co.jp/
※2012年夏号取材時の情報です。
この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
PHOTO :
パイルドライバー