バーテンダー同士の繋がりから相乗効果を生みたい
実は奥山氏はこの界隈にあるバーの横の繋がりを作るべく、バーテンダー同士の親睦会や勉強会の幹事を務めている。そのメンバーの多くが独立し、自身の店を持っているバーテンダーばかりだ。そう聞くと独立独歩なイメージがあり、切磋琢磨はしても結束するイメージはない。
「南青山に昔のような元気を取り戻したいんです。若い頃、南青山でよく遊んでいて、当時は『SARA』っていう24時間営業の多国籍レストランもあって眠らない街だと思っていました。そんな街に店をオープンした数年後にリーマン・ショックがあって…。長く続いている停滞ムードを、南青山のバーが結束して打破したい気持ちがまずありました」
それだけではない。奥山氏はもっと先も見ている。
「我々バーテンダーは、常にお客様と1対1の勝負をしているようなものです。勝負を首尾よく運ぶには、バーテンダーの素養が必要であり、街の情報屋にならなければいけない。普段交わらないバーテンダー同士が繋がることで、シナジーが生まれると思っています。そこから南青山のバー全体が盛り上がっていくことを期待しています」
そこには銀座のカウンターとして存在する南青山に出店した思いも大きいだろう。
「やはり銀座は店の敷居も高いし、権威的な存在なので、お客様も肩肘を張っている感じを受けます。その点、南青山は肩の力が抜けているし、店がオリジナリティを出せる街。銀座に負けたくない気持ちが強いのかもしれません」
15分後も味が変わらない、ライムを効かせたジントニック
年々熟成させているというジントニックを作ってもらった。
氷が溶け始める15分後にも味が変わらぬよう、しっかりライムを効かせているという。一口含むと、確かにライムの風味が伝わってくるが、酸味が強すぎるわけではない。ジンのジュニパーベリーの適度な苦味と合わさってバランスの取れた1杯だ。
「バーテンダーは黒子であれ」と話す奥山氏にとって、良いバーとはどんな店か聞いた。
「あらゆる目的に合わせられる店でしょうか。接待にも、一人でおいしいカクテルを飲みたい時にも来ていただける店。そういう店として利用してもらえるよう、今後もお客様を大切に、精進していくだけです」
問い合わせ先
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ブーツ TEL:03-3475-7717
住所/東京都港区南青山3-2-4 セントラル青山ナンバー6 B1F
営業時間/平日18:00~26:00、土曜18:00~24:00
定休日/日曜、月曜が祝日の場合(他の祝日は終電まで営業)
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 帆刈一哉
- COOPERATION :
- ARTS