気仙沼ニッティングの事務所兼工房は、JR一ノ関駅から車で1時間ほどのところにある。「編み手さん」と呼ばれる地元の女性たちが、思い思いのペースで商品のニットを編み、週に1度気仙沼ニッティングの「編み会」で工房に集まる。編み上がったニットの検品と納品のほか、難しい部分は先生役の大ベテランから技術指導を受ける場だ。

主力の商品は、オーダーメイドの太いケーブル模様が象徴的なカーディガンタイプの『MM01』と、既製で展開するクルーネックの『エチュード』。どちらも糸づくりから開発した商品。御手洗氏が企業秘密と思える、素材のこだわりを話す。

「アランセーター」を凌駕する手編みのクオリティ

まず手に入れたい人気の『エチュード』

既製モデルの1作目が『エチュード』だ。フィッシャーマンズセーターの代表格、ガンジーセーターの手法を取り入れたニット。胸から襟に繫がるジグザグ模様が、気仙沼の海面を表しているようだ。SとMの2サイズによる9色展開(バイカラー含む)。各¥70,000(気仙沼ニッティング)※税抜き、参考価格

「糸は、スペイン産のメリノウール、イギリス産のブルーフェイス。そしてイギリス産のチェビオットは、『ホゲット』のみを使って紡いでいます。配合までは秘密です」

「ホゲット」とは、羊の生後2年未満で刈り取るウールをいい、3種類のブレンドで、張りのあるやわらかな糸になる。御手洗氏は、気仙沼ニッティングをはじめてすぐ、アイルランドのアラン諸島を訪ね本場のセーターを見た。手編みの魅力を最大限に生かすには、素材もデザインも思いっきりいいものにしなければならないと。

「一生ものと感じられる手編みニットの販売。手間だけではなく、お客さまがうれしいと思えるようなものにしたいのです」

現在、約60人の編み手がいる。手編みならではの、味わい深い編み目が絶品のニットは、でき上がると編み手の似顔絵が入ったタグを付ける。つくり手が責任を持って編んだ証拠のタグに、安心感が生まれる。

気仙沼ニッティングは今、しっかりとリピーターをつかんでいる。

※2017年冬号取材時の情報です。
この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2017年冬号、知られざる「手づくりの名品4」より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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撮影/小池紀行(パイルドライバー/静物)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)
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